再エネ業界ニュース:再生可能エネルギー産業の世界的な雇用効果
固定価格買取制度(FIT)によって、わが国では再生可能エネルギー事業者が急増し、関連産業も活況を呈しています。
では、わが国のみならず世界全体で拡大し続ける再生可能エネルギーの導入は、どの程度の雇用を生み出しているのでしょうか?
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の統計によると、2014年時点で全世界の再生可能エネルギー産業における雇用者数は770万人となっています。(大規模水力発電を除く)
(出典)IRENA 2015 "Renewable Energy and Jobs"
最も雇用者数の多い産業は太陽光発電産業の249.5万人で、日本での雇用が急拡大(21万人)しており、反対に欧州では大幅な減少傾向にあります。
バイオマス系も全体では299.1万人に達しており、特にバイオ燃料系はアメリカやブラジルで増加傾向にあります。
その他に、風力発電産業の雇用者数も100万人を突破しました。
国別の傾向を見ると、上位10カ国が以下のような分布になっています。
(出典)IRENA 2015 "Renewable Energy and Jobs"
雇用者数が最大となっているのは中国で、339万人と突出しています。日本は世界全体で8位で、全体の傾向としてアジア地域への産業シフトが見られています。
中国は各エネルギー分野ごとの雇用者数も非常に多く、太陽光発電の2/3、風力発電の半分、小水力発電の半分、太陽熱の3/4が中国における雇用であるほか、集計外ではありますが大規模水力発電(全世界で150万人)の半分が中国での雇用だと報告されています。
わが国の傾向としては、上述のように太陽光発電産業が21万人となっており、その他の再生可能エネルギーが合計で0.8万人です。
今後、世界全体の再生可能エネルギー導入拡大に合わせて雇用者数も更に増えていくことが見込まれますが、例えば中国での太陽光発電産業の大きさは世界のモジュール製造工場としての役割が影響していると考えられます。
わが国で再生可能エネルギー産業を拡大していくには、各種設備・装置をどれだけ内製化できるかが一つの課題になってくるでしょう。