ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:買取制度の期間終了後も事業者に発電事業継続義務を検討へ

固定価格買取制度(FIT)では、再生可能エネルギー発電設備に対して10~20年間の買取期間が設定されています。

では、買取期間終了後の発電所はどうなるのでしょうか?

例えば太陽光発電所の場合、太陽光パネルメーカーは多くが25年以上の出力保証を行っていて、NEDOの指針では30年を稼働年数の目安としています。小水力発電所は50~100年以上稼働しているものも珍しくないですし、地熱発電所も40年稼働しているプラントがあります。

もちろん、適切な維持管理と修繕を重ねることによって発電所の長寿命化が図られるわけですが、固定価格買取制度という広く消費者が費用負担をすることで、他の発電方式より有利な条件での売電ができる再生可能エネルギー発電設備に対し、買取期間の終了後も事業継続義務を課すことが検討されています。

mainichi.jp

14日に開催された新エネルギー小委員会では、以下のように問題提起がされています。

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(出所)経済産業省 新エネルギー小委員会第11回 配布資料

重要な論点を抜粋すると

  • 更新投資やリパワリングによる発電設備の性能維持
  • 買取期間終了後も長期持続的な発電事業を継続
  • 発電事業者の責務として安全性の確保や適正処理・廃棄に対応

となります。

例えば、固定価格買取制度によって太陽光発電所が急増したものの、20年後には次々と廃止されてしまうようでは、再エネ賦課金という社会的コストをかけてまで普及させた意味がなくなってしまいます。

一方で、買取期間終了後も発電事業者として設備運用を見込んでいる新規の発電事業者は少ないのではないか、というのが実感です。

今後、新エネルギー小委員会を中心として検討されることになりますが、その趣旨からすると事業継続義務は既に発電事業を行っている事業者にも適用されることになるでしょうから、どのような形で義務を課していくのかを含めて幅広い議論が必要です。