再エネ業界ニュース:増加するフロート式メガソーラーとその弊害 - 大阪狭山市の騒動
再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度(FIT)導入後、市街地から人里離れた山奥まで全国のありとあらゆる場所に太陽光発電所が建設されてきましたが、特に西日本を中心に増えているのが水上に設置するフロート式の太陽光発電設備です。
地上設置型とは異なり、水上であれば場所の利用という点で他の用途と競合しないことから、ここ2年ほどでダム湖やため池・調整地にメガソーラー規模での導入が少しずつ進んできました。
そんなフロート式メガソーラーですが、ここ1週間ほどメディアで取り上げられているのが大阪狭山市の狭山池に設置された発電所です。
大阪狭山市が進める水素エネルギー事業
報道を遡ってみると、この発電所は大阪狭山市が100%を出資する「メルシー for SAYAMA株式会社」が進める、ため池の水を電気分解して水素を製造しエネルギー事業を展開するというプロジェクトと関連していることが分かります。
この「メルシー for SAYAMA株式会社」によるプレスリリースが、下記です。
再生可能エネルギー等から製造した水素を「グリーン水素」として、「世界初のグリーン水素シティ」を実現することを目的とするとしています。
フロート式メガソーラーの弊害?
ため池で太陽光発電を行い、そのエネルギーで水を電気分解し、水素を製造して地域のエネルギー供給を図るというこのプロジェクトですが、上の報道ではフロート式メガソーラーからの「熱」と「反射光」が問題視されています。
太陽パネルによる反射光は、住宅地に隣接するメガソーラーで訴訟問題に発展している例もあるように、強力な光の反射によって眩しさや建物の室温上昇などを招くことが懸念されています。
特に、フロート式メガソーラーの場合は水上に設置されるという特性から、太陽光パネルが周辺の土地よりも低い場所に位置することになり、近隣にある建物へ反射光が差し込みやすくなると考えられます。
太陽光パネルには、住宅用などで近隣への太陽光反射を考慮した防眩仕様の製品があり、そういったものを使用すれば反射光の影響を抑えることが可能ですが、今回のフロート式メガソーラーではそういった製品が採用されていない可能性があります。
反射光の問題は特に夏場になると顕在化するため、今後この問題がどのように推移していくのか注目していきたいと思います。