ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

ソーラーシェアリング:匝瑳メガソーラーシェアリング落成式 - 小泉・細川・菅元総理が列席

去る4月3日(月)、匝瑳市飯塚地区にて匝瑳メガソーラーシェアリング1号機」の落成式を挙行しました。

約1年をかけて事業化に携わってきましたが、無事に竣工・落成しスリムタイプモジュールを使用した日本初のメガソーラーシェアリングとして運転を開始しています。

今回、小泉純一郎細川護煕菅直人の歴代総理にご列席いただき、匝瑳市の歴史に残るであろう盛大な会を催すことが出来ました。

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来賓各位のご祝辞をいただき、落成記念のくす玉割り、そして集合写真と短い式典ではありましたが、人生で最も濃密な時間であったようにも思います。

ソーラーシェアリング発案者の長島彬先生のほか、SBIエナジーの中塚社長や城南信用金庫の吉原相談役など本事業にご協力いただいた皆様にもお越しいただき、集合写真が何やら凄いことになっています。

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式典後には、小泉、細川、菅元総理のお三方に本事業へのコメントをいただき、多くのメディアにも取り上げていただくことが出来ました。

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今後、自然エネルギーと農業の新たな取り組みとして、ソーラーシェアリングの普及を更に図っていきます。

再エネ業界ニュース:民進党がソーラーシェアリング推進法案 - 今国会に上程へ?

先週、秋田でソーラーシェアリングの講演をしてきたところですが、全国各地で営農型太陽光発電が盛り上がりを見せる中で日経が下記のような報道を行いました。

www.nikkei.com

現在は農林水産省の通達によって運用されている営農型発電ですが、それ故に様々な制度上の制約があるのが実態です。

実際に法制化されれば、更にその普及に弾みがつくことになるでしょう。

講演・メディア:秋田市にて営農型太陽光発電の講演を行いました - 雪国でのソーラーシェアリング

改正FIT法の施行が控える中、今後の自然エネルギー事業にどう取り組むべきか事業を行う側にも様々な対応が求められています。

そんな折、3月21日に秋田市で開催された「営農型太陽光発電特別セミナー」にて、講師としてソーラーシェアリングのお話しをさせていただきました。

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年度末というタイミングではありましたが、秋田県内の農業関係者や発電事業者・施工業者のほか、行政職員や議員など幅広い立場にある120名もの皆様にご参加いただきました。

秋田は私が10年以上携わってきている永続地帯研究の中でも、自然エネルギー自給率並びに供給量が常に全都道府県中上位にあり、風力発電水力発電地熱発電など幅広いエネルギー利用が行われています。

一方で、積雪の多さや日照時間が短いというイメージからか、太陽光発電の導入量はFITが始まってからも伸び悩んでいるのが現状です。

ソーラーシェアリングの場合、スリムタイプのモジュールを使うことで雪が上に積もりにくく、降雪が多い時期でも発電が見込めますが、雪に耐えるために架台の構造的な頑強さは必要になります。

今後、田植えの時期までに秋田県内で第1号となる水田でのソーラーシェアリング建設を進め、発電や営農の実証を進めながら普及を図っていきます。

固定価格買取制度:平成29年度の賦課金単価が公表 - 年間で4,000億円の増加見込

年度末になり、毎年恒例となった「再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度」(FIT)の買取価格や賦課金単価等の、来年度情報が出てくるシーズンになりました。

買取価格については前々から情報が出ていますが、FITによる買取の原資となる賦課金についても来年度の単価が公表されています。

www.meti.go.jp

来年度の賦課金単価

平成29年度については、電気の買取費用が合計2兆7,045億円と推測され、前年度よりも4,000億円以上増加するとしています。

その結果、消費者が負担する賦課金単価は2.64円/kWhになるとのことです。

経産省が標準世帯あたりの賦課金額を算定していますが、300kWh/月の電力消費量の場合は月額792円年額9,504円を賦課金として支払うことになります。

なお、平成28年度は同条件で月額675円年額8100円の賦課金だったため、月額117円年額1,404円の増加となります。

今後の賦課金増加ペースは

平成28年度比で平成29年度は総額4,045億円の買取費用増加と見込まれていますが、平成27年度から平成28年度にかけては4,630億円だったことから、買取費用の伸びは鈍くなっています。

徐々に低い買取価格の案件が増えてきているほか、改正FIT法への移行に伴って高い買取価格の未稼働案件が大幅に減少すると見込まれるため、今後は買取費用の伸びが更に抑えられていくと見込まれます。

2030年のエネルギーミックスについての試算では、買取費用が最大で3.7~4.0兆円に達すると想定しており、次のFIT見直しのタイミングで更に何らかの買取費用抑制措置が取られる可能性はあるのではと推測します。

ソーラーシェアリング:TVK(テレビ神奈川)の取材を受けました - 匝瑳飯塚 Sola Share 1号機

昨日、久しぶりの快晴に恵まれた匝瑳TVKテレビ神奈川)の取材を受けました。久しぶりのテレビ取材です。

匝瑳飯塚 Sola Share 1号機前で、ソーラーシェアリングに関する取り組みの背景や目指しているもの、課題や成果などについてお話ししました。

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レフ板の反射光で顔が光っていますが、細めになるくらいの眩しさです...

風も強くなくて良い取材日和でした。

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今回のインタビューは4月3日に放映されるほか、Youtubeでも観られるようになるということなのでまたお知らせします。

 

再エネ業界ニュース:日本最大級のメガソーラーが着工へ - 出力257MW規模

「日本最大級のメガソーラー」というと、現在工事が進んでいる中では岡山県瀬戸内市の錦海塩田跡地に建設されている「瀬戸内 Kirei 太陽光発電所」が230MWという規模を誇っています。

www.setouchimegasolar.com

これに対して、同じ岡山県内にある美作市257MWという瀬戸内市を上回る規模のメガソーラーが間もなく着工すると報じられています。

www.sanyonews.jp

計画対象地はゴルフ場跡地や山林など410haで、Google Earthで現地付近を確認する限りでは大規模な山林の造成を伴う発電事業になりそうです。

今回、建設を行うパシフィコ・エナジー社は既に美作市内で42MWの発電設備を手がけており、更にその6倍の規模の計画ということになります。

国内では他にも出力100MWを超えるメガソーラーの計画が増えてきていますが、FITの当初数年間で計画された案件が少しずつ実現に向かいつつある一方で、大規模事業が地域との軋轢を生じる事例も増加しており、今回の発電所がどのように地元との共生を図っていくのかは非常に興味があります。

東日本大震災から6年目の3月11日に寄せて

昨日3月11日で、東日本大震災から6年が過ぎました。

私が起業して今の仕事につく大きなきっかけでもある、あの震災と原発事故からもう6年かと思うと、時間の流れをまた一つ重ねたと感じています。

昨日は日比谷公園で開催されたPeace On Earthを訪れ、昨年と同様に午後2時46分の黙祷に参列しました、

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あの日を思わせるような天気の中で、また1年が経ったのだという思いと、この1年で何が変わっただろうという考えが脳裏をよぎります。

ちょうど昨年の今頃は、匝瑳市でのソーラーシェアリング1号機の工事が進み、今の大きな取り組みの礎を築いていた頃でした。間もなく完工する匝瑳メガソーラーシェアリングも、同時期に本格的なアクションを起こしていたように記憶しています。

この春からは、ソーラーシェアリングを軸にした全国的な自然エネルギーと農業」の取り組みを本格的に進められるように、あれこれと準備を進めているところです。

次の1年間を、来年の3月11日に振り返った時に、「これだけのことをやってきたな」と思えるような時間にしていきます。

再エネ業界ニュース:種子島で頻発した再生可能エネルギー発電への出力抑制 - 九州本土でも本格化するか?

固定価格買取制度で再生可能エネルギー発電事情に参入する事業者にとって、一つの事業リスクとなっている「出力抑制(出力制御)」ですが、これは電力の需給バランスを取るために発電事業者に対して特定の日に発電所からの電力供給を抑制することを求める仕組みです。

国内では、種子島での実施事例が有名ですが、昨年12月から今年2月にかけても複数回の出力抑制が実施されています。

九州電力 離島における平成28年12月の再生可能エネルギーの出力制御実績について

九州電力 離島における平成29年1月の再生可能エネルギーの出力制御実績について

九州電力 離島における平成29年2月の再生可能エネルギーの出力制御実績について

タイミングとしては、事業用の電力需要が少なくなる週末や年末年始休暇の頃に出力抑制が発生しています。

これから先、九州本土でも出力抑制の実施が現実味を帯びてきていますが、そのタイミングとしては5月の大型連休が最有力です。

太陽光発電の発電量が最も大きくなる時期で、更に連休と言うことで電力需要が減少することにより、供給側のコントロールが必要になるのではないかと見られますが、一方で相変わらず「本当に再生可能エネルギー発電設備の停止が必要なのか」という疑問は解消されていません。

出力抑制には7つの実施段階があり、揚水発電所の出力抑制と揚水運転、火力発電所の抑制、地域間連系線の活用などが行われた上で、太陽光発電風力発電は順番で言うと5番目に抑制が実施されます。

種子島の場合には、1~4番目にあたる設備が少ないことから太陽光発電設備の出力抑制が発生していますが、実際に九州本土で実施するとなった場合には、その前段の抑制が適切に行われたかどうかを含めた検証が重要になります。

「早ければ今年の大型連休には」という声も耳にする中で、実際に出力抑制が起きてくるのかどうか引き続き注目していく必要があります。

 

ソーラーシェアリング:小泉進次郎氏との懇談 - 日本の農業のこれから

先週、とある伝手で小泉進次郎氏の講演会に参加する機会を得ました。
先々週には小泉純一郎氏にお目にかかる機会もあったので、「何という奇縁!」と思いながらの参加です。
 
今回の講演は「日本の農業」をテーマにしたものということもあり、匝瑳のソーラーシェアリング設備下で営農を行っているThree little birds合同会社の代表2人も一緒です。
 
進次郎氏の講演は「農業のグローバル化」「海外輸出の拡充」「国内の農業構造の抜本的な改革」「攻めの農業」など、様々なキーワードを散りばめながらのお話で、短いながらもご本人が目指している方向性をはっきりと打ち出すような内容でした。
 
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講演会終了後には直接進次郎氏と懇談することができ、匝瑳市でのソーラーシェアリング事業や、有機JASを含めた農業者側の取り組みについてお話ししました。(ソーラーシェアリングについては、ある程度ご存じだったようです)
 
また、自民党の上月良祐参議院議員もいらっしゃっており、かつて茨城県副知事時代のお話しも伺いながら、私たちの農業に関する取り組みやソーラーシェアリング事業に関する意見交換をさせていただきました。
 
自然エネルギー+農業というコンセプトで動く中で、今回の進次郎氏の講演会を聴くことが出来たのは新たな刺激を得た思いです。

ソーラーシェアリング:冬の匝瑳1号機の様子 - 緑肥として麦を生やしています

節分も過ぎ、春一番も吹いていよいよ新しい季節の訪れを感じる今日この頃、昨年春に運転を開始した"匝瑳飯塚 Sola Share 1号機"も間もなく1年を迎えようとしています。

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発電所の完成以降、非常に多くの方々が見学に訪れ、1月には農林水産省の事例集に取り上げていただきました。

今は季節的には農閑期ですが、この冬は晴れが多く発電も好調な中、設備の下では緑肥として麦を育てています。

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茶色い地面にうっすらと緑色の麦が生えている・・・のが分かります。

写真の奥の方には1月に完工した2号機が見えています。

これを撮ったのは13時頃ですが、冬は影が伸びるので遮光率は50%に近い状態でしょうか。ちょうどパネルの影と日差しが当たっている部分が半々くらいです。

春には麦が一気に成長し始め、それを緑肥としてすき込んだ後にはまた大豆播種の季節がやってきます。