電力自由化・発送電分離:電力広域的運営推進機関(広域機関)が発足
4月1日といえば、新年度になって多くの物事が変わったり新しいことが始まったりするタイミングですが、我が国のエネルギー政策そして電気事業に関連するところでも大きな動きがあります。
その一つが、「電力広域的運営推進機関」(OCCTO・広域機関)の発足です。
電力広域的運営推進機関とは、平成32年(2020年)を目途とする発送電分離に向けた電力システム改革の第一ステップと位置づけられる、全国的な送配電網の整備・運用のための組織です。
従来、電気を送るための送配電網は一般電気事業者である東京電力などの各地域電力会社が自身の管内のみを管理しており、特に東日本大震災の時は電力会社間の電力融通に大きな手間が生じていました。
これを広域機関に一元化し、各地の系統情報を把握して電力需給や系統運用を全国規模で行うほか、系統に対する接続検討の受付(今後予定)なども担っていくことになります。
こういった特性から、広域機関にはすべての電気事業者(一般電気事業者・卸電気事業者・特定電気事業者・特定規模電気事業者)が加入を義務づけられます。
一連の電力システム改革は、以下のような流れで進みます。
- 電力広域的運営推進機関の発足(平成27年度)
- 電力小売自由化(平成28年度)
- 送配電部門の法的分離(平成30~32年度)
広域機関では来年度から各電気事業者に電力需給計画や発電計画を提出させ、それらを取りまとめて全国の電力需給計画を策定していきます。
加えて、来年度から始まる電力小売自由化では、消費者が電力会社を切り替える手続き(スイッチング)を広域機関が支援することで、より簡易に乗り換えが可能になる予定です。
このような全国的な系統運用や送電網の増強が進めば、現在問題となっている再生可能エネルギー発電設備の系統連系問題も改善される見込みがあるので、その点も含めて今後の動向に注目です。