ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

ソーラーシェアリング:第2回ソーラーシェアリング交流会に参加してきました

昨日は、千葉県いすみ市にて開催された「第2回 ソーラーシェアリング交流会」に参加してきました。

千葉市内から車で80分ほど、こんなのどかな田園風景の中での開催です。

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今回の交流会は、いすみ自然エネルギー推進協議会・いすみ自然エネルギー株式会社が設置を進めているソーラーシェアリングサイトの見学のほか、ソーラーシェアリングの第一人者であるCHO技術研究所の長島先生、「つくばソラカルファーム発電所」をほぼ一人で作り上げたソーラーカルチャー株式会社の松岡さん、日本のみならず海外からも注目されているソーラーシェアリング上総鶴舞の高澤さんなど、多くの方々の報告や発表が盛りだくさんの会でした。

午前中のサイト見学では、現在開発中の「スマートターン」がお披露目されました。いわゆる一軸追尾型の装置になりますが、太陽光パネルを東西方向に回転させることで朝から夕方まで太陽を追尾し発電量を増やす装置になっています。

下の写真はスマートターンの回転軸部分です。

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この日は、交流会参加者も加わって発電所の開設記念式典も行われました。

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午後から行われた事例紹介・発表会では、長島先生を始めとしたソーラーシェアリングの技術関係の発表、事業実施にあたっての資金調達や地域展開の事例紹介、既にソーラーシェアリングを行われている方々による営農報告などがありました。

下の写真は、ソーラーシェアリング上総鶴舞の高澤さんによる報告です。

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ソーラーシェアリングが農林水産省の通達によって公式に認められてから間もなく2年が経過しますが、千葉県内では今年1月時点で45件の事業が認定されています。全国的には200件程度と見られている中で、田畑牧草地を問わず様々な取り組みが行われ、広がりを見せています。

使用される太陽光パネルの種類や架台の構造も様々で、今回のスマートターンのような新しい技術開発も進んでいますが、一方で固定価格買取制度による非住宅用太陽光発電の調達価格が引き下げられ続けていることもあり、事業性の確保が課題という意見もありました。

ソーラーシェアリングは出力50kW未満の低圧連系がほとんどなので、電力会社との協議に要する時間は大規模太陽光発電所ほどではないものの、農業委員会による一時転用許可を得る必要があるため全体の事業期間は長期化しがちです。

また、農林水産省の方針では、ソーラーシェアリングを全量売電による農家の補助収入源とする方向が見受けられますが、今回の交流会では発電量を向上させる取り組み以外にも農作物の収量増加自家消費による農業用機械・装置の電源利用など多くのアイデアが報告されました。

太陽光発電以外でも、小水力発電バイオマス利用など自然エネルギーと農業の親和性は高く、ソーラーシェアリングを含めて各地で両者を組み合わせていく動きが活発化している印象を受けます。食料とエネルギーは社会の基盤となるものですから、今後はその振興と安定供給を目指す取り組みを更に進めていきたいと思います。