あまり知られていない税金:石油石炭税と地球温暖化対策税
資源やエネルギーに関する税金はいくつかありますが、例えば「ガソリン税」(揮発油税及び地方揮発油税)はよく知られています。原油価格の上昇でガソリン価格が上がってくるとマスコミなどで話題に上る税金ですが、ガソリンのような小売りされる石油製品には、もっと上流の段階で課税されている税金があります。それが「石油石炭税」です。
石油石炭税の課税対象は「原油及び石油製品、ガス状炭化水素並びに石炭」で、1キロリットルまたは1トンあたり○円という課税がされています。元々は「石油税」として石炭は対象外でしたが、2003年からは石炭にも課税されるようになりました。
この税額はじりじりと上昇を続けており、2014年4月1日からの税額は以下のようになっています。
単価だけだとピンときませんが、税収総額はいくらなのか?を政府の決算書から調べてみると、2012年度時点で年間5,669億円という規模になっています。この税金は、私たちが日頃使っているガソリンや灯油や電気代にガス代といった様々なものの価格にひっそりと転嫁されています。
更に、この税金には「本則税率」と「地球温暖化対策のための税率の特例」という2つの課税要素があります。ガソリン税でも「暫定税率」という言葉が話題になりましたが、これも正しくは「揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例」と言い、この税率の特例を定めているのはどちらも同じ「租税特別措置法」という法律です。
改めて石油石炭税の本則と特例部分を見てみると
このような仕組みになっています。
しかもこの「特例」部分はまだ経過措置として軽減されていて、2年後の2016年4月1日からは760円(原油など)・780円(天然ガスなど)・670円(石炭)にまで上昇します。詳細な表は以下の財務省のWebサイトが詳しいです。
さて、この石油石炭税の「特例」部分である「地球温暖化対策税」が実は2012年10月から導入されていたことをご存じだったでしょうか?
地球温暖化対策を推進する観点から導入されたこの税金は、いわゆる「環境税」の一つです。この税額は化石燃料ごとの二酸化炭素排出量から決められており、二酸化炭素排出量1トンあたり289円という算定基準になっています。また、石油石炭税の「特例」という形で課税されているのは、もともと全ての化石燃料を対象としている石油石炭税の課税スキームをそのまま活用するためです。
環境省の試算では、2016年度に軽減税率がなくなった時点での世帯あたりの負担額は1,228円/年(102円/月)としています。そして、2016年度以降は毎年2,623億円の税収となる見込みです。
この税収を活用して
といった政策が今後展開されていく予定です。
新たに私たちが負担している「地球温暖化対策税」が適切に活用されていくのかどうか、政策動向に注目していく必要があります。