ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

太陽光発電事業:環境省が太陽光発電設備の適正処分に関する検討結果を公表

固定価格買取制度の導入に伴って太陽光発電設備の導入が急増していますが、一方で将来的に大量の太陽光パネルが廃棄される懸念が生じています。

1990年代に設置された初期の太陽光発電設備も廃棄され始めており、その適正処理に向けた検討結果を環境省が公表しました。

www.env.go.jp

現在は、太陽光パネルは産業廃棄物として処理されます。

国内では2005年頃から適正処理に関する検討が始まり、2014年度からNEDOがリサイクル技術開発に乗り出していますが、排出量が少ないこともあって回収・リサイクルシステムの構築などはほとんど進んでいませんでした。

古い太陽光パネルでは有害物質が内部から検出されており、FITによる普及拡大後は国内外の様々なメーカーの製品が使用されるようになる中で、処理も含めた環境配慮設計などの指針もありません。

仮に、既に国内で導入されている約1,200万kWの非住宅用太陽光発電設備が廃棄されるとなった場合、およそ120万tの太陽光パネルの廃棄が生じます。

リサイクルのための粉砕・選別処理技術の開発や、リユースマーケットの確立、メーカーによる引き取り義務化など多くの手段が検討されていますが、発電事業者にも適正処理の義務を負わせなければ他の産業廃棄物と同じ問題が生じかねません。

再生可能エネルギーである太陽光発電が将来的な廃棄物問題を生まないように、早急にこの議論を進めて体制を整えていく必要があります。