ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

2018年 新年のご挨拶

みなさま、新年明けましておめでとうございます。

今年は年明けから千葉では快晴の日々が続き、すがすがしいお正月を過ごすことが出来ました。

2017年を振り返って

昨年を思い返すと、まさにソーラーシェアリング一色と言える1年でした。年始の匝瑳2号機の運転開始から始まり、農林水産省のソーラーシェアリング事例集への掲載匝瑳メガソーラーシェアリングの完工、井川町の北東北初となる水田ソーラーシェアリングの完工、城南信用金庫本店でのシンポジウム開催、次世代農業EXPOへのユアサ商事様との共同出展新型スリムタイプモジュール+アルミ・スチール架台を使用した匝瑳3号機の運転開始など、こうして挙げるだけでも多くの出来事が目白押しでした。

千葉エコ・エネルギーとしての農業参入を果たしたことも、とても大きなトピックですし、秋田・茨城・京都でJVの立ち上げが続いたことは事業の拡大に向けた新たなチャレンジです。

2018年は更なる飛躍!

世界に目を向けると、RE100やSDGsなど人類社会の持続的な発展における自然エネルギーの重要性に対する認識が一般化され、化石燃料原子力からの移行を当然視する流れが生まれています。

我が国でFITが始まった当初とは大きく情勢が変わりつつあり、その流れを更に推し進めるような取り組みを広げていく必要があります。

今年は、千葉エコの農業法人としての本格的な事業展開がスタートします。現在建設中の自社初となる高圧ソーラーシェアリング設備を始めとして、自然エネルギー×農業の取り組みを更に進めていきながら、日本全国そして海外への展開も視野に入れ、更なる飛躍の年にしたいと考えています。

 

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

2018年正月

千葉エコ・エネルギー株式会社

代表取締役 馬上 丈司

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年始に東京湾の向こうに望む富士山

 

 

再エネ業界ニュース:再エネ発電設備の系統連系問題の改善を申し入れ - 資源エネルギー庁や電事連へ

10月に京都大学の安田教授が『送電線に「空容量」は本当にないのか?』というコラムを発表し、実際に東北電力管内での基幹送電網の空容量を計算した結果を公表したことが大きな話題となりました。

現在、北東北(青森・秋田・岩手・宮城)では再生可能エネルギー発電設備の接続申込みが増え、その対策工事には10年以上を要すると東北電力は発表しています。

改正FIT法の下で再生可能エネルギー発電設備の優先接続ルールも廃止され、送電線の空容量問題が再エネ普及の足を引っ張る中で、資源エネルギー庁電事連に対して「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が改善要請を行ったと報じられています。

www.tokyo-np.co.jp

この申し入れの様子は、下記のサイトで詳細に見ることが出来ます。

「自然エネルギー」の送電線利用拒否に申し入れ書を提出 | OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 

現在の各電力会社による送配電線の「空容量」は、

  • 系統が1回路遮断された場合も支障なく電力供給できるよう50%の容量を確保
  • 接続されている全ての発電所が定格出力で稼働する
  • 接続の申込みが行われている全ての発電所の定格出力分を確保
  • 停止している原発など将来再稼働する予定の発電所の定格出力分を確保

など、言うなれば最も保守的な条件を前提として積算されています。

この問題を調査し、実際に送電線がどのように利用されているかを試算した安田教授のコラムは下記になります。

www.econ.kyoto-u.ac.jp

太陽光発電設備は普及が進み、昨日には調達価格等算定委員会での資料が公表されましたが、来年も更にFIT単価の引き下げは行われていきます。

しかし、メーカーや施工業者、発電事業者がどれだけコストダウンの努力をしていっても、それを嘲笑うかのように高額な系統連系のための工事負担金が電力会社から舞い降りてくるのが現状です。

来年も引き続き、この問題はホットトピックとなるでしょう。

講演・メディア:日本農業新聞に匝瑳メガソーラーシェアリングが掲載 - 大豆収穫が終わりました

年の瀬が迫る中、今年最後(?)のメディア掲載になりそうな匝瑳メガソーラーシェアリングの日本農業新聞掲載です。

農業関連メディアでの報道がどんどん増えてきており、農家さんへの認知度向上に期待しています。

www.agrinews.co.jp

12月上旬から始まっていた大豆の収穫も、先週無事に終わりました。刈り終わった畑にも緑肥として麦を播き、来年の春を待ちます。

今年は匝瑳メガソーラーシェアリングの完成で一気に圃場が広がり、知名度も全国区になってほぼ毎週のように視察の受け入れに追われた一年でした。

来年には、今年播いた多くの種が芽を出して実っていくように、日本中へソーラーシェアリングを展開して行くべく、この冬また色々と手をかけていこうと思います。

固定価格買取制度:第13回系統ワーキンググループが開催 - 北東北の系統対策工事工程などが報告

12月12日に新エネルギー小委員会 系統ワーキンググループ(第13回)が開催され、その中で東北北部エリアにおける系統対策工事の検討状況が報告されました。

この対策工事の影響で、現在は青森・秋田・岩手の各県全域と宮城県の一部で、高圧連系以上の再生可能エネルギー発電事業に対する事前相談・接続検討すら不可能な状態が続いています。

www.meti.go.jp

この対象地域内では、今年8月時点で太陽光発電・陸上風力発電・洋上風力発電など合計で1,545万kWの申込み容量があり、その膨大さと対策工事の上でどれだけ連系可能になるのかが話題になっています。

今回の検討状況報告では、系統対策工事を行っても350~450万kW程度の連系容量しか確保されないということ、対策工事完了までに11~13年を要することから、引き続き課題山積という状況が再確認されました。

また、併せて行われた事務局側からの報告では「コネクト&マネージ」にも触れられていますが、一案として考慮するといった程度の触れ方になっています。

この北東北における系統対策工事は、国内における自然エネルギー普及に際して最大の問題となっている系統制約問題に今後どのように向き合っていくかを、改めて議論する切っ掛けともなっており、引き続きWGでの検討の流れを追っていきます。

講演・メディア:朝日新聞夕刊本紙に弊社ソーラーシェアリング事業が掲載 - 顔の見える電力

昨日12/12付の朝日新聞夕刊本紙に、弊社の匝瑳市飯塚地区におけるソーラーシェアリング事業の取材記事が掲載されました!久々の全国版での記事掲載です。

11月にリリースした、みんな電力への売電切り替えを切っ掛けとした新たな取り組みについての記事です。

www.asahi.com

ソーラーシェアリングのコンセプトの一つは、自然エネルギーによる農業と地域の活性化にあります。

今回、電気の生産者と消費者を直接繋ぐという、みんな電力の「顔の見える電力」で電気の供給を開始したことで、農産物の生産地と消費者も繋ぐことができるようになりました。

ちょうど飯塚地区では大豆の収穫期を迎えていますが、この生産物や加工品などを「顔の見える電力」を通じて消費者の方に直接お届けするといった取り組みも、今後進めていきたいと思います。

ソーラーシェアリング:匝瑳で大豆の収穫が始まりました - 2年目のソーラーシェアリング

晩秋の麦蒔きを伝える中で都度都度予告してきた、匝瑳市飯塚地区のソーラーシェアリング設備での大豆収穫が本格的に始まりました。

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運転開始1年目の設備下での大豆収穫

今年は10月の台風の影響もあって、太平洋側からの塩害による大豆の早枯れに見舞われ、収穫期をいつにするか図っていました。そしてついに12/5から収穫作業を決行することになり、Three little birdsが新たに導入したコンバインでの刈り取りがスタートです。

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新たに導入したコンバイン

上の写真はクボタのDC-1 デコイチで、大豆・そばの収穫専用のコンバインです。

今年の収穫にはこいつが大活躍!する予定で、先週末に試運転をした上で作業日当日にも様々なメンテナンスを施しました。

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メガソーラーシェアリングの外周で試し刈り

実際に刈り取りを始めて見ると、台風時の強風で大豆が倒れてしまっていたり、まだ枯れきっていないところがあったりと、作業に苦戦する部分もありました。

今年は飯塚地区のソーラーシェアリング設備全体で2種類の大豆を播きましたが、その内の「ヒューガ」を先行して刈り取っていきます。

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トラクタの半分程度のスピードで、ゆっくりと進む収穫

収穫後の畑にも麦を播きますが、作業を一気に終わらせるために刈り取りの際にどんどん麦も播いていき、刈り終わった場所からトラクタで耕転していきます。

その作業風景は、ちょっと不思議な感じでした。

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大豆を刈り終わった場所から、麦を播いてトラクタでどんどん耕転

大豆の取れ高は、この日刈り取り作業を行った圃場が全て耕作放棄地から再生して1年目の圃場で、更に無農薬・化学肥料不使用での栽培ということを勘案すると、十分な出来ではないかとのことでした。

当日は農林水産省や関東農政局からの視察もあり、朝から日没までとても賑やかな収穫作業となりました。

今年はソーラーシェアリング設備の整備が一気に進んだこともあり、収穫面積は飯塚地区全体で4ha近くに及びます。まだ枯れきっていない大豆も見られることから、今月いっぱいは収穫作業が続くことになりそうです。

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夕暮れに、コンバインとトラクタの共演

 

固定価格買取制度:平成30年度に向けた調達価格等算定委員会の議論が続く - 非住宅用太陽光発電のコスト目標は2020年14円/kWh

平成29年度のFIT調達価格確保に向けた動きが活発化し、先日は経済産業省/資源エネルギー庁から事業計画認定の申請〆切りが示される中、各電力会社も12月~1月中の接続契約締結に関する〆切りを公表し始めました。

そんな動きと平行して、調達価格等算定委員会も少しずつ来年度以降のFIT調達価格決定に向けた議論を重ねているようです。

www.meti.go.jp

この配付資料の中で、『各電源の現状について』とする資料があります。

平成28年度末時点での各電源の設備認定状況や導入状況の他に、長期的な発電コストの低減目標が盛り込まれています。

  • 非住宅用太陽光発電:2020年に発電コスト14円/kWh
  • 住宅用太陽光発電:2019年に調達価格が家庭用電気料金並み
  • 陸上風力発電(20kW以上):2030年までに発電コスト8~9円/kWh

他に、中小水力発電バイオマス発電は諸外国に比べて高コストと表現されています。

特に太陽光発電は早期のFITからの自立化が言われていますが、非住宅用太陽光発電(事業用太陽光発電)では毎年調達価格が新たに決定されていく中で、上記NEDO技術開発目標による『2020年 発電コスト14円/kWh』が一つの目安になっていくでしょう。

そろそろ来年度調達価格の噂も流れ始めていますが、引き続き最もメジャーな自然エネルギー源としての普及が図られていくことは、疑いないところだと考えています。

ソーラーシェアリング:収穫期を迎えた大豆畑 - ソーラーシェアリング2年目の冬

先週の日曜日には無事に匝瑳市飯塚地区の「第1回ソラシェア収穫祭」も終わり、徐々に冬の足音が聞こえ始めました。

徐々に日が暮れる時間も早くなって、夕焼けに染まる大豆畑ではすっかり枯れた大豆の房が収穫を待っています。

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晩秋の夕焼けに染まる大豆畑

昨年は数度の台風によって大幅な収穫量の減少に見舞われましたが、今年も8月の長雨や10月の2度に亘る台風の襲来を経て、どの程度の収穫を得られるかは刈り取りが終わるまで分かりません。

ただ、畑では夏から秋に至ってしっかりと実をつけた房が、夕日に照らされて紅く染まっています。

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すっかり枯れた大豆の房

ソーラーシェアリングの下の畑に落ちていた大豆の房を拾ってみると、中からはふくふくとした青大豆が出てきました。

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まもなく12月、飯塚開畑地区の大豆畑もいよいよ収穫期を迎えます。

収穫が終われば本格的な冬を迎え、また来年に向けた畑の準備が慌ただしく始まることになります。

講演・メディア:第1回次世代農業セミナーに登壇します! - AGRI JOURNAL主催の農業セミナー

来る11/24(金)に、小田原市で開催される第1回次世代農業セミナー(主催:AGRI JOURNAL)へ講師として登壇します。

今回もまた、ソーラーシェアリングについてお話しさせていただく予定ですが、いよいよ始まった千葉エコとしてのソーラーシェアリングを契機とした農業参入や、農業と自然エネルギーの新しい関係についてなど、限られた時間ではありますが幅広くお話しさせていただく予定です。

詳細は、下記の公式Webサイトをご覧ください。参加無料です!

agrijournal.jp

 

ソーラーシェアリング:冬に向けた麦播きを行いました - 大豆はまもなく収穫へ

11月に入って秋も深まり、冬の足音を感じるような冷え込みも始まりました。

匝瑳市飯塚地区のソーラーシェアリングでは、大豆がまもなく収穫の時期を迎えようとしています。

そんな晩秋の風景の中で、来年の春に向けた準備も始まっています。麦の種蒔きです。

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播種機に種子を入れていきます

夏場の大豆播種後に完成した、千葉エコの匝瑳飯塚 Sola Share 3号機や、麦の栽培を計画している匝瑳メガソーラーシェアリングのB地区では、先週から麦の播種が始まりました。

千葉エコの3号機では、なんとビール麦を育てる計画です。匝瑳地ビール計画の第一歩を踏み出しました!

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完成したばかりの3号機で、播種開始

ソーラーシェアリングの下で農業を行う、Three little birds合同会社のメンバーによって、完成したばかりの設備に種が播かれていきます。

今回の千葉エコ3号機は、日本初のスリムタイプモジュール+アルミ&鋼管架台を採用した設計で、杭のフランジにまでこだわることで、従来の単管架台よりも農作業の効率化を図っています。

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真剣な表情でトラクタを駆る、Three little birds 共同代表の齊藤さん

晩秋の早い夕暮れが迫る中、無事に播種作業を終えることが出来ました。

厳しい冬を越えた麦が、来年の春には青々と畑一面に生い茂る姿が、今から楽しみです。

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夕暮れに輝く匝瑳3号機