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ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:経済産業省による設備認定の運用見直し案の影響

固定価格買取制度(FIT)

今回は、18日に公表された固定価格買取制度の運用見直し案について解説していきます。

「再生可能エネルギーの最大限導入に向けた固定価格買取制度の運用見直し等について」をとりまとめました(METI/経済産業省)

運用見直し案の内容は、大きく3つあります。

  1. 太陽光発電に適用される調達価格の適正化
  2. 接続枠を確保したまま事業を開始しない「空押さえ」の防止
  3. 立地の円滑化(地域トラブルの防止)

順を追って内容を見ていきましょう。

 

1.太陽光発電に適用される調達価格の適正化

今回は3つの見直し措置が含まれており、調達価格の決定時期、運転開始前と運転開始後の設備内容変更に関する見直しが行われます。

 

①調達価格の決定時期の変更

調達価格の決定時期は、現行制度では「設備認定」か「接続申込」の2つの手続のいずれか遅い方が実施された時点で、買取価格が決定されるとされています。

2012年度も2013年度も年度末に設備認定が集中したのは、年度内に2つの手続が完了していなければ当該年度の買取価格が適用されないからです。

今回の見直しでは、調達価格の決定時期が「接続申込」から「接続契約」の時点に変更されます。適用開始時期は2015年4月からとなります。

これによって、各電力会社に対して接続申込を行い、その内容を受けて技術協議を進め、両者が合意して接続契約に進むことで初めて買取価格が決定します。

ただ、現在50kW以上の太陽光発電設備の場合には、電力会社による接続申込みの回答に3ヵ月~9ヵ月を要しており、1年度内に接続契約にまで至らない可能性があります。そのため、今回の見直しでは電力会社側の理由により接続申込みから270日を経過しても、接続契約の締結に至っていないことを示す電力会社の証明書により、それ以上の時間を要したとしても270日経過時点の買取価格が適用されます。

これは、例えば2015年度の買取価格の適用を確実に受けるには、6月中に接続申込を終えておく必要があると言えます。

 

②運転開始前の発電設備仕様変更の制限

運転開始前の設備について、「発電出力の増加」又は太陽電池の「基本仕様の変更」を行う場合には、従来の軽微変更ではなく変更認定申請の対象となります。こちらは、2015年2月以降の変更認定申請から適用されます。

ここでいう「基本仕様の変更」は、モジュールのメーカーや種類の変更、変換効率の低下と定義されています。

固定価格買取制度では、設備認定とは「最終的に決定された仕様」を届け出るものであり、認定以降の設備計画変更には買取価格の変更も伴うべきという議論が続いていました。

買取価格は設備認定時点の市場状況を勘案して決定されているので、例えばモジュールの変更によって新型で安価な製品を採用することにした場合は、事業コストも低下するので変更時点の買取価格にすべきという考え方です。

例外として、当初予定していた製品が製造中止になった場合や、メーカー自体が倒産した場合の仕様変更は買取価格の変更対象とはなりません。

 

③運転開始後の発電出力増加の制限

こちらは、既に運転開始している発電所の出力を増加する手続について、増加分を新たに別設備と認定することで既設部分の買取価格適用外とするものです。

従来は、運転中の太陽光発電設備にモジュールを増設した場合、買取価格及び買取期間について既設部分の条件がそのまま適用されていました。

今後は、そのような増設対応が認められず、新規の発電設備と同じ扱いを受けることになります。

こちらは2015年4月以降から適用されます。

 

2.接続枠を確保したまま事業を開始しない「空押さえ」の防止

再生可能エネルギー発電設備を送電網に接続するにあたり、現在問題となっているように送電線の空き容量の問題が生じています。この送電網に対する接続枠の確保は、電力会社に対して発電事業者が接続申込を行い、連系承諾が成された段階で接続枠が確定していました。

しかし、その後発電事業者がなかなか事業着手せず、接続枠だけが押さえられた状況が各地で生じています。これによって後発の事業者の参入が妨げられている側面もあることから、連系承諾と工事費負担金の支払いを含む接続契約の締結時点で、接続枠が確保されるように運用が変更されます。

これに合わせて、契約締結後に工事費負担金を1ヵ月以内に支払わない場合や、契約書に合意された運転開始日を過ぎても運転開始しない場合は、接続契約が解除されるという規定が明確化されます。

ただ、こちらについては各電力会社の裁量の範囲となるので、どこまで厳格に適用されるかはわかりません。

この規定は2015年1月中旬から早々に適用されます。

 

3.立地の円滑化(地域トラブルの防止)

時々報じられている、再生可能エネルギー発電設備の建設に際して必要な法令許認可を取得していない事例の発生を防ぐため、関係法令の手続状況が設備認定時に確認されます。

これは従来から問題視されてきた設備認定上の不備であり、関係法令の手続状況を報告させ、認定案件の情報を含めて自治体に情報提供されるようになることで、トラブルの未然防止に繋がることになります。

関係法令への違反が確認された場合には、認定取消となります。

この規定は可能な限り速やかに実施予定とされています。

 

以上が、今回発表された固定価格買取制度における設備認定の運用見直し案になります。

従来の制度上の抜け穴になっていた部分を塞ぐ措置の他、法令許認可の確認は速やかに実施されるべきものですし、接続枠の確保についても後発事業の実施円滑化に資するのであれば必要な措置と思います。

運用見直し案の中で発電事業者にとって特に影響が大きいのは、買取価格(調達価格)の決定時期変更です。

270日ルールが設定はされましたが、電力会社による接続検討が本来3ヵ月以内とされていたものが大幅に長引いている現状、買取価格の決定も遅れることで事業実施の見通しがこれまで以上にシビアになります。買取価格が決定しなければ事業収支計画が確定せず、金融機関からの資金調達交渉にも影響が出ることが想定されます。

19日からパブリックコメントの募集が始まっており、その結果を踏まえての運用見直しということになるかと思いますが、回答保留措置の早期解除を理由とした例外措置により募集期間が短くなっており、募集意見もどこまで反映されるのかは未知数です。

いずれにせよ年明けから順次、固定価格買取制度の運用ルールが大幅に変わっていくことになりそうです。