固定価格買取制度:九州電力 出力抑制(出力制御)枠の再算定結果などを公表 (1)
固定価格買取制度に沸く太陽光発電業界を一気に冷ました「九電ショック」から、既に1年以上が経ちました。
経済産業省の系統ワーキンググループによる議論を経て、送電網に対する再生可能エネルギー発電設備の「接続可能量」という概念が投入され、この枠を超えて導入される発電設備には無制限・無補償の出力抑制(出力制御)が適用されています。
その接続可能量について、九州電力が2014年度の実績値を基にした新たな算定結果などを公表しました。
この中では、太陽光発電の接続可能量の再算定並びに風力発電の接続可能量の確定が行われています。
その結果、
と、いずれも接続可能量は増加しました。
しかし、太陽光発電の増加分については指定ルール事業者の出力制御量の緩和に活用することとなっているため、新たに指定ルール対象外の案件が生じるといったことにはなりません。
また、この数値については毎年算定していくとのことです。
現在の九州電力管内における太陽光発電の申込み状況についても、以下のようにデータが提示されています。
(出所)九州電力 再生可能エネルギーの接続可能量(年度算定値)等の算定結果について[概要]
今年9月末時点では、接続可能量に対する接続済+連系承諾済案件の合計が921万kWに達しており、そのうち指定ルール対象案件は103万kWとなっています。
申込み量全体は微減傾向にあるものの、系統連系に向けた手続きの入り口である接続検討申込案件が減り、その先の接続契約申込み量が増えています。
そして、接続済+連系承諾済案件も増えていることから、現在九州電力に何らかの申込みを行っている多くの案件が事業化に向けて進んでいることが伺えます。
九州電力では今年2月頃から各事業者に対する意向確認(指定ルールとなっても事業を継続するか)を行っており、その結果として2月末時点の大幅な申込み量減少が起こっています。
従って、事業化を断念する事業者の多くはここでリタイアしており、その先は接続検討結果から断念した事業者が少しずつ生じている程度と見込まれ、このまま行けば運転を開始する太陽光発電所は更に増えていくと考えられます。
今回、出力制御の見通しも再算定されており、接続可能量を超えた追加接続量に対する以下のような数値が公表されました。
(出所)九州電力 再生可能エネルギーの接続可能量(年度算定値)等の算定結果について[概要]
接続可能量から100万kW刻みで太陽光発電の接続量が増える毎に、これだけの出力制御が必要であるとしています。
相変わらずの高い出力制御率となっていますが、この出力制御算定結果の内容については更に詳細に見ていきます。
(2)へ続く。