雑記:自然エネルギーと食料とエネルギー安全保障 -2016年を考える-
自然エネルギーの導入を進める理由については色々な議論があるところですが、わが国においては1970年代に石油代替エネルギーとしての太陽光発電や地熱発電の技術開発から始まり、1990年代以降の地球温暖化対策、2000年代以降は若干ながらエネルギー自給率の向上など様々な理由付けがされてきました。
そして2010年代は、原子力発電の代替としての自然エネルギーが初頭に注目されるようになり、現在はここまでの様々な要素に加えて、地域活性化といった切り口からも自然エネルギーが必要とされています。
自然エネルギーはエネルギー種の偏在(日照が少ない地域、水資源が乏しい地域、火山のない地域など)こそあるものの、ある程度広い範囲で見れば我々の生活水準を維持するためのエネルギー供給は、エネルギー量ベースで言うと徐々に可能となりつつあります。
究極的には、自然エネルギーによって電気・熱・燃料を賄うことが可能になれば、国家あるいはコミュニティとしてのエネルギー安全保障が確立されるでしょう。(プラントを維持するための技術と素材の入手はまた別途必要ですが)
更にその先、自然エネルギーによって安定的な農業・食料生産が可能となれば、それはより強固なものとなります。
一般的に、自然エネルギー源は農村地帯ほど豊富に賦存していますから、両者の生産の両立について考えていくことも必要です。
各種バイオマスエネルギーのほか、わが国で言えば営農型発電(ソーラーシェアリングなど)も農業と食料生産の両立を目指す一形態に思えます。
現在、国内で急速に自然エネルギー発電が増加していますが、今年は電力の小売全面自由化も控えており、今後は供給側・需要側の双方でエネルギー選択の自由が拡大していくことになるでしょう。
少しずつでもエネルギーの自給が進む中で、我々に必要なもう一方の資源である食料を確保していくこと、これがこの1年の一つのテーマになるのではないかと考えています。