ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

再エネ業界ニュース:大規模太陽光発電所を巡る景観問題

各地の自治体が景観規制をかけるようになり、太陽光発電所の建設における景観問題というのが社会的にクローズアップされてきました。

その中でも特に象徴的なのが、大分県由布市の市有地におけるメガソーラー計画です。

www.e-obs.com

景観保全を求める住民の反対運動から始まり、市による景観規制の実施、県による森林開発許可への地元協定・住民合意条件の追加など、次々と太陽光発電所の規制に関する新たな展開を生み出してきました。

最近では、長野における以下の事例のように大規模なメガソーラーの事例が次々と発表されています。

www.nagano-np.co.jp

諏訪市では、これ以外にも霧ヶ峰下における90MW(約196ha)の計画も進められています。

長野の隣の山梨県では、大規模な森林開発を伴うメガソーラー事業に対して県が環境アセスメントの実施を求めるといった事例もありましたし、静岡県側も含む富士山周辺でも景観規制が進んでいるのが実態です。

太陽光発電は設備の規模に比例して使用する敷地面積が広がっていく一方で、大規模な森林伐採・造成による環境改変で景観が大きく変わることがあり、このような開発は固定価格買取制度以前はなかったことから後追いでの規制措置が徐々に広まりつつあります。

景観だけではなく、自然生態系の保全や地下水の涵養など長期的に周辺地域への影響が懸念されるものも多く、それに対して実効性の高い取り組みをしている太陽光発電所というのはまだ耳にしません。

固定価格買取制度の開始から3年以上が経過し、徐々に大規模な案件が表に出てくる中で、再生可能エネルギーが自然を破壊しているという認識が広まる前に、国による立法を含めた包括的な対策が必要です。