ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:事業用太陽光発電の全てを入札対象に - 経済産業省が専門委員会に提示

昨年からスタートした事業用太陽光発電(出力2000kW以上)の入札制度の第2回入札が行われ、落札者なしとなったことが大きな話題になっています。
第1回入札では上限価格が21円/kWhと定められ、最も安価な事業者は17円20銭の札を入れていました。結果的には、入札量の合計が予定値に届かず全ての入札案件が落札となったものの、落札後に辞退が相次ぐなど入札制度が太陽光発電事業の実態に即していない現状を露呈しました。
これに対して、昨日開催された「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第8回)」では、2025年度の太陽光発電コスト目標達成に向けたFIT単価目標や、入札制の拡大に関する提案が経済産業省側から提示されていました。
詳しくは、下記の記事によくまとめられています。

www.itmedia.co.jp

経済産業省の提示したところでは
  • 7円/kWhのコスト目標に対するFIT価格は8円50銭/kWhとなる
  • そのため2022~2024年度には8円50銭/kWhのFIT価格を目指す
  • 事業用太陽光発電のコスト削減を促すために全てを入札対象とする

などがあります。

価格目標自体には妥当性を感じる部分もありますが、来年度から事業用太陽光発電の全てを入札対象にするというのは拙速すぎる印象です。

これまでのFIT制度の逐次改正による混乱や、現在の2,000kW以上を対象にした入札の問題点についての反省は見られず、「国民負担の抑制」だけを旗印に突っ走ろうとしているように見えます。

少なくとも、事業用太陽光発電を全て入札対象とするのであれば、再エネの優先接続などを前提とすべきですがその視点も抜け落ちており、再エネに対して「コスト」しか見ていない経済産業省の姿勢を露見する形となってしまっています。