ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

レポート:台湾 Green Energy Forum 登壇と農業関連の太陽光発電設備視察レポ - その1

12月3日~5日にかけて、台北市にて開催される国際フォーラム@台湾大学に登壇するため、台湾を訪問してきました。やっとその内容を落ち着いてまとめられるようになったので、3日間の様子をレポートします。

台湾からの相次ぐ視察とGreen Energy Forumの開催

今年に入って台湾からのソーラーシェアリング視察が相次ぎ、立法委員(国会議員)、経済部(経済産業省)、嘉義市による匝瑳のソーラーシェアリングなどの視察を受け入れてきました。

その流れから、台湾側が農業と自然エネルギーの共存モデルであるソーラーシェアリングに強い関心を持っていると感じていましたが、今回ついに台湾大学で開催されるGreen Energy Forum(2018農業綠農論壇)への登壇依頼を受けて、訪台することになりました。

登壇に際しては、日本におけるソーラーシェアリングに関する事例を報告して欲しいとのオーダーです。

訪台と初日の現地視察

今回が人生初の台湾訪問ですが、羽田→台北松山の直行便があるということに驚きです。フライト時間は3時間半程度で、国内の長距離新幹線移動より近い!

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羽田空港国際線ターミナルから

フライトは順調に行き、台湾上空に差し掛かると眼下に広がるのは高い山々と、それに囲まれた都市圏の様子。やはり気になったのは、地上設置型のメガソーラーどころか太陽光パネルが設置されている様子すら見えなかったこと。屋根置きすらほとんど視界に入りません。

そして、農地の少なさも印象的でした。

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台北市上空

松山空港にて現地を案内してくれる研究チームと合流し、まずは台湾の現地視察と言うことで桃園市にある溜め池のメガソーラー2ヶ所へ向かいます。

いずれも、台湾政府の肝いりで導入された設備と言うことで、見学コースもしっかりと整備されていました。

1ヶ所目は浮体式の水上太陽光発電所で、定格出力は約2MW、モジュールは台湾メーカーですがPCSはファーウェイでした。

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桃園市の溜め池に設置された浮体式太陽光発電

台湾は通年で気温が高いので、地上設置型に比べて浮体式の方が発電量は上がるとの説明のほか、モジュール間に鳥が営巣している写真などを見せて貰いました。

また、台湾では高圧送電の電圧が11,000~22,000Vということで、キュービクルの仕様は日本と異なる部分があるそうです。

現地では水利組合の関係者の方から、設備導入の背景や運用状況について説明を受けました。設備に到着した際に十数名が待ち受けていて、「別の視察が来ている?」と思うような状況でした。

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水利組合関係者との記念撮影

次に向かったのは、同じ桃園市内にある着床式の水上太陽光発電所です。溜め池の中にコンクリート支柱1,000本を立て、こちらも2MW規模の太陽光発電設備が設置されています。こちらもモジュールは台湾メーカーとのこと。

発電量はやはり地上設置型より高いそうで、各アレイに対してメンテナンス用の通路まで設置されており、ブロックに分けて点検等を実施しているとのこと。

施工は農閑期の水を抜くことが出来る時期に集中して行い、3ヵ月程度の工期で完成させたそうです。

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桃園市の溜め池に設置された着床式太陽光発電

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キュービクルも水上に

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石に刻まれた発電所の銘

この設備は、水利組合が管理する池の水上を民間企業に貸し出す形の事業スキームで、収益の一定割合を農業振興に使うよう義務づけられているとのこと。

ここでも大々的なお出迎えを受けましたが、水利組合関係者・施工業者・発電事業者の各々から説明をいただくことができました。

初日の視察はこの2ヶ所でしたが、事業化の背景や運営体制、設備設計の基準などが日本と異なる点や、政府主導の事業ということで制度の整備がプロジェクトに適するように整えられた事情などを知ることができました。

現地に辿り着くまでに、台北市内から1時間半程度の車移動でしたが、その間もやはり太陽光発電設備を見かけることがほとんどなく、僅かに公共施設のような建物の陸屋根の上に設置されているのを見る程度でした。

 

次回、その2では国際フォーラムの様子をレポートします。