ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

ソーラーシェアリング:春を迎えた匝瑳の様子 - 冬の作物から夏の作物へ

4月になり千葉では春を飛び越して夏の陽気が続き、時には春の嵐が吹き荒れています。

匝瑳では稲作の準備が始まり、あちこちで田植えが進んでいる中、ソーラーシェアリング「匝瑳飯塚 Sola Share 1号機」の下では麦が青々と繁茂して新しい季節の訪れを感じさせてくれています。

 

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ここでは昨年に引き続き、夏は大豆を栽培する予定となっていて、1月に完工した2号機も今年から畑としての農地再生を進め、同様に大豆畑になっていきます。

他にも、飯塚開畑地区内ではこの春までに低圧6基+メガ1基合計7基のソーラーシェアリングが新たに完工し、約4haの農地で耕作が始まるので賑やかなシーズンを迎えることになるでしょう。

この地域での取り組みに関わるようになって間もなく2年が過ぎようとしていますが、これまで播いてきた種が芽吹いていくように、着実に成果が上がってきています。

講演情報:アースデイ東京でソーラーシェアリングのトークセッションに出演します - 城南信用金庫吉原相談役ほか

今週末、22日・23日に代々木公園で開催される「アースデイ東京」にて、ソーラーシェアリングのトークセッションに出演することになりました。

23日の13時から、会場内トークテントにて城南信用金庫吉原相談役ほかの皆様と“100億円のソーラーシェアリングへ ~ 市民ができるエネルギーシフト ~」”と題してお話をさせていただきます。

 

アースデイ東京 トークテントタイムスケジュール

 

その他、『農業と自然エネルギーの融合 - ソーラーシェアリングの紹介』として、千葉エコ・エネルギーでの企画出店も行います。

匝瑳で設置しているソーラーシェアリングのデモ機展示などを予定しています。

 

アースデイ東京2017 企画・出展者情報 « アースデイ東京/Earth Day Tokyo

 

週末は好天にも恵まれそうなので、みなさまのご来場をお待ちしております。

太陽光発電事業:新エネルギー小委員会で事後的な「過積載」が問題視 - 売電開始後のパネル増設は規制されるのか?

少し前の話になりますが、総合資源エネルギー調査会の新エネルギー小委員会第17回会合で、太陽光発電設備における「過積載」が取り上げられました。

ここで問題とされたのは発電所設置時の過積載ではなく、運転開始後の「事後的な過積載」です。

techon.nikkeibp.co.jp

過積載とは

モジュールの容量をPCSの容量よりも多く設置する「過積載」という単語が定着して久しいですが、例えば10kWのモジュールから10kWhの発電が行われることは、一年を通じた運転時間の中でも非常に少ないです。

日射量やモジュールの設置角度、気温など様々な要因によって発電量が低下するため、ある程度モジュールの枚数をPCS容量に対して増やしておくことで、設備容量に対する利用率を上げることができます。

過積載の何が問題とされている?

さて、同委員会の議事録も既に公表されていますが、「事後的な過積載に対して認定時点の調達価格が適用されるのは、制度趣旨からして適切ではない」とする意見が多くなっています。

現在の制度では、設備認定時にPCS容量よりもモジュール容量が大きければ、運転開始後に更にモジュールを追加したとしても調達価格は変わりません。

特に調達価格の高い案件で、現在の資材・施工コストが下がった時点でモジュール増設を行えば、発電量が増えて収益が向上するということが謳われています。

調達価格の高い案件の売電量が増えれば、それだけ消費者が負担する再エネ賦課金も増えていくと言うことで、そこが不適切なのでは?というのが委員会での議論です。

今後の議論の経過は?

事後的な過積載を禁止するのではなく、新たに増設された部分にはその時点での調達価格を適用するような形態が模索されているようですが、増設分だけを切り分けるには計量器を別にするなどの対応が必要となり得ます。

増設分は既設分と同じPCSに繋ぎ込まれるのが通常ですから、この部分をどう整理していくかを含めて、今後は過積載の実態を含めた調査・検討が進められることになりそうです。

ソーラーシェアリング:農林水産省が営農型発電に関する事例集を公表 - 匝瑳の事例も掲載

ソーラーシェアリングが広く導入されるきっかけとなった、農林水産省の通達が出されて丸4年が経った先月31日、新たに「営農型発電について」と題した資料が公開されました。

 

営農型発電について:農林水産省

 

内容としては、ソーラーシェアリングを中心とした営農型発電の制度概要のほか、各地での取組事例がまとめられています。

千葉エコとしてThree little birdsと取り組んでいる匝瑳市飯塚地区の事例も掲載されており、他にも宝塚すみれ発電いすみ自然エネルギーなど著名な事例が取り上げられています。

本資料では、営農型発電を「農業と発電を両立した取り組み」と明確に定義していますが、最終ページには「営農と発電の両立を図る上で工夫が必要なケース」として、具体的な事例は挙げられていないものの一時転用許可に際して慎重な判断を要する事例を挙げています。

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特にケース1については以前から問題になっているもので、「発電事業のためのアリバイ作りとしての農業」とならないように、営農の適切な継続が図られているかを慎重に判断すべき事例です。

匝瑳も含めて各地でソーラーシェアリングに関する調査を農林水産省が行っており、その中でこういった事例が明るみに出ているのでしょう。

ソーラーシェアリングが本格的な普及フェーズに入っていく中で、改めて自然エネルギーと農業が両立される取り組みとして、その意義を問い直していく必要があります。

講演情報:映画「日本と再生」上映会@京橋を開催します

匝瑳市のソーラーシェアリングも取り上げていただいた、映画『日本と再生』の上映会を4月14日(金)に京橋で開催します。

詳細は下記facebookイベントページをご覧ください。

 

映画「日本と再生 - 光と風のギガワット作戦」上映会

 

17時からの映画上映会のあと、城南信用金庫の吉原相談役を交えた座談会を予定していますので、皆様のご参加をお待ちしております。

映画についての詳しいところは、下記公式ページで。

www.nihontogenpatsu.com

ソーラーシェアリング:匝瑳メガソーラーシェアリング落成式 - 小泉・細川・菅元総理が列席

去る4月3日(月)、匝瑳市飯塚地区にて匝瑳メガソーラーシェアリング1号機」の落成式を挙行しました。

約1年をかけて事業化に携わってきましたが、無事に竣工・落成しスリムタイプモジュールを使用した日本初のメガソーラーシェアリングとして運転を開始しています。

今回、小泉純一郎細川護煕菅直人の歴代総理にご列席いただき、匝瑳市の歴史に残るであろう盛大な会を催すことが出来ました。

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来賓各位のご祝辞をいただき、落成記念のくす玉割り、そして集合写真と短い式典ではありましたが、人生で最も濃密な時間であったようにも思います。

ソーラーシェアリング発案者の長島彬先生のほか、SBIエナジーの中塚社長や城南信用金庫の吉原相談役など本事業にご協力いただいた皆様にもお越しいただき、集合写真が何やら凄いことになっています。

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式典後には、小泉、細川、菅元総理のお三方に本事業へのコメントをいただき、多くのメディアにも取り上げていただくことが出来ました。

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今後、自然エネルギーと農業の新たな取り組みとして、ソーラーシェアリングの普及を更に図っていきます。

再エネ業界ニュース:民進党がソーラーシェアリング推進法案 - 今国会に上程へ?

先週、秋田でソーラーシェアリングの講演をしてきたところですが、全国各地で営農型太陽光発電が盛り上がりを見せる中で日経が下記のような報道を行いました。

www.nikkei.com

現在は農林水産省の通達によって運用されている営農型発電ですが、それ故に様々な制度上の制約があるのが実態です。

実際に法制化されれば、更にその普及に弾みがつくことになるでしょう。

講演・メディア:秋田市にて営農型太陽光発電の講演を行いました - 雪国でのソーラーシェアリング

改正FIT法の施行が控える中、今後の自然エネルギー事業にどう取り組むべきか事業を行う側にも様々な対応が求められています。

そんな折、3月21日に秋田市で開催された「営農型太陽光発電特別セミナー」にて、講師としてソーラーシェアリングのお話しをさせていただきました。

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年度末というタイミングではありましたが、秋田県内の農業関係者や発電事業者・施工業者のほか、行政職員や議員など幅広い立場にある120名もの皆様にご参加いただきました。

秋田は私が10年以上携わってきている永続地帯研究の中でも、自然エネルギー自給率並びに供給量が常に全都道府県中上位にあり、風力発電水力発電地熱発電など幅広いエネルギー利用が行われています。

一方で、積雪の多さや日照時間が短いというイメージからか、太陽光発電の導入量はFITが始まってからも伸び悩んでいるのが現状です。

ソーラーシェアリングの場合、スリムタイプのモジュールを使うことで雪が上に積もりにくく、降雪が多い時期でも発電が見込めますが、雪に耐えるために架台の構造的な頑強さは必要になります。

今後、田植えの時期までに秋田県内で第1号となる水田でのソーラーシェアリング建設を進め、発電や営農の実証を進めながら普及を図っていきます。

固定価格買取制度:平成29年度の賦課金単価が公表 - 年間で4,000億円の増加見込

年度末になり、毎年恒例となった「再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度」(FIT)の買取価格や賦課金単価等の、来年度情報が出てくるシーズンになりました。

買取価格については前々から情報が出ていますが、FITによる買取の原資となる賦課金についても来年度の単価が公表されています。

www.meti.go.jp

来年度の賦課金単価

平成29年度については、電気の買取費用が合計2兆7,045億円と推測され、前年度よりも4,000億円以上増加するとしています。

その結果、消費者が負担する賦課金単価は2.64円/kWhになるとのことです。

経産省が標準世帯あたりの賦課金額を算定していますが、300kWh/月の電力消費量の場合は月額792円年額9,504円を賦課金として支払うことになります。

なお、平成28年度は同条件で月額675円年額8100円の賦課金だったため、月額117円年額1,404円の増加となります。

今後の賦課金増加ペースは

平成28年度比で平成29年度は総額4,045億円の買取費用増加と見込まれていますが、平成27年度から平成28年度にかけては4,630億円だったことから、買取費用の伸びは鈍くなっています。

徐々に低い買取価格の案件が増えてきているほか、改正FIT法への移行に伴って高い買取価格の未稼働案件が大幅に減少すると見込まれるため、今後は買取費用の伸びが更に抑えられていくと見込まれます。

2030年のエネルギーミックスについての試算では、買取費用が最大で3.7~4.0兆円に達すると想定しており、次のFIT見直しのタイミングで更に何らかの買取費用抑制措置が取られる可能性はあるのではと推測します。

ソーラーシェアリング:TVK(テレビ神奈川)の取材を受けました - 匝瑳飯塚 Sola Share 1号機

昨日、久しぶりの快晴に恵まれた匝瑳TVKテレビ神奈川)の取材を受けました。久しぶりのテレビ取材です。

匝瑳飯塚 Sola Share 1号機前で、ソーラーシェアリングに関する取り組みの背景や目指しているもの、課題や成果などについてお話ししました。

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レフ板の反射光で顔が光っていますが、細めになるくらいの眩しさです...

風も強くなくて良い取材日和でした。

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今回のインタビューは4月3日に放映されるほか、Youtubeでも観られるようになるということなのでまたお知らせします。