ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度のデータ公表

たぶんあまり知られていないと思うのですが、再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度(FIT)に関連したとあるデータの公表が先月から始まっています。

 

固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト

 

非常にやっつけ感のするページ(2014年9月15日時点)ですが、ちゃんと.go.jpドメインを有する中央省庁正規のWebサイトです。

ここで何が公表されているのかというと、「固定価格買取制度によって認定された再生可能エネルギー発電設備」の都道府県及び市町村別データです。あと買取制度による買取電力量と買取金額も公表されています。

自然エネルギー発電設備に関する情報というのは、これまでとても情報源が限られていて不完全でした。実は買取制度導入以前は、国内の住宅用太陽光発電設備の導入量でさえ補助金に紐付けられたデータしかなく、事業用の発電設備も電気事業者の申告に基づくRPS制度のデータがあるくらいでした。日本国内の自然エネルギー発電設備の正確な導入実態は政府も自治体も知らないという状態だったのです。

今回、市町村別のデータが公表されたことは大きな前進で、これで国内の自然エネルギー発電設備の普及状況が詳細に把握できるようになりました。(売電しない独立型の発電設備をどう把握するかという課題は残ります)

普及状況が把握できるということは政策を立てる上で最も重要な基礎情報が得られるということですから、国や地方自治体によるエネルギー政策立案にも大きな影響があると思います。

 

さて、このデータから読み取れることはたくさんあるのですが、2つ大きな数字を抜き出してみると

 制度開始からの累計電力買取量:286億9,637万kWh

 制度開始からの累計電力買取金額:9,352億円

 (いずれも2014年5月末時点)

というデータが公表されています。

5月分の電力買取金額が974億円なので、おそらく6月下旬には累計が1兆円を超えたことになります。ちなみに単純計算で買取電力の単価は32.59円/kWhです。

累計電力買取量がどれくらいの規模なのか?という点ですが、大体出力100万kWの原子力発電所東京電力柏崎刈羽原子力発電所の各基など)の年間発電電力量が90億kWhくらいです。買取量は約2年分の累計なので、今のところ大体原発2基分以上は買取制度の対象になっている自然エネルギー発電設備で発電されていることになります。

 

このデータからは更に色々と読み取れるので、追々分析していこうと思います。