電力小売自由化:電力会社で相次ぐエリアインバランス量の誤算定 - 中部電力に続き北海道電力も
2016年4月からの電力小売全面自由化により、北海道から沖縄までの各電力会社が送配電事業者として地域内の電力需給バランスを調整する「エリアインバランス」の算定を始めました。
電力小売全面自由化で発電事業者・小売事業者には「計画値同時同量」の義務が課せられています。これは30分単位での電力需要と発電量を、その1時間前の時点の計画値で一致させるというものです。
この「計画値同時同量」が達成されない場合に、需給の過不足を送配電事業者が調整します。その調整に基づいて、発電事業者・小売事業者と「インバランス料金」を精算するという仕組みになっています。
中部電力による誤算定が発覚
中部電力が、昨年12月にエリアインバランス誤算定を公表し、今年1月4日に経済産業省に対して原因と経緯並びに再発防止策を報告、13日に誤算定によるエリアインバランス量報告値への影響について報告したとしています。
時系列でみると、
- 8月9日に4月分の調整力量の不一致が判明して調査に着手
- 10月31日にシステムのインバランス算定処理の不具合が判明
- 12月14日にシステム不備の全容が特定
- 12月20日に経済産業省へ報告
という流れだとしています。
中部電力による再算定の結果、2016年4月から10月までの7ヵ月間に5億5,600万kWhのエリアインバランス量が過剰となっていました。
これは、一般家庭約14万世帯分の年間電力消費量に相当します。
北海道電力による誤算定も明らかに
更に今月に入って、北海道電力もエリアインバランス誤算定を発表しました。
時系列でみると、
- 昨年12月22日に調査を開始
- 1月10日にインバランスの誤算定が判明
- 1月12日に経済産業省へ報告
となっており、中部電力の誤算定判明後に調査へと着手したようです。
エリアインバランスの誤算定による影響は、最終的に1月23日に経済産業省へと報告されることになっています。
具体的な数字はこれから明らかになりますが、インバランス料金は全国の電力会社管内におけるエリアインバランスの集計によって決まるため、中部電力及び北海道電力の誤算定によって全国の事業者に対して影響する可能性があります。
電力小売全面自由化に伴うトラブルが相次いでいますが、今回の事件も各方面に大きな影響を与えるものになりそうです。