ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:固定価格買取制度の見直し報告書(案)が発表されました(1)

今年9月から行われてきた再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度」の見直しについての議論がまとまり、見直し報告書案として再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会が発表しました。
内容が多岐に亘るため、複数回で取り上げます。
 

www.meti.go.jp

 

1.認定制度の見直しと未稼働案件への対応

  • 経済産業省が進めている報告徴収・聴聞手続きを通じた認定取消の強化するなどして、未稼働案件の排除・防止を進める。
  • 新制度下での設備認定は、電力会社との系統接続の契約など事業の実施可能性や事業内容の適切性を確認した上で行う。
  • 現行制度下で認定案件のうち、運転開始済みまたは系統接続の契約締結など新しい認定制度の要件を満たすものについては、現行制度の認定のステータス(買取価格等)を活かす。
  • その他の案件については、改めて認定を取得することを必要とする。
  • 電力会社との系統接続の調整に時間を要しているものについては、一定の猶予期間を設ける

累計80GWを超えた設備認定案件の大半を占める太陽光発電について、報告徴収による未稼働案件の取消を進めることや、新制度移行時点で基準を満たさない案件は一斉取消を行うといった方向性が示されました。

 

2.長期安定的な発電を促す仕組み

  • 安全性の確保や発電能力の維持(適切な点検・保守、発電量の適切な計測や報告)、事業終了後の廃棄やリサイクルに向けた計画的な対応など適切な事業実施に向けて遵守すべき基準や事項を定める。
  • 上記に違反した場合の改善命令や認定取消等の、事業者に対する遵守確保のための規律を及ぼすような仕組みを導入すべき。
  • 太陽光発電については、土地利用規制等の遵守状況を確認するとともに、認定情報を公表することや適切な形で地方自治体に提供できる仕組み(10kW未満の太陽光発電設備は対象外)を整備する。
  • 強風等による太陽光発電設備の損壊等については、早急に適切な安全対策がなされているか実態調査を行い、必要に応じて、電気保安規制上の措置を検討する。

事業太陽光発電所が既に33万基近く稼働しており、台風や水害などによる発電所の損壊や、周辺への被害も報道されています。

一方で、発電事業者には安定した電力供給という社会的責任を負うことや、各種法規制の遵守が求められるものであり、且つ長期に亘る事業の実施による太陽光発電の定着も議論されています。

今後、既稼働の発電所についても年報報告などのタイミングで、O&Mの実施状況や法規制適合など種々の報告が求められることになりそうです。

 

(2)へ続く