ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

自然エネルギー:ダムや貯水池を利用したフロート式太陽光発電所や小水力発電所が増加

最近、ダムの水上に太陽光パネルを浮かべるフロート式の太陽光発電所や、ダム本体の水路を利用した小水力発電所の話題が増えています。

千葉県内でも事例がぼちぼち出てきており、市原市にある山倉ダムのフロート式メガソーラーや、南房総市での安房中央ダムを利用した小水力発電計画等が浮上しています。

 

(終了)山倉ダムにおけるフロート式メガソーラー設置運営事業者の募集について(報道発表資料)/千葉県

 

山倉ダムは京セラが出資する京セラTCLソーラー合同会社事業者となっており、同社は2014年度中に60MWのフロート式メガソーラーを開発するとしています。

ダムや貯水池などに設置するフロート式の場合、水上に置かれることで太陽光発電所の出力低下要因となるパネル本体の温度上昇を抑制できるほか、水面に当たる日射量を減らすことで水の蒸発を抑えるなどの効果が期待できるとのことです。

渇水で水面が下がりすぎた場合等にどんな影響が出るのかや、パネルのメンテナンスの方法が気になりますが、通常の野立てと違って設置場所の用途競合が起きにくいため今後一定の増加が見込まれると考えられます。

 

安房中央ダムの小水力発電計画は、千葉県が2015年度に事業化を目指しているとされる事業で、土地改良施設の稼働に電気を使い余剰分を売電する計画と言われています。

固定価格買取制度の導入によって比較的小規模なダムや水路でも、小水力発電事業に取り組む動きが出てきており、水力発電の芽がほとんどないと言われていた千葉県下でも計画が持ち上がるようになってきました。

ダムや貯水池であれば 、いずれフロート式メガソーラー+小水力発電という組み合わせも可能になるかも知れません。安定電源である小水力と変動電源である太陽光となれば、発電設備全体としての出力調整も比較的容易になりそうです。

 

ちなみに、千葉県内は市原市以南の房総半島全域で送電網の空き容量がなくなっており、東電の公開情報では66kVの地域供給系統から275kVの基幹系統まで、連系制約の可能性が示されています。上記両案件も、系統連系問題の影響を受ける可能性が高い状況です。

フロート式メガソーラーなど、新しい自然エネルギー利用の形態が次々と考案されますが、根本的な問題となっている送電網の連系制約をどう乗り越えるかが課題です。

12月に入り、そろそろ固定価格買取制度の見直しの方向性が見えてくる頃になり、次年度以降見据えた動きも増えてくるでしょう。