ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:FIT18円時代の太陽光発電事業 - ソーラーシェアリングはより優位に立つ?

2月7日の調達価格等算定委員会で、2018年度のFIT調達価格の委員長案が明らかになり、周辺でも数多くの反応を得ています。

非住宅用太陽光発電は18円に、また業界に激震が走った小型風力発電の区分廃止(大型風力との統合)も確定的となったようです。

techon.nikkeibp.co.jp

FIT18円のインパク

19円とも20円とも予想されていた来年度の非住宅用太陽光発電ですが、結果的には最も厳しいと言われてきたラインに着地しました。

一方で、ここまでは想定して動いてきたプレイヤーも多く、予想通りとして引き続き太陽光発電事業開発を進めるという声も耳にします。予定されたものかどうかは分かりませんが、2013年度の調達価格である36円/kWの半額になったことになります。

その頃からすると、モジュールを初めとする太陽光発電設備を構成する部材は多様化や技術的な進化があり、面積当たりの発電効率などは確実に向上しています。

従来以上に設置場所の選定が重要になるほか、ランニングコストを引き下げるために設計段階での工夫がより求められるようになり、プレーヤーの淘汰は一層進むことになるでしょう。

太陽光発電の事業費はどう変化していくか

調達価格等算定委員会の議論では、過積載による設備利用率の上昇やシステムコストの引き下げをかなり大きくやることで、18円への設定に誘導したように見受けられます。システムコストは2017年度の24.4万円/kWから22.1万円/kWへの引き下げとなりましたが、運転維持費などは据え置かれています。

引き続きシステムコストの低下は進んでおり、その点での評価に対する妥当性は見て取れますが、一方で接続費を1.35万円/kWに据え置いています。

私自身が手がけている案件を含め、昨今1.35万円/kW以下に収まるような案件はほとんどなく、高FITで接続費用が安い案件に引っ張られているような印象を受け、現状を反映したものではないと考えます。

日本版コネクト&マネージなどの検討も進んでいますが、FITの引き下げが進む中で接続費用の高止まりは引き続き事業化の足かせになりそうです。

この状況の中では、架台コストや施工コストは野立てよりも高くなるものの、土木造成費等がほぼかからないソーラーシェアリングの優位性は、一層高まっていくように感じています。

設計段階での最適化と長寿命化を進めることで、ランニングコストも抑えていくことが可能となってきているため、20年またはそれ以上の事業スパンで考えながら取り組んでいきます。

自家消費市場の拡大

太陽光発電のコスト低下や住宅用FITの終了が来年から始まることを受けて、2018年は蓄電池の普及が一気に進むと予想されています。

既に発電コスト10円台が達成されており、10円台前半からそれ以下になってくれば蓄電池併設での自家消費の方が電力会社からの調達よりも安価になってくるでしょう。

既に100kW以上の規模での自家消費も増えてきつつあり、全量売電から自家消費へのシフトも進む1年になりそうです。