ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:改正FIT法における事業用太陽光発電の入札制度 - 平成29年10月開始目処

10月24日に開催された第24回調達価格等算定委員会で、改正FIT法で予定されている事業用太陽光発電の入札制度に関する議論が行われました。また、同委員会には一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)から、調達価格等への意見が提出されています。

まずは入札制度のフローや実施時期、対象などについて、一通り整理していきます。

入札制度のフロー

入札制度のフローは下記のように示されてますが、現段階では対象となる発電設備の区分や入札資格は未定です。なお、当初の対象は出力2,000kW以上の特別高圧連系の設備とするように、JPEAから要望が出されています。

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(出所)経済産業省 調達価格等算定委員会(第24回)配付資料

入札の参加希望者は発電事業計画の審査を受け、資格が認められると供給可能な1kWhあたりの価格と発電出力を札入れします。最も安価な札を入れた事業者から、順次入札全体の募集要領に達するまでの事業者を落札者とし、その後にFITの設備認定を申請して認定を受けるという流れになります。

落札者は、電力会社との連系協議を行うなどして事業化の準備を進め、定められたFIT認定申請期限までに設備認定申請を行う必要があります。

入札の実施スケジュール

平成29年度からの入札実施は決定していますが、今後の実施スケジュールは下記のように案が示されました。第1回の入札は、平成29年9月~10月となっています。

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(出所)経済産業省 調達価格等算定委員会(第24回)配付資料

初年度は入札に関するシステムの構築及び試験運用が必要と言うことで1回のみの実施とし、平成30年度からは年2回というペースが想定されています。

第1回の入札実施後の調達価格等算定委員会で、実施結果を踏まえた見直しを行う可能性についても示唆されています。

入札対象規模、入札量、上限価格

入札対象規模や入札量、上限価格はこれから議論されるところですが、事業者の予見可能性に留意することとして平成30年度の第3回分までは今年度の調達価格等算定委員会で提示する案となっています。(来年度の見直し可能性は留保)

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(出所)経済産業省 調達価格等算定委員会(第24回)配付資料

上の資料では、太陽光発電設備のシステム費用に関する運転開始年別の推移が規模別にまとめられていますが、50kW~2,000kW未満の範囲では着実なシステム費用の低下が見られる一方で、2,000kW以上の設備については若干の横ばい~上昇傾向が見られます。

これは、大規模な発電設備ほど土木造成や系統連系コストが嵩むことが原因と推測され、その引き下げを促すために入札性を導入するという考え方が成り立ちます。

 

これから12月にかけて議論が進み、入札制度の全容が固まっていくことになりますが、ヨーロッパの事例では小規模から大規模な設備まで競争力のある大手企業が独占状態という事態も生じているので、中期的な制度設計の中で地域エネルギー事業に配慮した仕組み作りが求められます。