ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

ソーラーシェアリング:ソーラーシェアリングの制度的な背景

2013年4月から本格的に実施が認められるようになった営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)ですが、その制度的な担保になっているのが、農林水産省「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」という通知です。

 

農林水産省/支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて

 

ソーラーシェアリングの特徴は、営農している農地に太陽光発電設備を設置できるという点にありますが、そのためには以下の条件をクリアする必要があります。

  1. 営農の適切な継続を前提とした支柱の設置であること
  2. 簡易な構造で容易に撤去できる支柱であること
  3. 発電設備の設計が農作物の生育に適した日照量を保つための設計となっていること
  4. 農作業に必要な機械等を効率的に利用できる空間を確保していること
  5. 周辺農地の効率的な利用や農業用用排水施設の機能等に支障を及ぼさないこと
  6. 発電設備を撤去するのに必要な資力及び信用があると認められること

制度の前提が、営農を支えるための補助的なものとしての発電事業なので、上記のように発電設備の下にある農地をしっかりと耕作できることが必須条件になっています。

また、手続としては発電設備を設置する面積分「農地の一時転用許可」を受けることになりますが、この許可期間は3年以内とされています。そのため、固定価格買取制度を利用して非住宅用太陽光発電(出力10kW以上)の全量売電を行う場合、6回は許可の更新を受ける必要があります。

その他、発電設備の下で耕作する作物の生産量が単年で8割を下回らないことや、品質が確保されることなどの条件も付されてきます。

このように多くのハードルを越えていく必要があるソーラーシェアリングですが、国内では少しずつ事例が増えてきています。事例を積み重ねながら仕様や許認可基準の標準化が模索されている部分もあるので、まだまだ発展途上なのが実情です。