固定価格買取制度:再エネ特措法の改正案が成立 設備認定を受けている未稼働発電所への影響は?
今国会で、ついに「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律」が可決成立し、平成29年4月1日からFIT制度の見直しが図られることになりました。
設備認定制度の変更、買取義務者の変更、調達価格の入札制度の導入など様々な制度変更が盛り込まれていますが、特に設備認定制度の変更については経済産業省が注意喚起を行っています。
- 現在設備認定を受けている案件については、平成29年3月31日までに接続契約を締結できていない場合、認定が失効する。
- 接続契約が締結されている場合でも、運転開始前の認定案件については運転の開始に一定の条件が付される可能性がある。
- 接続契約が締結されている場合でも、一定の期間内に発電事業計画を提出しなければ認定が取り消される。
などの条件が付されており、今回の法改正では平成24年度の設備認定案件まで含めて全ての未稼働の既存案件が上記対象となります。
また、各電力会社は平成29年3月31日までに接続契約を締結するためには、平成28年6月30日までに接続契約の申込みをするようにアナウンスしています。
改正案の成立によって、今後経済産業省・資源エネルギー庁から詳細なルールが定められていくことになりますので、逐次最新情報を確認していくことが重要です。
ソーラーシェアリング:匝瑳市におけるソーラーシェアリング事業が新エネルギー新聞に掲載されました
ソーラーシェアリング:匝瑳飯塚Sola Share 1号機は順調に稼働中
運転開始から間もなく2ヵ月を迎える匝瑳飯塚Sola Share 1号機ですが、4月の発電成績はDCベースで15%以上増加(千葉加曽利太陽光発電所と比較)の好パフォーマンスでした。自動追尾型システムの効果が現れているようです。
発電所下部では、大豆の播種に先んじて緑肥作物を育てています。(写真)
これから緑肥のすき込みを行って、夏にはいよいよ大豆の栽培が始まります。
資源エネルギー政策:「地球温暖化対策計画」が閣議決定 日本としての気候変動対策の中期目標を設定
先週の話になりますが、「地球温暖化対策計画」が閣議決定されました。パリ協定や昨夏に国連気候変動枠組条約事務局へ提出した、「日本の約束草案」をベースにした気候変動対策の中期計画です。
対策計画が全173ページ、削減量の根拠に関する参考資料が155ページと長大なボリュームになっているため、まだ全てに目を通し切れていませんが、気候変動対策としては全く野心的な計画ではないようです。
電気や熱分野に絞ってみてみると、原子力発電については「温室効果ガスの排出がない低炭素のベースロード電源」として、規制基準に適合したものは再稼働させていくことが明言されています。
再エネについては、電気も熱も最大限の導入を謳っていますが、その目標値は長期エネルギー需給見通しを踏襲したもので、目新しさはありません。
また、火力発電については「高効率化」をしつこく謳っているものの、昨今問題視されている石炭火力発電の新設規制については触れられていません。
これから、削減量の根拠資料を細かく見てみようと思います。
太陽光発電事業:太陽光発電協会が太陽電池パネル等の飛散による被害防止のための注意喚起を公表
FIT導入後の太陽光発電設備増加により、太陽光パネルの飛散による周辺への被害事例が増えています。
特に、昨年9月の台風15号では九州で138件の太陽光発電所への被害が発生しており、民家や車を破損させるという被害も起きています。
これを受けて、今年の台風シーズンを前に太陽光発電協会(JPEA)が「一般用太陽電池発電設備に対するパネル飛散防止に係る周知」を公表しました。
一般用太陽電池発電設備に対するパネル飛散防止に係る周知について
これは、経済産業省からJPEAに対する要請という形式になっており、何ともいまいちなデザインのチラシも添付されています。
昨夏には群馬県伊勢崎市でも突風による太陽光パネルの飛散が起きていますが、他にも施工不良などによる耐風速基準を満たさない設備が多数確認されています。
経年劣化による架台のボルトの緩みなども発生しますので、台風のシーズンを前に、発電所オーナーには今一度設備の安全点検が求められます。
電力自由化:小売全面自由化から1ヵ月 続くシステム側のトラブルで電力の市場取引に支障
4月に電力小売の全面自由化が行われてから1ヵ月、消費者の側がどの電力会社を選ぶかという情報はあふれていますが、その裏で国と電力会社が整備してきたシステムの不具合が続いています。
東京電力管内で、自由化にあたって必要なスマートメーターの設置が完了しないという報道がありましたが、この辺りは昨年末くらいから「間に合わないかも知れない」と言われていました。
そんな末端の機器設置が遅れる一方で、全国的な電力システムの管理を行う、「電力広域的運営推進機関」(広域機関)のシステムでもトラブルが続いています。
広域機関システム不具合による「連系線を利用した1時間前市場取引開始時期」の延期について|報道発表資料|電力広域的運営推進機関ホームページ
従来の電力会社管内を結ぶ連系線を使った、広域の電力融通を前提とする「1時間前市場取引」が卸電力取引市場で新たに可能となるはずが、連系線の利用計画を管理する広域機関システムにトラブルが生じています。
4/28に同取引が再開されるはずでしたが、同日中にトラブルを起こして再度取引が停止されている状態です。
大型連休が明けてもシステム再開のリリースはなく、地域間の電力取引が出来ない状態が続いているわけですが、自由化による一層の電力取引拡大を前に、基幹となるシステムの整備がいつ終えられるのか、課題山積です。
記事投稿:ソーラーシェアリングで進める地域の農業再生
エコロジーオンラインに、「ソーラーシェアリングで進める地域の農業再生」と題した記事を投稿しました。
ソーラーシェアリングで進める地域の農業再生 - エコロジーオンライン : Ecology Online
昨今、10MW以上の大規模なソーラーシェアリングに関する事業計画が増えてきています。
しかし、制度の狙いである農業を"主"と捉えた事業となっているのかが、明確には分からないものが多く見受けられるのが現状です。
太陽光発電やバイオマス発電によるエネルギー資源の利用が、農林業と競合するような状況も生まれつつある中で、エネルギー生産と食料や他の資源生産との両立をどのように図っていくのか、改めて考えていく必要があります。
再エネ業界ニュース:電力10社の2016年3月期決算 全社黒字化へ
電力大手10社の決算が出揃い、東日本大震災が発生して以降では初となる全社黒字決算になった模様です。
このうち、東北電力と中部電力は過去最高益となったほか、川内原発を再稼働させた九州電力や、高浜原発の再稼働→停止を経ている関西電力も黒字となっています。
実態としては、化石燃料価格の低下による発電原価の削減が寄与しているようです。
5年ぶりの黒字となった関西電力の決算短信(個別)の損益計算書を見ると、電気事業による営業収益は前年同期比で1,440億円の減少ですが、営業費用で汽力発電費が前年同期比で4,991億円減少しており、最終的に2,085億円の営業収益と1,185億円の当期純利益を計上しています。
また、過去最高益の中部電力の決算短信(個別)では、電気事業による営業収益は前年同期比で2,284億円の減少ですが、営業費用で汽力発電費が前年同期比で4,821億円減少となり、最終的に2,652億円の営業利益と1,572億円の当期純利益を計上しています。
化石燃料価格の低下によるものとして、今期の好決算は一時的とする電力大手各社ですが、次期は電力小売全面自由化後の初の決算となり、その影響がどう出てくるかも注目していきます。
ソーラーシェアリング:自社保有のソーラーシェアリング "匝瑳飯塚 Sola Share 1号機" が稼働しました
昨年から計画を進め、2月から工事が始まっていた、千葉エコ・エネルギーとして初の自社保有ソーラーシェアリングプラントが「匝瑳飯塚 Sola Share 1号機」です。
【発電所全景 1】
所在地は難読市町村名トップに輝く千葉県匝瑳市(そうさし)で、 大まかな発電所の諸元は以下のようになります。
- 所在地:千葉県匝瑳市飯塚
- 定格出力:49.5kWp(AC) / 55.16kWp(DC)
- モジュール:Amerisolar AS-5M12 単結晶70W 788枚
- PCS:SMA AG STP10000TLEE-JP-11 9.9kW 5台
- 架台:単管パイプ(Φ48.6mm) スマートブレス接合
- 地上高:2.5~3.4m(地形傾斜による)
- 追尾装置:太陽同期可変式システム「スマートターン®」
- 遮光率:32.15%
- 栽培作物:大豆
【発電所全景 2】
発電設備の設置高は、農林水産省の新通達に基づく「地上高2m以上」から更に余裕を持たせており、遮光率も多くの作物に適するとされる33%を下回る設計としました。
設備下での営農は、地元農家の皆さんと共同で設立した「Three little birds合同会社」が担い、この地域における耕作放棄地の再生と自然エネルギーの生産を進めていきます。
まずは自社1号機となるソーラーシェアリングが完成したことで、今後は発電も営農も実際のデータを集めていくことが可能になるため、情報発信や他地域での導入支援を含めた事業を更に広げていきます。