ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:九都県市首脳会議による固定価格買取制度見直しなどへの要請

本日11/20付で、九都県市首脳会議が再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度に対する見直し等について国への要請を行いました。

なお、九都県市とは埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市川崎市千葉市さいたま市相模原市です。

 


再生可能エネルギーの固定価格買取制度の見直し等要請|東京都

 

今回の要請では大きく6項目が提起されています。以下に、上記の要請内容から各項目の全文を引用します。

  1. 再生可能エネルギーの導入拡大に向け、エネルギー基本計画で示した水準(約2割)を大きく上回る導入目標値を設定し、必要な対策を計画的に実施すること。
  2. 固定価格買取制度における再生可能エネルギー賦課金の検討に際しては、国民負担の増加という側面だけでなく、地球温暖化防止、地域経済の活性化や雇用の創出、災害発生時の非常用電源の確保など、社会的な便益も総合的に勘案し、国民全体の理解のもとに検討すること。
  3. 固定価格買取制度における買取価格の設定時期や適用時期については、発電設備の市場価格の動向を迅速に反映させる観点から見直しを検討すること。
    併せて、設置費用を詳細に調査し、設置形態や設備の規模に応じた区分を細かく設定すること。
  4. 接続可能量の検証に当たっては、再生可能エネルギーが最大限導入できるよう、検証の諸条件を設定すること。
  5. 系統連系制約が生じている現況に鑑み、電力会社への再生可能エネルギー発電設備の接続申込みの状況、電力系統別の接続可能量及び発電実績を早急に公表すること。
    また、事業者の事業計画策定における必要性等に鑑み、設備認定や接続申込みの状況及び発電実績を定期的に公表する制度を整備すること。
  6. 電力系統への再生可能エネルギー発電設備の接続可能量を拡大するため、地域内の電力系統の増強、既存の揚水発電の活用、大容量の蓄電池の導入と技術開発の推進、水素への変換、貯蔵の活用に向けた実証事業の実施など効果的な対策を早期に検討すること。
    また、その費用負担については、発電事業者に負わせるだけでなく、社会インフラを整備するという視点で、国の支援も含めて負担のあり方を検討すること。

要請文では、固定価格買取制度による消費者への賦課金について、地球温暖化防止・雇用創出・非常用電源の確保など社会的な便益を考慮することや、送電網への接続可能量や発電実績の情報公開、接続可能量拡大のための系統増強や技術開発などを求めています。

また、送電網の増強に関する負担金が高額化し、一次系統まで含めて発電事業者に転嫁されている状況に対して、社会インフラとして国の支援を含めた負担のあり方への検討も提言しています。

現在、固定価格買取制度の見直し議論が進んでいますが、系統問題を含めて迷走しているような気配が感じられるのは、エネルギー政策全体としてまだ再生可能エネルギーの具体的な普及ロードマップや、地域での事業化推進などに対する優先順位付けなどができていないのが理由と言えます。

今回の要請のように地方自治体からの積極的な働きかけを行い、何故我々は再生可能エネルギーの導入・拡大に取り組むのか、そのためにどのような制度や負担が必要なのかという議論を深めていく必要があります。