ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:第1回の太陽光発電入札制度から見えた問題点

2017年度は、わが国初となるFIT制度下の「太陽光発電の入札」が行われたことは記憶に新しいですが、 その結果は特別高圧案件の大幅な縮小という衝撃的なものでした。

今回の入札結果を受けて、ISEPが新たに提言を発表しています。

www.isep.or.jp

 

今回の入札では、500MWの入札枠に対して

  • 入札参加申込み:490MW
  • 入札参加資格獲得:388MW
  • 実際の入札件数:141MW → 全て落札
  • 第2次保証金納付:41MW → 辞退者多数

という結果になり、結果として2017年度の出力2MW以上の特別高圧案件は、41MWだけということになりました。なお、2016年度は2.6GW以上の特別高圧案件が設備認定されていることからすると、一気に50分の1以下にまで市場規模が縮小したと言えます。

上記のISEPによる提言では、

入札制度に関する提言(2016年1月)3の中で「入札制度は、先行するドイツでの入札でも明らかなように少数の大規模事業がほぼすべてを落札し、地域密着型の事業者は開発投資体力の有無などで締め出される可能性が大きい。日本国内での地域エネルギー事業を 潰す入札制度に強く反対し F IT 制度の改良でコスト効率化を目指すべき」 としていたが、その懸念が図らずも立証されたかたちとなった。

としており、大規模な自然エネルギー事業は資本力のある企業のみが実施できるという状況が、より鮮明になりました。

なお、2018年度に実施される第2回の入札については調達価格等算定委員会で議論が続いていますが、250MWの募集容量となること、保証金などの見直しが見込まれています。

2MW以上の太陽光発電設備を設置できる適地が減少していることは事実である一方、世界的には100MW以上の太陽光発電所を建設することで発電コストの低減が図られてきています。

今回の入札結果からは、日本国内において同様の動きを目指すことの難しさが明らかになったとも言えるでしょう。

昨秋から大きく注目されるようになった系統制約問題も相まって、大規模且つ経済性の高い太陽光発電の導入ということが今後可能なのかどうか、改めて議論が必要になっています。