ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:設備認定の運用見直し議論 設備認定情報の公開や認定タイミング変更など

昨日25日に、第2回となる再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会が開催され、固定価格買取制度の見直し案が提示されました。

主なトピックは、

  • これまでの設備認定案件に対する報告徴収、聴聞の実施と認定取消状況
  • 設備認定の時期を電力会社との系統接続契約後に遅らせる案
  • 発電事業者に対する遵守事項の設定と改善勧告並びに認定取消手続き案
  • 設備認定情報の原則公表案
  • 調達価格の決定時期の更なる後ろ倒し案

となっています。

www.meti.go.jp

1.これまでの設備認定案件に対する報告徴収、聴聞の実施と認定取消状況

平成26年度以降の太陽光発電の設備認定については、50kW以上の認定に対して定められた期間中に用地確保やモジュール発注の証明がなされなければ、自動的に認定失効するように条件が付されています。

一方で、平成24年度~25年度の設備認定では同様の規定がなかったため、出力400kW以上の認定に対して経済産業省事業計画に対する報告徴収を行い、これまでに2,156件が認定取消または自主廃止したと報告されました。

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(出典)再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会 第2回配付資料

現在の未稼働件数/未稼働出力の割合は、平成24年度認定が13%/43%、平成25年度認定が42%/81%、平成26年度認定が52%/90%などとなっており、小型案件の建設が進む一方で、建設期間や系統連系期間が長い大型案件がまだ稼働していない状況が分かります。

 

2.設備認定時期の後ろ倒し案

現在は、発電事業計画を立てて設備認定を取得し、その認定IDとともに電力会社へ系統への接続契約申込みを行います。

これにより、現在の系統への接続が担保されていない、あるいは事業実施が確定していない段階での設備認定が積み上がることとなりました。

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(出典)再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会 第2回配付資料

この状況に対して、電力会社との系統接続に関する協議並びに契約を完了(この段階で発電所の仕様並びに設計も確定する)させた事業計画に対して、設備認定を行うという後ろ倒し案が提示されました。

これは調達価格の決定時期にも影響しますが、別途それについても案が出されています。(後述)

 

3.発電事業者に対する遵守事項の設定や認定情報の公開

全国各地で太陽光発電所が建設される一方で、景観・環境問題や地域住民とのトラブルが多発している状況を受けて、発電事業者に対する点検・保守に関する遵守事項の設定や設備認定情報の公開案が提示されました。

遵守事項については、既に設備認定基準で定められている点検・保守体制の適切な運用、発電量の計測並びに定期報告等を課し、違反した場合には経済産業大臣名での改善勧告を出し、従わない場合に認定を取り消すという仕組みになっています。

また、設備認定を受けた事業計画について事前に地域で情報を把握することができないことから、認定情報を原則公開(家庭用太陽光は除くか?)とすることも提案されています。

 

4.調達価格の決定時期

平成27年度から変更になった太陽光発電の調達価格の決定時期ですが、現在の「設備認定または電力会社との接続契約のいずれか遅い方」から、

  • 上述した設備認定を接続契約の後に持ってくる更なる後ろ倒し
  • 最大の後ろ倒しとなる運転開始時

という2つの追加案が提示されました。

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(出典)再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会 第2回配付資料

運転開始時に調達価格を決定するという案も出てきましたが、この場合は特別高圧連系の発電所のように事業計画から運転開始まで数年かかる事業などを勘案し、事業予見可能性を担保するための調達価格設定が必要になります。

 

以上が、当面議論される主立った固定価格買取制度の運用変更点となるようです。

設備認定タイミングの変更や調達価格の決定時期はこれまでも議論されてきましたが、最終的に調達価格の決定が運転開始時点にまで後ろ倒しとなれば、上でも指摘したように現在のような年度単位での調達価格改定も見直すことになります。

認定情報の公開や点検・保守の遵守義務は、各地で続発している問題を踏まえると必要な措置になってくるでしょう。

引き続き、今後の議論経過も見ていきます。