固定価格買取制度:固定価格買取制度の見直し議論開始(1)
固定価格買取制度(FIT)の導入から丸3年、太陽光発電の急増から系統連系制約問題まで、多くの解決すべき課題を抱えながら本格的な制度の見直しが始まることになりました。
先週24日に新エネルギー小委員会の第12回会合が開催され、事務局側から提示された具体的な論点として
- 調達価格の設定
- 系統接続・整備
- 規制・制度上の問題
以上の3点が挙げられました。
FIT導入以前から比較すると、発電電力量ベースで再生可能エネルギーの比率は約2.3倍に増加(一般水力は除く)し、平成27年3月末時点で設備認定容量は8,768万kWに達しています。
電源別にみると、太陽光発電が4倍以上に伸びる一方で他の電源はほぼ横ばいで推移しています。これについては、太陽光発電の当初調達価格の高さもさることながら、各電源の開発しやすさ・取り組みやすさの違いが大きく影響しています。
まずはそこを見ていきましょう。
(出典)経済産業省 新エネルギー小委員会第12回会合 配付資料1
事業開発から発電開始まで、概ね小水力発電で3年程度、風力発電で5年程度、地熱発電では10年程度を要する一方で、非住宅用太陽光発電の場合はメガソーラー級でも1~2年あれば十分に事業化できます。(系統連系問題による連系工事を除く)
50kW未満の太陽光発電所であれば、連系制約がなければ正味2~3ヵ月で計画~完工まで持って行くことも不可能ではないので、その点はやはり大きな差が出ることになります。
その背景として、資源量調査では国内各地の日射データがある太陽光と違い、風況調査・流量調査・地熱賦存量・バイオマス資源量の調査には各々1年以上を要します。
また、太陽光発電以外は環境影響評価を始めとする許認可の手続も多く、ファイナンスのハードルも高いことから、FITによる導入拡大の成果が出てくるのはまだまだこれからと言えます。
私も各地で小水力発電やバイオマス利用などの事業化支援をしていますが、いずれも小規模とはいえ計画から完工まで3年は必要となっています。
今回の制度見直しに際しては、こういった電源ごとの特徴を十分に把握し、「太陽光発電が伸びすぎているから規制する」という短絡な思考ではなく、多様な再生可能エネルギーの普及のために「他の電源を伸ばすには何が必要か」という建設的な議論をすべきです。
以下、(2)に続きます。