ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

太陽光発電事業:新エネルギー小委員会で事後的な「過積載」が問題視 - 売電開始後のパネル増設は規制されるのか?

少し前の話になりますが、総合資源エネルギー調査会の新エネルギー小委員会第17回会合で、太陽光発電設備における「過積載」が取り上げられました。

ここで問題とされたのは発電所設置時の過積載ではなく、運転開始後の「事後的な過積載」です。

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過積載とは

モジュールの容量をPCSの容量よりも多く設置する「過積載」という単語が定着して久しいですが、例えば10kWのモジュールから10kWhの発電が行われることは、一年を通じた運転時間の中でも非常に少ないです。

日射量やモジュールの設置角度、気温など様々な要因によって発電量が低下するため、ある程度モジュールの枚数をPCS容量に対して増やしておくことで、設備容量に対する利用率を上げることができます。

過積載の何が問題とされている?

さて、同委員会の議事録も既に公表されていますが、「事後的な過積載に対して認定時点の調達価格が適用されるのは、制度趣旨からして適切ではない」とする意見が多くなっています。

現在の制度では、設備認定時にPCS容量よりもモジュール容量が大きければ、運転開始後に更にモジュールを追加したとしても調達価格は変わりません。

特に調達価格の高い案件で、現在の資材・施工コストが下がった時点でモジュール増設を行えば、発電量が増えて収益が向上するということが謳われています。

調達価格の高い案件の売電量が増えれば、それだけ消費者が負担する再エネ賦課金も増えていくと言うことで、そこが不適切なのでは?というのが委員会での議論です。

今後の議論の経過は?

事後的な過積載を禁止するのではなく、新たに増設された部分にはその時点での調達価格を適用するような形態が模索されているようですが、増設分だけを切り分けるには計量器を別にするなどの対応が必要となり得ます。

増設分は既設分と同じPCSに繋ぎ込まれるのが通常ですから、この部分をどう整理していくかを含めて、今後は過積載の実態を含めた調査・検討が進められることになりそうです。