ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

資源エネルギー政策:政府による福島県での再生可能エネルギー導入促進策と接続保留措置緊急対応

固定価格買取制度の見直し措置の中で謳われていた福島県における再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取り組み」について、資源エネルギー庁から9日に公式発表がありました。

 

福島における再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取組を促進します(METI/経済産業省)

 

 平成26年度補正予算案が閣議決定されたのを受けての発表ですが、内容としては

  1. 福島県内にある東京電力の送変電設備の活用
  2. 再生可能エネルギー発電設備、送電線や蓄電池等の導入・実証の支援
  3. 避難解除区域等における優先的な接続枠の確保

となっています。

変電所の改修工事や避難解除区域等における優先的な接続枠の確保といった接続保留措置対策のほか、再生可能エネルギー発電事業に対する直接的な補助も盛り込まれています。

発電事業に対する補助は、

が対象になっています。

同日に発表された平成26年度補正予算案の概要では、福島県を中心とした東日本大震災による津波災害と、福島第一原子力発電所事故による原子力災害の被害を受けた地域における再生可能エネルギー事業への支援に加えて、下記のような接続保留措置に対する緊急対応も予算化されています。

f:id:chibaecoenergy:20150111132437j:plain

(出所)経済産業省 平成26年度経済産業省関連補正予算案の概要より

ただ、上記資料では送電網に対する受け入れ可能量を増加させるための全国的な措置が

  1. 遠隔で出力制御を可能とする技術の確立
  2. 蓄電池の活用

のみとなっています。

補正予算総額744億円のうち、福島を含む被災地支援を加えてどれだけの予算が割り振られていくのかにもよりますが、短期的に現在の系統連系問題解決に資する施策はなさそうです。

特に、電力会社同士を結ぶ地域間連系線の積極的活用に向けた技術検討や、再生可能エネルギー設備の発電量と電力需要のリアルタイム予測・調整システムの開発など、より有効な技術開発に向けた予算措置が含まれていません。

補正予算なのであくまでも臨時的な措置ということなのかも知れませんが、12月に公表した系統連系問題や固定価格買取制度の運用見直しへの緊急対応と言うには、あまりに物足りない内容となりました。