電力自由化:小売全面自由化から1ヵ月 続くシステム側のトラブルで電力の市場取引に支障
4月に電力小売の全面自由化が行われてから1ヵ月、消費者の側がどの電力会社を選ぶかという情報はあふれていますが、その裏で国と電力会社が整備してきたシステムの不具合が続いています。
東京電力管内で、自由化にあたって必要なスマートメーターの設置が完了しないという報道がありましたが、この辺りは昨年末くらいから「間に合わないかも知れない」と言われていました。
そんな末端の機器設置が遅れる一方で、全国的な電力システムの管理を行う、「電力広域的運営推進機関」(広域機関)のシステムでもトラブルが続いています。
広域機関システム不具合による「連系線を利用した1時間前市場取引開始時期」の延期について|報道発表資料|電力広域的運営推進機関ホームページ
従来の電力会社管内を結ぶ連系線を使った、広域の電力融通を前提とする「1時間前市場取引」が卸電力取引市場で新たに可能となるはずが、連系線の利用計画を管理する広域機関システムにトラブルが生じています。
4/28に同取引が再開されるはずでしたが、同日中にトラブルを起こして再度取引が停止されている状態です。
大型連休が明けてもシステム再開のリリースはなく、地域間の電力取引が出来ない状態が続いているわけですが、自由化による一層の電力取引拡大を前に、基幹となるシステムの整備がいつ終えられるのか、課題山積です。
記事投稿:ソーラーシェアリングで進める地域の農業再生
エコロジーオンラインに、「ソーラーシェアリングで進める地域の農業再生」と題した記事を投稿しました。
ソーラーシェアリングで進める地域の農業再生 - エコロジーオンライン : Ecology Online
昨今、10MW以上の大規模なソーラーシェアリングに関する事業計画が増えてきています。
しかし、制度の狙いである農業を"主"と捉えた事業となっているのかが、明確には分からないものが多く見受けられるのが現状です。
太陽光発電やバイオマス発電によるエネルギー資源の利用が、農林業と競合するような状況も生まれつつある中で、エネルギー生産と食料や他の資源生産との両立をどのように図っていくのか、改めて考えていく必要があります。
再エネ業界ニュース:電力10社の2016年3月期決算 全社黒字化へ
電力大手10社の決算が出揃い、東日本大震災が発生して以降では初となる全社黒字決算になった模様です。
このうち、東北電力と中部電力は過去最高益となったほか、川内原発を再稼働させた九州電力や、高浜原発の再稼働→停止を経ている関西電力も黒字となっています。
実態としては、化石燃料価格の低下による発電原価の削減が寄与しているようです。
5年ぶりの黒字となった関西電力の決算短信(個別)の損益計算書を見ると、電気事業による営業収益は前年同期比で1,440億円の減少ですが、営業費用で汽力発電費が前年同期比で4,991億円減少しており、最終的に2,085億円の営業収益と1,185億円の当期純利益を計上しています。
また、過去最高益の中部電力の決算短信(個別)では、電気事業による営業収益は前年同期比で2,284億円の減少ですが、営業費用で汽力発電費が前年同期比で4,821億円減少となり、最終的に2,652億円の営業利益と1,572億円の当期純利益を計上しています。
化石燃料価格の低下によるものとして、今期の好決算は一時的とする電力大手各社ですが、次期は電力小売全面自由化後の初の決算となり、その影響がどう出てくるかも注目していきます。
ソーラーシェアリング:自社保有のソーラーシェアリング "匝瑳飯塚 Sola Share 1号機" が稼働しました
昨年から計画を進め、2月から工事が始まっていた、千葉エコ・エネルギーとして初の自社保有ソーラーシェアリングプラントが「匝瑳飯塚 Sola Share 1号機」です。
【発電所全景 1】
所在地は難読市町村名トップに輝く千葉県匝瑳市(そうさし)で、 大まかな発電所の諸元は以下のようになります。
- 所在地:千葉県匝瑳市飯塚
- 定格出力:49.5kWp(AC) / 55.16kWp(DC)
- モジュール:Amerisolar AS-5M12 単結晶70W 788枚
- PCS:SMA AG STP10000TLEE-JP-11 9.9kW 5台
- 架台:単管パイプ(Φ48.6mm) スマートブレス接合
- 地上高:2.5~3.4m(地形傾斜による)
- 追尾装置:太陽同期可変式システム「スマートターン®」
- 遮光率:32.15%
- 栽培作物:大豆
【発電所全景 2】
発電設備の設置高は、農林水産省の新通達に基づく「地上高2m以上」から更に余裕を持たせており、遮光率も多くの作物に適するとされる33%を下回る設計としました。
設備下での営農は、地元農家の皆さんと共同で設立した「Three little birds合同会社」が担い、この地域における耕作放棄地の再生と自然エネルギーの生産を進めていきます。
まずは自社1号機となるソーラーシェアリングが完成したことで、今後は発電も営農も実際のデータを集めていくことが可能になるため、情報発信や他地域での導入支援を含めた事業を更に広げていきます。
自然エネルギー政策:環境省が「太陽光発電事業の環境保全対策に関する自治体の取組事例集」を公表
再エネ業界ニュース:震災によって被害を受けた太陽光発電設備の取扱についての注意喚起(太陽光発電協会)
熊本の大地震で住宅を始めとする建物に大きな被害が出ていますが、ここ数年で屋根設置・地上設置の太陽光発電設備が大きく増えており、太陽光発電協会(JPEA)が「震災で破壊された太陽光パネルの取り扱い上の注意」を公表しました。
JPEA 太陽光発電協会 Japan Photovoltaic Energy Association
倒壊した家屋等を撤去する際に、太陽光パネルなどが含まれている可能性がありますが、破損していても太陽光パネルは光があたっていれば発電するため、不用意に接触すると感電の恐れがあります。
今回の文書には、破損したパネルの取り扱い及び廃棄の方法がまとめられています。
今後、被災した建物の撤去などを進めるにあたり、こういった情報を参照した慎重な取り扱いが必要です。
なお、昨年の関東地方における豪雨災害の際も、同様の注意喚起が行われました。
永続地帯:永続地帯2015年版報告書を公開 - 自然エネルギー電気による自給率100%の市町村は更に拡大
電力自由化:卸電力市場におけるインサイダー取引とは
今月1日から電力小売全面自由化が始まり、東京電力管内でスマートメータの切り替えが10万世帯で間に合わないなど混乱も生じる中、新電力による小売電気事業が本格的にスタートしました。
これからは、商品としての「電気」の取引が活発化してくることが予想される中で、電力・ガス取引監視等委員会が「インサイダー情報の公表方法等に関する発電事業者等への説明会」の開催を告知しています。
電気を取引する市場として「日本卸電力取引所」があり、ここでは実際にスポットで電気の売買が行われています。
ここでいう「インサイダー情報」とは、例えば大型の火力発電所のトラブル情報を事前に手に入れ、その稼働停止に伴う卸電力市場での価格高騰を狙った売買をすることなどが想定されます。
これについては、発電事業者も迅速なトラブル情報の公開、復旧時期の公表等が求められることになりますので、その周知のために各種広報が進められています。