ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

再エネ業界ニュース:再生可能エネルギー産業の雇用者が更に増加 - 全世界で1000万人に迫る

国内の太陽光発電業界では企業倒産が相次いでいることが報じられていますが、世界的には再生可能エネルギー産業の雇用者が増加傾向にあるようです。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が毎年取りまとめているレポートの中で、2016年には全世界で980万人以上が再生可能エネルギー産業で雇用されていると報告されました。

なお、この数値には大規模な水力発電事業による雇用*1が含まれており、それらを除いた場合には830万人になるとのことです。

 

Renewable Energy Employs 9.8 million People Worldwide, New IRENA Report Finds

 

世界的な雇用者数の増加傾向

IRENAが調査を開始した2012年時点では700万人以上だった雇用者数は、この4年間で40%増加したことになり、特に太陽光発電風力発電産業では倍増しているとのこと。

エネルギー種別では、これまでバイオマス産業が最も多くの雇用者を抱えていましたが、2016年には太陽光発電が抜き去って雇用者数がトップになっています。

日本では太陽光発電産業が縮小

同レポートによると日本国内の再生可能エネルギー産業の雇用者は31.3万人となっており、2015年をピークに太陽光発電のブームが過ぎ去り、2016年には65社が倒産したことにも触れられています。

この視点から見ると、2014年にわが国の太陽光発電産業の雇用者数はピークアウトしており、2016年には同年比20%の雇用減少が起きているとしていますが、その点は国内でも報じられている企業倒産のニュースとリンクしていると言えるでしょう。

今後の見通しは?

IRENAは、世界的には2030年に向けて2,400万人が再生可能エネルギー産業に従事することになるとしており、引き続き各国で再生可能エネルギーの普及が進むと同時に産業としても成長していくと見込んでいます。

一方で、わが国では太陽光バブルによる急激な雇用増加が落ち着いてくる中で、FITを前提とした国内産業としての再生可能エネルギー産業に対する従事者が急増していくのかどうかは未知数です。

どうしても建設業や電気工事業など従来の産業に付随する形での成長になってきたため、それを専業とするような産業になり得るかどうかが、FIT5年目を迎え今後の再生可能エネルギーの定着を考えていく中で重要なトピックになってくるでしょう。

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)のように農業と密接な関係を有する設備の増加なども、鍵となってくるかも知れません。

*1:大型のダム開発を伴う小水力発電は厳密には再生可能エネルギーと定義されない