ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

再エネ業界ニュース:太陽光発電の設備認定失効26万件を考える - 改正FIT後のマーケット

1月19日に開催された調達価格等算定委員会では、事務局による様々な公表データが業界を賑わせましたが、その中で注目されるデータの一つが改正FIT法への移行に伴う非住宅用太陽光発電の旧設備認定の失効件数です。

昨年4月に経済産業省が公表した予想値では、45.6万件・2,766万kWが失効する可能性ありとしていましたが、実際には約26万件・1,463万kWにとどまりそうだということです。

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調達価格等算定委員会に提出された失効件数データ

なぜ失効件数は減少したか?

昨年4月時点の経済産業省による失効見込みの根拠は、「平成29年4月1日時点で接続契約が締結されているかどうか」でした。

これについて、270日ルール等を踏まえて平成28年6月までに接続申込みを行った件数から失効見込みを想定していたわけですが、実際には20万件近くが平成28年6月以降に接続申込みを行って接続契約を締結したことになります。

詳細は内訳のデータが出てこなければわかりませんが、高FIT案件を中心にほぼ接続協議を終えていた案件などが、失効させないために駆け込みで申込み手続きを完了したことなどが考えられます。また、21円の新規申請が一定程度あったことも寄与しているでしょう。

失効件数が減少した影響は?

みなし認定への移行における失効などはこれから出てきますが、現段階の数値から言えることは、今後3年間は引き続き太陽光発電の大量導入が続く可能性があるということです。

  • 失効後の設備認定量:約6,066万kW
  • 平成28年度末時点の稼働量:2,875万kW
  • 差し引き未稼働量:3,191万kW

年間の非住宅用太陽光発電設備の設置可能量は700~800万kWと言われますが、平成29年度はみなし認定への移行に伴う混乱などで施工件数の減少が見込まれる他、21円案件が新規に加わってきます。

そして、今後は全ての設備認定に対して運転開始3年ルールが適用されます。

そうなると。少なくともここ数年のFIT制度変更や市場環境変化を乗り越えてきたメーカーや施工会社には、今後3年間に亘って引き続き700~800万kW/年以上の施工案件があるということになります。

従って、この点では引き続き太陽光発電マーケットで活況が続くと予想されます。

FIT以降の市場へ

来年度の非住宅用太陽光発電の調達価格は18~19円では?と各所で言われていますが、この水準であればまだ全量買取で事業が十分に成り立ちます。

少なくとも、ソーラーシェアリングでは18円でも売電事業に問題なく取り組めます。

また、「2019年問題」と呼ばれる住宅用余剰売電の終了案件が出始めることや、FIT以降を見据えた自家消費市場など新しい動きも今年は活発化することが予想されます。

既存の設備認定案件を消化しつつ、太陽光発電市場は新たなフェーズへと移行していくのが今後3年間の動きになるでしょう。