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ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:送電網への自然エネルギー発電設備の接続限界(連系制約)・系統連系問題の話

九州電力が固定価格買取制度に基づく売電契約の中断を検討?というニュースが巷を騒がせていますが、そもそも何故こういった事態になるのかという理由はなかなか一般には知られていないように思いますので、技術的な細かい部分を省きつつ簡単に解説していきます。

 

発電所で作られた電気は送電線を通って住宅や工場など消費者の所へ送られますが、そのために発電設備を送電網(商用電力系統)に接続することを「系統連系」といい、これが出来なければ発電所を建設しても売電することが出来ません。送電線に送り出せる電気の量は無限ではなく、道路や水道管など他のインフラと同じように運べる量に限界があり、電気を送ることが出来る距離にも制約があります。

そのため、昨今のように太陽光発電所が各地で短期間に大量に建設されると、電気を送るための送電線や変電所の空き容量が足りなくなってしまいます。この容量を引き上げるためには、渋滞解消のために道路を拡張するように送電線や変電所の能力を増強しなければなりません。しかし、これには多額の費用と時間がかかるため、固定価格買取制度で急増した太陽光発電所の事業計画に対応し切れていないのが現状です。

 

今回は九州電力管内全域が対象というニュースだったのでかなり注目を集めていますが、実は北海道電力沖縄電力では既に太陽光発電風力発電などの系統連系に大幅な制限がかかっています。

 

北海道の場合、固定価格買取制度開始から9ヵ月しか経っていない2013年4月には経済産業省が系統連系の限界に達しつつあるとの見解を出しました。北海道は日本の国土の22%に相当する面積があり、平野も多いことから大規模太陽光発電所の計画が次々と立ち上がりました。しかし、その広さに対して人口は約544万人(全人口の4%程度)しかいないため電気の需要は多くありません。本州との間を結ぶ送電線も細く、発電所を建設しても電気を使うところがないのです。

沖縄の場合も同様で、沖縄本島では300kW以上の太陽光発電所は57,000kWまで、300kW未満を含めても最大310,000kWまでという制限が公表されています。沖縄は送電線が他の地域と繋がっていないため、より条件はシビアです。

 

北海道の場合も沖縄の場合も、

  • 送電網に接続できるとされている発電設備の量は技術的に妥当なのか
  • 送電線や変電所の増強に必要な費用や期間は妥当なのか
  • 系統連系のための条件を見直すべきではないか

など、色々な議論があります。

詳しく説明すると複雑になるので色々と省きましたが、送電網に接続することができる発電所の規模には限度があり、その対策を巡って日本各地で問題が発生しているというのが実態です。発電所を建設すればその電気は必ず固定価格買取制度で売電できる」というわけではありません。あまり一般には報じられてきませんでしたが、固定価格買取制度が導入されてから「系統連系」政府・電気事業者・発電事業者の間で常に問題になってきました。

 

2008年頃の電気事業連合会による検討資料では、全ての電力会社が受け入れ可能な太陽光発電設備は最大1,000万kW(条件付きで最大2,800万kW)とされていましたが、固定価格買取制度の設備認定を受けている太陽光発電設備は6,870万kW(今年5月末時点)で、導入量だけで既に1,500万kW以上に達しています。

今回の九州電力に関する報道内容が現実に行われるかどうかはまだ分かりませんが、こういった現状を踏まえると系統連系の問題は今後より深刻化していくことになるでしょう。

連系制約の問題については引き続き取り上げていきたいと思います。