講演・メディア:新潟にてソーラーシェアリングワークショップを開催 - 熱い議論から実践へ
昨日は、新潟市にておらってにいがた市民エネルギー協議会主催の「ソーラーシェアリングワークショップ」に講師としてお招きいただきました。
参加者が当初予定人数を大幅に超えたということて、急遽会場が変更になるなど開催前から地元のみなさんの関心の高さを感じるほどです。
普段参加しているイベントとは異なり、講師によるミニセミナー→参加者によるワークショップという進行で、ソーラーシェアリングに対する様々な疑問や課題などを挙げていただくというスタイルでした。
まずは城南信用金庫の吉原顧問の講演に続いて、20分ほどですが私の方から匝瑳や秋田の事例について紹介させていただき、それを踏まえてのグループに分かれたワークショップへと展開していきます。
会場では熱い議論が交わされ、「自分がまず取り組む!」という方も現れて、今回をきっかけに新潟でソーラーシェアリングが本格的に普及していくことを感じされるワークショップとなりました。
次は今週土曜日に、福島へソーラーシェアリングキャラバンとして伺います。
再エネ業界ニュース:千葉商科大学が取り組む『自然エネルギー100%大学』 - 省エネから創エネまで
以前、千葉大学で学生主体の環境マネジメントシステム運営に関わっていた頃、その先進地の一つが千葉商科大学でした。
同大学が今打ち出しているのが、『自然エネルギー100%大学』です。
2000年代には地球環境問題への意識の高まりから、ISO14001や環境報告書の発行などに企業の関心も集まり、大学でも環境問題に関心を持つ人材の育成や環境配慮の取り組みが盛んに行われてきました。
ただ、エネルギー分野に限ってみれば省エネをいかに推進するかが中心であり、自然エネルギーを積極的に取り入れていくという動きは低調だったように思います。
それが2012年のFIT導入以降、エネルギー事業の一般化や設備導入コストの低下により、私立大学を中心に自然エネルギー発電設備などを取り入れる動きが増えてきました。
自然エネルギー100%に取り組む企業が増える中で、各地域の大規模事業所でもある大学が同様の取り組みを進めることは非常に意義のあることであり、今後同様の取り組みが各地で広がっていくことに期待しています。
再エネ業界ニュース:太陽光関連業者の倒産件数が前年同期比2.2倍に - 帝国データバンク調べ
帝国データバンクが公表している「太陽光関連業者の倒産動向調査」にて、2017年上半期は50件の倒産があり、前年同期の23件と比べて2.2倍の大幅増になったと報告されています。
同調査報告では、通年で100件に達する可能性も示唆されています。
2014年から増加傾向にあった太陽光関連業者の倒産ですが、2014年の21件に対して2016年は67件と3倍以上に増えている中で、規模の大きい事業者の倒産も増えてきているとしています。
FITによってバブル的に急拡大した太陽光発電マーケットが落ち着いていく中では、こういった事業者の脱落というのは想定される範囲の出来事です。
ただ、太陽光パネルのメーカーや施工業者が多く含まれる中で、各社が部材供給あるいは施工した発電所を今後どのように維持・管理していくかは社会的な問題にもなり得ますし、事例によっては施工途中で倒産し工事が停滞する事例なども出ていると耳にしています。
事業者の淘汰が進む中で、長期安定稼働が求められる発電事業への影響をどうやって最小化していくかは、業界としての大きな課題になるでしょう。
雑感:人が想像できることは人の手で実現できる - 想像に限界は訪れるか?
IT革命が過ぎ去って、IoT/ICTという言葉を日常的に目にするようになり、ついにシンギュラリティ(技術的特異点)「人工知能はいつ人類を超越するか?」が語られるようになってきました。
私は生まれてこの方30年あまりの間、テクノロジーの目まぐるしい進歩に埋もれてきましたが、5年区切りくらいでどんどん次のステージへと進歩していく様子を見るにつけ、かつて人類が想像し得た未来技術がほぼ実現し得るところまでたどり着きつつあるのでは?という実感があります。
もちろん、宇宙空間への進出であるとか、地球上の資源制約を取り払うような革新的な物質利用など、まだまだ先の見えないものはあります。世界的なエネルギーや食料の問題について、我々はまだ解決策を見出せていません。
世界中のあらゆる人とコミュニケーションを瞬時に取れるようになり、私たちの生活に関わるあらゆる情報がデータベース化されていき、そこから更に新たな革新が目まぐるしく生じていることで、今は更に「その先」の世界を想像することが難しくなっているように感じます。
ある意味で思考の閉塞感を感じるところではありますが、それを打破するに至った時、人類はまた新たな地平に立つことになるのではと思索しています。
再エネ業界ニュース:日本政策投資銀行とGEが太陽光発電事業ファンドを組成 - 日本最大規模の太陽光投資ファンド
改正FIT法によって太陽光発電マーケットの縮小がいわれる中で、日本政策投資銀行がGEエナジー・ファイナンシャル・サービスと国内最大規模の太陽光投資ファンドを組成したと発表しました。
目標金額は750億円、最大で900億円に達するということです。
ファンド規模を750億円とした場合、約250MW程度の太陽光発電所を取得することになると想定されますが、国内にはまだ多くの未稼働となっている太陽光発電案件があるほか、リセール市場の活発化も見込まれることからこの規模の設備取得は十分に可能でしょう。
今後、太陽光発電市場が落ち着いていく中で発電事業者の集約が進んでいくことが想定されることから、こういった大規模なファンドによる投資は更に増えてくるものと考えられます。
講演・メディア:『国民生活』ウェブ版の6月号に記事掲載 - 再生可能エネルギーを広めていくために
再エネ業界ニュース:伊東市の市長がメガソーラー計画の白紙撤回を事業者に要請 - 地元の反対署名を事業者に提示
先日取り上げた、静岡県伊東市の大規模メガソーラー事業計画に対する地元の反対運動に新たな展開です。
伊東市の小野市長が、同メガソーラー事業の事業者である伊豆メガソーラーパーク合同会社を市役所に呼び、地元住民による建設計画への反対署名を示して計画の白紙撤回を求めたとのことです。
メガソーラー:計画の白紙撤回を 伊東市長、事業者に要請/静岡(毎日新聞)
6月の記者会見では、発電事業者側は地元住民による計画の白紙撤回要請に対して事業計画を継続する姿勢を示していました。
地元住民による反対運動を受けた首長によるメガソーラー事業計画の撤回要請というのは珍しく、今回の要請を受けた事業者側の対応が注目されます。
再エネ業界ニュース:静岡県伊東市のメガソーラー計画に反対署名運動 - 市長も白紙撤回を求める
全国各地で大規模なメガソーラーに対する自然環境や景観保護の観点からの反対運動が広がっていますが、現在進行形で進むプロジェクトに静岡県伊東市の40MW規模のメガソーラーに対する地元反対運動があります。
事業計画面積が約105ha、造成面積48.7haとされる大規模な山林開発計画となっており、計画地には伊豆高原の別荘地などが隣接していて、山を下って400mも離れたところは漁港となっています。
この開発による自然景観の破壊や、周辺別荘地への影響、海洋環境への影響など様々な問題が懸念されています。
市民による反対運動と署名活動
今回の事業計画に対しては、複数の団体が反対署名活動を行い静岡県や伊東市に対して提出しています。
6月22日に市民団体から市長宛に反対署名が提出されており、同市内ではこれで3件目の署名提出ということです。
今年5月の選挙で就任した小野市長は、選挙戦に際して今回のメガソーラー事業に「住民同意が得られないのであれば反対」との立場を取っており、上の記事でも同様の発言をしています。
事業者側の対応
一方で、発電事業者側は6月13日に市役所で記者会見を開いており、白紙撤回の要請に対しては事業を継続する意向を示しています。
報道記事などから本件はFIT32円案件と見られ、40MWという規模を踏まえると発電事業者側が容易に手を引くことはなさそうに思います。
今後の展開は?
事業開発に絡み、静岡県に対する林地開発許可申請や伊東市に対する宅地造成等規制法の許可申請があり、その許可が下りなければ事業者は工事に着手することができません。
現在開催されている伊東市の6月議会では、太陽光発電事業による開発に対する反対決議も予定されていると言うことで、市民による反対運動を受けた行政がどのように対応していくかを含めて、今後の動向を注視していきたいと思います。
講演・メディア:信州大学松本キャンパスにて講演してきました - 現代の若者のキャリア形成
昨日、信州大学松本キャンパスにて開講されている講義「大学生から始めるキャリアデザイン」にて、講師を務めさせていただきました。
主に学部1年生を対象とした一般教養科目で、対話型の演習形式のため受講者は17名と少数でしたが、大学生向けに講義をするのはかなり久しぶりなので楽しみにして行きました。
今回は、「自然エネルギーベンチャーの社長として話して欲しい」というオーダーだったので、冒頭部分では自然エネルギー業界の概要の話を入れつつ、演習形式でのワークを2つ挟んでの講義です。
ワークの1つ目は「自然エネルギーのイメージ」で、2つ目は「どうしたら自然エネルギーを地域の『しごと』にできるか」としました。
自然エネルギーのイメージはポジティブ・ネガティブを挙げて貰ったところ、1:2くらいの割合でネガティブなイメージが大きく、その内容は一般的にメディアで報じられているような、
- 出力が不安定
- 初期投資が高額
- 発電効率が悪い
- 環境を破壊することがある
といった点でした。
一番最後の「環境を破壊することがある」というのは、特に昨今大規模な太陽光発電で注目されている部分で、長野でも諏訪地方でのメガソーラー事業等が話題になっています。
これを受けて、実際にGoogle Earthのデータで山林が太陽光発電へと開発されていく画像を時系列で見せた時には、学生達が見入っていました。
FIT以前の自然エネルギーは、『環境負荷が少ないクリーンなエネルギー』という点を推して経済性が高くなくとも導入する理由があるという動機付けでしたが、現在は『環境負荷が高い』自然エネルギーも増えています。
「どうしたら自然エネルギーを地域の『しごと』にできるか」では、成功事例を広めていくようなコンサルティング、市民発電事業、小さくて高効率だったりオシャレな発電機の開発など幅広い意見が出ました。
今回の講義は限られた時間だったので掘り下げきれませんでしたが、最後に今の時代の「しごと」観について少しばかり話をして講義終了です。
普段依頼のある市民向けのワークショップと違い、大学1年生を対象としたことでそのアウトプットの違い(特に2つ目のワーク)には驚かされました。
また次の機会があれば、今度は地域での自然エネルギーによる仕事作りに焦点を当てた講義をしてみたいと思います。