ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

2024年までに再生可能エネルギー発電は更に現在の1.5倍以上に - 日本はどう振る舞うべきか

国際エネルギー機関(IEA)が、10月21日に"Renewables 2019"というレポートを公表しました。IEAは毎年"World Energy Outlook"など世界のエネルギー情勢に関するレポートを公表しています。私も、過去に学位論文を執筆する際には当時最新のレポートを参照していました。

そんなIEAが、「2024年までの今後5年間に世界で再生可能エネルギーが現在の50%以上増加する」という分析を公表したことで、早速日経などが取り上げています。

www.nikkei.com

上記の記事にはIEAのレポートへのリンクがありませんので、こちらに掲載しておきます。

www.iea.org

太陽光発電が再生可能エネルギーの筆頭に

IEAからは複数のシナリオが提示されており、再生可能エネルギー発電が現状から50%増加するのは"base case"です。その重要なポイントを挙げていくと、

  • 2024年までに太陽光発電を中心に再生可能エネルギー発電は50%増加
  • 増加量は全体で1,200GWで、これはアメリカの総電源設置容量に相当
  • この増加量のうち太陽光発電が60%を占める
  • 分散型太陽光発電の導入量は600GWを超えることに
  • 世界の電源構成における再生可能エネルギー比率は30%に達する
  • しかし、2024年時点でも最も電源構成比が高いのは石炭火力

このように、世界全体でこれまで以上に再生可能エネルギー電源の導入が進むことになり、その中でも太陽光発電が主要な電源になると予想されています。

また、再生可能エネルギー電源の導入拡大を加速するにあたっての課題として、下記の3点も挙げられています。

  • 政策と規制の不確実性
  • 高い投資リスク
  • 太陽光発電と風力発電のシステムインテグレーション

この中の「政策と規制の不確実性」は、まさに日本政府と経済産業省・資源エネルギー庁が発電事業者・投資家に振りまいている課題です。

日本はどこへ向かうのか

今後5年間で、再生可能エネルギー電源が世界的に1.5倍の成長を見せるという中で、では日本はどこへ向かうべきでしょうか?

世界の潮流に合わせて、現在は世界トップ3にも入る太陽光発電導入量を更に伸ばしつつ、再生可能エネルギー電源の容量を2018年比1.5倍にして、大規模水力を含めて発電電力量の25%を目指すというのが、あるべき基本路線でしょう。

しかしながら、今の政策は「国民負担の軽減」というお題目を唱えるばかりで、更なる普及拡大のための一手を打つというよりも、市場における経済性を確保してその中で勝手に増えればいいという状況です。

目の前の国内事情にばかり目を向けるのではなく、世界の再生可能エネルギー導入をリードしていくという姿勢を持って、中長期の野心的な計画とアクションが求められます。

 

なお、解説記事としては英語ですがこちらの方がもっと詳しいので、掲載しておきます。

www.carbonbrief.org