固定価格買取制度:経済産業省・資源エネルギー庁が電力会社の接続申込みへの回答保留問題などに対応すべく系統ワーキンググループを設置
経済産業省・資源エネルギー庁が、固定価格買取制度(FIT)など再生可能エネルギー政策について検討する、総合資源エネルギー調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会下にある「新エネルギー小委員会」に、系統ワーキンググループを設置することになりました。
九州電力を始めとする電力会社による接続申込みへの回答保留問題を受け、送電網への系統連系問題について調査・検討を行うということなのですが、この対応に今更感が拭えません。
(出典)経済産業省・資源エネルギー庁 新エネルギー小委員会 第4回配付資料より
上記が系統ワーキンググループの設置趣旨ですが、「再生可能エネルギー発電設備を追加的に受け入れることが困難となる事例が発生しつつある」、「電力会社が(中略)現時点で十分な措置を講じているかしっかりと精査し、早急に対策を検討」などと書かれています。
しかし、FIT開始から1年も経たない2013年4月には、北海道電力管内で送電網への接続量の限界が示され、同7月には経済産業省令を改正して出力抑制や接続拒否の要件を緩和しています。
この時点で既に各地で電力会社による接続拒否の事例が発生しており、逆潮流対策など系統連系のための工事負担金が上昇するなどの事態が起きていたわけですから、この1年間政府は何をしていたのか?という疑問が湧いてきます。
下記は、九州電力が管内における太陽光発電の設備認定急増を認知し、政府と協議を始めたという頃にあたる、2014年6月17日に開かれた第1回新エネルギー小委員会の配付資料から抜粋したものです。
(出典)経済産業省・資源エネルギー庁 新エネルギー小委員会 第1回配付資料より
これは資源エネルギー庁側が用意した資料ですが、この時点で一次系統でも熱容量の不足が発生するほど太陽光発電の接続申込みが多くなっており、膨大な対策工事費が生じていることなどは当然ながら認識していたことになります。
また、同委員会の議事録を参照すると、オブザーバーである電気事業連合会の発言として、既に各電力会社が供給調整力の活用について試行している旨が述べられています。委員の発言でも、2013年度末時点の太陽光発電設備に対する設備認定量から、系統安定化策に対するコスト増大などが指摘されています。
政府は、ワーキンググループを設置して系統連系問題へ緊急に対処していくとしていますが、その前に何故ここまでの状況に至る前に手が打てなかったのかについて、明確な説明がなされるべきでしょう。
重大な問題として認知していなかったのか、送電網を管理する電力会社に任せきりだったのか、その背景が是非とも知りたいものです。