ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:今年度の調達価格等算定委員会が本格始動 - 木質バイオマスの駆け込み申請に対する議論など

平成30年以降のFITにおける調達価格を決める、今年度の調達価格等算定委員会が本格的にスタートしました。

現在の国内及び世界の再生可能エネルギー導入事情から、今後の主な論点、そして一番大きく資料のページが割かれていたのは木質バイオマスの取り扱いでした。

www.meti.go.jp

FITが開始されて6年目に突入しましたが、国内の再生可能エネルギーは順調に増えています。下記が経産省のまとめたグラフですが、FIT開始前は2.6%だった7.7%にまで3倍近く増加しています。

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設備容量の推移を見ていくと、2013年度以降の急激な太陽光発電の伸びが見て取れます。発電電力量も同様で、水力発電に次いで太陽光発電の量が大幅に増加しています。ここまでの経過を見ると、FITは再生可能エネルギーの普及を図るという政策目標を一定程度達成していると解釈できます。

その他のエネルギー源の普及が低調であることについては、太陽光の急増による送配電容量の不足も理由になっており、系統対策の必要性を感じさせる結果とも言えます。

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これほどまでの急激な普及を見せた太陽光発電ですが、コスト低減も進んで来ています。ただ、経済産業省のまとめではまだまだ欧州などと比較して国内のコスト低減が進んでいないという整理をしており、下記にまとめられている理由については妥当な項目が挙げられています。2020年に14円/kWhの発電原価が非住宅用のターゲットとなっているので、調達価格もこれを目指して引き下げられていくことになるでしょう。

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そして、今年度の調達価格等算定委員会で議論される部分の整理です。これまで単年度で調達価格が決定されてきた事業用太陽光発電を含めて、全ての再生可能エネルギー種に対して平成30年度~平成32年度までの3年間の調達価格について議論が行われることになります。

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こうして表にまとめられると、太陽光発電の段階的な引き下げと共に、それ以外のエネルギー種についてはまだまだ普及が進んでいないことが分かります。一方で、今回の委員会資料では15ページを割いてバイオマス発電の現状並びに議論すべき事項がまとめられており、昨今話題になっている一般木質バイオマス発電の駆け込み申請を踏まえた、制度の見直しが議論されていくことになるでしょう。

一般木質バイオマスには輸入材も含まれているほか、全ての設備認定申請分の発電設備が稼動すると、木質ペレット換算では世界全体の供給量を超える燃料消費になるとも試算されており、実際に安定した燃料が確保され発電事業が行えるものであるかの審査が重要と指摘されています。

改正FIT法の施行によって制度の見直しが進む中で、再生可能エネルギーを普及させるという制度趣旨を再確認した上で、どのような調達価格が設定されていくのか注視したいと思います。