ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:回答保留措置を発表した電力各社対応比較

先週から今週にかけて立て続けに発表された、九州電力東北電力四国電力北海道電力の固定価格買取制度に基づく接続申込みに対する回答保留措置ですが、同じ「回答保留」といっても各社の対応がかなり異なります。

改めて、各社のニュースリリース資料と、経済産業省の新エネルギー小委員会に提出された資料から、その内容を比較してみることにします。

※下記の内容は全て10月1日時点の各社資料に基づいたものです。

 

1.回答保留措置の理由

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まず回答保留措置の理由ですが、各社とも共通して「管内の再生可能エネルギー発電設備を加えた電力供給量が、軽負荷時の電力需要を超える可能性がある」としています。東北電力のように設備認定された設備が全て導入された場合とするものと、九州電力のように接続申込み量が全て接続された場合とで事情は異なり、実際に発電設備が稼働する可能性の高い九州電力の方が系統対策の切迫度は高いでしょう。

そして、各社とも実際にどれだけの発電設備を受け入れられるのかを検討するため、回答保留措置をとるとしています。

 

2.回答保留期間やその対象

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回答保留期間は四国電力以外は数ヶ月程度としており、また各社とも発表日の翌日から保留措置を適用としています。発表から時間を置くと、短期間に申込みが殺到する可能性があるからだと思われます。

対象とするエネルギー種別は共通ですが、連系種別を見ると東北電力だけは低圧連系の発電設備を全て除外しています。また、それ以外の3社も10kW未満の余剰売電となる住宅用太陽好設備は対象外となっています。

 

3.対象となる手続や個別協議の条件

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ここが今回の措置のキモとなる部分です。一体どの手続が保留措置の対象となるのか?を比較してみると、だいぶ各社の対応に違いが見えてきます。

最も厳しいのが九州電力で、今回の措置発表以降の新規申込み分だけでなく、既に申込みがされている事前相談・接続検討・接続契約の申込みも全て保留となっています。例外は、既に系統連系の技術検討が完了し回答を送付している案件だけです。東北電力四国電力北海道電力は、10月1日以降の新規連系申込みを回答保留対象としています。このあたりも九州電力の系統対策の切迫度が高いことを示していると言えます。

対象外とする事例や個別協議の条件についても九州電力が一番詳細で、次いで昨年から既に系統への受け入れ抑制が行われていた北海道電力も、出力抑制を受け入れる場合などは保留措置の対象外または個別協議としています。

逆に、再生可能エネルギー発電設備の設備認定量が管内需要を超過してきた東北電力四国電力は、個別協議の要件などは示されていません。四国電力の場合は保留措置の期限も「早急に」として特に明示されておらず、また事前相談や接続検討などは引き続き受付・回答を継続するとしています。

 

ざっと各社の状況を比較してきましたが、系統対策の必要性が逼迫してきたと思われる九州電力が最も厳しい措置となっており、その後横並びで発表した3社はまた違った対応になってきています。

ただ、いずれにしても再生可能エネルギー発電設備の増加によって、電力供給が軽負荷時の電力需要を超える」ということは共通しており、回答保留措置解除後は発電所の出力抑制措置がより拡大されることは間違いないでしょう。

保留措置の対象となってしまった発電事業者は、それを考慮してこの期間に事業計画を練り直す必要があると考えられます。