ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:総務省 固定価格買取制度に関する実態調査結果の報告書と勧告内容を公表

昨日、総務省が固定価格買取制度の運営に関する実態調査結果と勧告内容を公表し、ちょっとしたニュースになっています。

www.soumu.go.jp

総務省には行政評価局という部署があり、各省庁の施策や事業を調査して課題や問題点を洗い出し、改善などの勧告を行うという業務を担っています。

今回は固定価格買取制度を対象とした調査が行われ、制度に関する改善の勧告が複数出されています。ただ、いずれもあまり目新しいものではありません。

総論としては、太陽光発電への導入の偏りや系統連系制約の問題があり、再エネ利用の促進と消費者の負担増加の抑制を両立させるために、速やかに固定価格買取制度の見直しが必要としています。

個別の所見としては

  1. 「分割案件」の確認状況に不備が見受けられるため、設備認定情報の突合を強化するなどして確認を徹底する必要がある
  2. 接続費用の透明性確保のため、電力会社に対して工事負担金内訳を提示するよう指導する必要がある
  3. 費用負担調整機関による交付金(消費者から集めた賦課金)について、発電設備導入増加に伴う賦課金と交付金の過不足を埋めるために金融機関から借入を行っているため、賦課金単価の算定時に買取電力量の見込みをより精緻化するなどの措置をとる必要がある
  4. 費用負担調整事務費について、その適正化のために費用負担調整機関に複数者からの見積徴収や第三者評価の実施といった改善措置を講ずる必要がある

以上が今回の所見・勧告内容となっています。

分割案件についての報道がちらほら見えますが、費用負担調整機関についての指摘(交付金過不足を埋めるための借入増加、事務費の適正化)も突っ込みどころです。

抜本的な制度見直しに関する指摘はされていないですが、あまり一般的には知られていない事項への勧告ばかりなので、これによる制度運用改善が進むことを期待します。