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ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:電力会社による発電設備の系統連系(送電網への接続)拒否とは?

引き続き系統連系について取り上げていこうと思いますが、今回は九州電力に関する報道で話題になった「固定価格買取制度(FIT)に基づく系統連系・売電契約の拒否」とはどういうことかというところを見ていきます。

固定価格買取制度の根拠法は「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」という法律です。この法律の中では、電気事業者(東京電力九州電力を含む地域電力会社など)に対して以下の義務を定めています。

  • 特定契約の申込みに応ずる義務(第四条)
  • 接続の請求に応ずる義務(第五条)

ここで言う「特定契約」とは固定価格買取制度に基づく売電契約のことで、「接続の請求」とは発電設備を送電線や変電所につなぎたいという申込のことです。この特定契約+系統への接続(連系)がセットになって、初めて発電事業者は固定価格買取制度に基づく売電事業を行うことが出来ます。

では、この契約を電気事業者は拒むことが出来る条件はどうなっているのか?というと、これも同じ法律の中で規程があります。少々分かりにくいですがまず条文から引用すると

  1. (特定契約の拒否)当該電気事業者の利益を不当に害するおそれがあるときその他の経済産業省令で定める正当な理由がある場合(第四条)
  2. (接続の請求の拒否)当該特定供給者が当該接続に必要な費用であって経済産業省令で定めるものを負担しないとき。(第五条の一)
  3. (接続の請求の拒否)当該電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき。(第五条の二)
  4. (接続の請求の拒否)前二号に掲げる場合のほか、経済産業省令で定める正当な理由があるとき。(第五条の三)

ここでいう「特定供給者」とは、自然エネルギー発電設備で発電事業をしようとする法人や個人のことです。

今回、九州電力の件を含めて問題となるのは第五条の「接続の請求の拒否」関係で、上記の3と4が特に該当します。3は、太陽光発電のように一日の間で大幅に発電量が変動する電源が大量に送電網に接続されることで、他の電源による電気の供給量の調整が追いつかなくなり停電など電力の安定供給に支障が出るといった事例が想定されています。4は、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則」に色々な事例が定められていますが、特に第六条の五にこんな規程があります。

「接続請求電気事業者が、当該接続の請求に応じることにより、被接続先電気工作物に送電することができる電気の容量を超えた電気の供給を受けることとなることが合理的に見込まれること」(第六条の五)

要は、太陽光発電所などから電気事業者の送電網が受け入れきれない電気の供給が合理的に見込まれる場合は、送電網への接続を拒否できることになります。

 

この「合理的」というのが厄介で、電気事業者はその合理性を説明する資料の提示が義務づけられていますが、発電事業者側はその内容を検証して交渉するだけの知識と技術を持っていない場合がほとんどです。送電線や変電所の資料は電気事業者しか持っていませんし、その資料を理解して技術的な問題を解決出来る技術者も希少な存在です。ですから、大抵の場合は電気事業者に「接続できません」と言われてしまえばそれ以上は手を打つことが困難になります。

このあたりは、固定価格買取制度の準備段階から発電事業者に不利な内容であるといった問題点が指摘されてきましたが、実際にこの条件によって発電事業を断念するケースが相次いでいます。

 

更に、このハードルをクリアして電気事業者との交渉を突破し無事に系統連系が出来たとしても、今度は「出力抑制」という問題が立ちはだかります。

これはまた次回以降取り上げていきます。