再エネ業界ニュース:新電力がぶつかる2020年問題 - 電力自由化の完了に向けて
電力小売りの全面自由化が進み、既存の電力会社から切り替えた契約数が10%を超えたという報道も目にするようになりました。
従来のサービスとのセット売りによる大手電力会社 vs ガス会社という構図や、ガソリンスタンドや通信、スーパー、ハウスメーカーなど様々な業態の事業者が新電力事業に参入しています。
そんな中で、「電気事業の2020年問題」をまとめた記事を目にしました。
既に東京電力が発電・送配電・小売りの各事業を実質的に分社化していますが、2020年には全ての大手電力会社も含めて、この「発送配電分離」が行われます。
その上で、大手電力会社は福島第一原子力発電所事故の際にも大きく取り上げられた「総括原価方式」がなくなり、現在は一定の規制が設けられている電気料金の設定が自由化されていくことで、さらなる小売りの競争激化を招くと予想されています。
電力小売り自由化が始まってからというもの、大手電力会社と新電力の苛烈な価格競争が続いており、大規模な電力需要家が新電力の見積りをとると大手電力がすぐにもっと安い相見積りを出してくるというのは珍しくありませんでした。
現在も大手需要家を巡る攻防が続く中で、大手電力会社の小売り部門が本格的に営業拡大努力を図ってくることになれば、中小の新電力は価格以外の別の対抗軸を見つけなければなりません。
それは、地域に根ざした電力会社というポジションであったり、自然エネルギー100%という方向性だったりと様々なやり方が模索されていますが、まだ消費者の心理や行動を大きく動かすには至っていないのも現状です。
わずか1年足らずで新電力事業から撤退する事業者も出始める中で、卸売市場を巡る問題も明らかになりつつあり、我が国の電力小売り自由化がどのような姿になっていくのか、この先数年で形が定まることになるでしょう。