ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

停電7日目の復旧 - 今回の災害で浮き彫りになった社会問題

昨日15日に、「ソーラーシェアリングの郷」である匝瑳市飯塚地区へ向かい、停電が続く現地の状況などを確認してきました。

集落内では15日早朝にも一部の復電が確認されていましたが、15日の14時時点ではまだ停電エリアが広範囲に広がっている状況です。

ソーラーシェアリングを活用した充電ステーション

停電が3日目となった11日から、飯塚地区にあるソーラーシェアリング「匝瑳市民発電所」にて、太陽光発電設備から給電される電気を使った充電ステーションが開設されていました。

結果として同地区の停電は7日間に及び、開設期間中は多くの方がスマートフォンの充電などに訪れていたということです。

昨日段階で地区内の停電解消が確認され、充電ステーションも役目を終えました。

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なお、東京電力の停電情報によると、16日朝の段階で匝瑳市の停電は全て解消されたようです。

停電長期化を経て改めて考えること

今回の台風15号では、東京電力パワーグリッドによる復旧の見通しが二転三転し、結果として県内の全面復旧は9月27日頃という見通しが公表されています。

停電の原因として、暴風による鉄塔や電柱の損壊はもちろんのこと、特に多く見られるのは倒木による配電線の損傷です。

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千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機付近の倒木

上の写真は、千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機付近の倒木で、写真左側に1号機が映り込んでいます。この周囲500mで同様の倒木が4ヵ所で発生しており、集落はほぼ陸の孤島状態となり、台風から7日目となる15日段階でも倒木はほぼ手つかずです。

各地を走り回ってみると、この倒木被害さえなければこれほどの大停電にはならなかったでしょうし、復旧にも20日近くを要する事態にもならなかったでしょう。

倒木多発の背景は、空き家問題と同様に空き地・雑木林・山林での雑木管理が全く行き届いていないこと、そして千葉県特有の事情としての杉の溝腐病が蔓延していることなどが考えられます。

一方で、配電線に倒木が引っかかった際の撤去に関する所轄の問題(電力会社でなければ基本的に作業できない)など、制度上の課題も浮き彫りになりました。

いずれも今回の災害を教訓に制度を見直していく必要があり、停電からの復旧が落ち着いたら問題提起をしていきたいと思います。