ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:メガソーラーの設備認定停止や認定済み事業の買取各引き下げも検討?

10月11日付の日経電子版の報ですが、経済産業省が固定価格買取制度に関して以下のような見直しの検討に入ったとしています。

  1. 大規模太陽光発電の設備認定を一時停止
  2. 固定価格買取制度による国民負担額の上限設定
  3. 導入量が増加した再生可能エネルギーの買取価格引き下げ
  4. 認定を受けても発電事業を開始しない案件の買取価格引き下げ
  5. 太陽光に偏らない再生可能エネルギーの導入目標設定

またインパクトが大きいのが、1と4の大規模太陽光発電の設備認定一時停止と認定済み案件の買取価格引き下げ案です。

今回、送電網の問題が大きくクローズアップされたのを契機に、認定済みの太陽光発電所の稼働開始を優先し、既存事業者の増設を含む新規の認定受付を停止するということのようです。既に、来年度の更に引き下げられた買取価格になれば、事業用地の減少も相まってメガソーラーの市場は一気に縮小すると想定していますが、設備認定自体が停止となれば一層その状況は加速します。

また、現在認定を受けている案件も事業の開始が遅い場合は買取価格を引き下げるという案ですが、既に2012年度及び2013年度の設備認定案件は報告徴収という形で、事業着手状況の調査が入っています。この時は、事業用地の確保と太陽光パネルの発注が「事業着手」の判断基準になっていましたが、このチェックをクリアした案件でも引き下げ措置の対象になる可能性はあるかも知れません。

「発電事業を開始しない」の要件が、単純に設備認定からの期間で判断される場合は、その影響は非常に大きくなります。連系工事が2~3年以上といったケースは考慮されるのか?などが議論になるでしょう。

 

その他、2の国民負担額の上限設定ですが、現在設備認定を受けている発電設備が全て稼働した場合、一般家庭の年間負担額は1万円に達するとしています。ここに対する異論として、既に火力発電の増加と燃料調達費の上昇により、一般家庭が電気料金に上乗せして負担している「燃費調整負担金」は、既に東京電力管内で年1万円に達しつつあります

再生可能エネルギー発電の増加によって火力発電の割合が減少すれば、この部分は置き換えられるわけですから、より詳細な負担額や支払い対象(国内の再生可能エネルギーか、外国の化石燃料か)も考慮して議論すべきと思います。

 

15日に開催される経済産業省資源エネルギー庁の新エネルギー小委員会で、これらの案が議論されるということなので、その内容が公表されたら更に検証していきます。