ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:平成29年度の設備認定申請の提出期限が公表 - バイオマス発電以外の新規申請は1月12日まで

毎年この時期になると業界関係者をやきもきさせる、再生可能エネルギー発電設備の設備認定に関する今年度の提出期限日が、資源エネルギー庁から公表されました。

バイオマス発電の新規申請は12/12まで、バイオマス発電以外の新規申請は1/12までという期限が設けられています。

平成 29 年度中の認定申請等にかかる提出期限について(注意喚起)

ソーラーシェアリングを含む太陽光発電の駆け込み申請が特に集中することが恒例になっていますが、今年度から改正FIT法へと移行したことで新規の申請には電力会社による接続の同意を示す書類の提出が必要となります。

こちらの提出期限は2月16日と設定され、新規申請時に提出できなくてもこの期限までに提出すればよいことになります。

一方で、この接続の同意を示す書類を発行するための申込期限は各電力会社によって異なってきますが、まだ一部の電力会社しか期限を公表していないようです。

今後、各社からアナウンスが出てくるかと思いますが、11月末あるいは12月末で区切られることが想定されますので、今年度の調達価格での設備認定を受けるに際しては〆切りに留意した事業計画の立案と、申請手続きを行う必要があるので、くれぐれもご注意ください。

再エネ業界ニュース:新電力がぶつかる2020年問題 - 電力自由化の完了に向けて

電力小売りの全面自由化が進み、既存の電力会社から切り替えた契約数が10%を超えたという報道も目にするようになりました。

従来のサービスとのセット売りによる大手電力会社 vs ガス会社という構図や、ガソリンスタンドや通信、スーパー、ハウスメーカーなど様々な業態の事業者が新電力事業に参入しています。

そんな中で、「電気事業の2020年問題」をまとめた記事を目にしました。

techon.nikkeibp.co.jp

既に東京電力が発電・送配電・小売りの各事業を実質的に分社化していますが、2020年には全ての大手電力会社も含めて、この「発送配電分離」が行われます。

その上で、大手電力会社は福島第一原子力発電所事故の際にも大きく取り上げられた「総括原価方式」がなくなり、現在は一定の規制が設けられている電気料金の設定が自由化されていくことで、さらなる小売りの競争激化を招くと予想されています。

電力小売り自由化が始まってからというもの、大手電力会社と新電力の苛烈な価格競争が続いており、大規模な電力需要家が新電力の見積りをとると大手電力がすぐにもっと安い相見積りを出してくるというのは珍しくありませんでした。

現在も大手需要家を巡る攻防が続く中で、大手電力会社の小売り部門が本格的に営業拡大努力を図ってくることになれば、中小の新電力は価格以外の別の対抗軸を見つけなければなりません。

それは、地域に根ざした電力会社というポジションであったり、自然エネルギー100%という方向性だったりと様々なやり方が模索されていますが、まだ消費者の心理や行動を大きく動かすには至っていないのも現状です。

わずか1年足らずで新電力事業から撤退する事業者も出始める中で、卸売市場を巡る問題も明らかになりつつあり、我が国の電力小売り自由化がどのような姿になっていくのか、この先数年で形が定まることになるでしょう。

ソーラーシェアリング:千葉エコ アグリ事業部が発足しました! - 自社農場などを整備して農業に本格参入

ここ2年近くに亘って、千葉エコ・エネルギーとしてほぼソーラーシェアリング事業に注力してきましたが、ついに農業へと本格参入すべくアグリ事業部を発足しました!

下記がニュースリリースになります。

www.chiba-eco.co.jp

昨年3月に匝瑳飯塚 Sola Share 1号機が完成して以降、自社のソーラーシェアリング設備が増えていき、また匝瑳市飯塚地区でソーラーシェアリング下の農業を行うThree little birds合同会社への出資参加などを通じて、農業に関わる機会が非常に多くなってきました。

今年5月には、株式会社マイファームとのJVとしてエコ・マイファームを設立し、農業部分のコンサルティングに携わる機会も生まれました。

そんな中で、社内的にも「農業をやりたい!」という声が強くなり、オフィスのベランダにプランターが増えたり、室内に鉢に植えられた色々な植物が増えたりしていく中、今回満を持してのアグリ事業部発足です!

まずは自分たちの畑を持つところから・・・?ということで、今後次々と新プロジェクトを打ち出していきますので、是非ご期待ください。

講演・メディア:エネルギーポータルサイト"ENECT"(運営:みんな電力)にインタビュー記事が掲載されました

ソーラーシェアリングを「農業と自然エネルギーの新しいカタチ」として普及していく中で、これまでは各地に設備を普及させていくことに重きを置いてきました。

その中で、ソーラーシェアリングで作られた電気をどこに届けるか?を常に課題として抱えていましたが、その答えを見つける一歩として新電力事業者との連携を進めようとしています。

今回、電気の生産者と消費者を繋ぐ「顔の見える電力」を展開しているみんな電力株式会社のエネルギーポータルサイト『ENECT』に、匝瑳ソーラーシェアリングプロジェクトの取材を受けて連載記事として取り上げていただくことになりました。全3回での掲載予定です。

enect.jp

みんな電力の「顔の見える電力」には、既に複数のソーラーシェアリング事業者が登録されていますが、そもそもソーラーシェアリングとは?というお話しから、更に農業と自然エネルギーの関係や背景にあるストーリー、農地で作られる電力を買う意味とは、といった点を掘り下げてお話しさせていただきました。

毎週月曜掲載となりますので、是非ご覧ください。

イベント:匝瑳ソーラーシェアリング収穫祭を開催します! - 11/19(日)匝瑳市飯塚にて

今年4月にメガソーラーシェアリングが運転を開始し、ソーラーシェアリング界隈で注目を浴びている千葉県匝瑳市飯塚地区で、来る11/19(日)に匝瑳ソーラーシェアリング収穫祭』を開催します。下記がイベントページです。

solar-sharing-fes.jimdo.com

飯塚地区では高圧・低圧のソーラーシェアリング設備が累計で10ヵ所を超え、地域を巻き込んだ新しい自然エネルギーと農業の取り組みを展開しています。その取り組みを発信し、また地域の方々や関心を持っていただいている多くの皆さんに集まっていただけるお祭りとして、今年初めて『収穫祭』と銘打ってイベントを開催します。

ソーラーシェアリング発案者である長島彬先生や、環境学者の飯田哲也氏、高坂勝さんなどによるトークステージのほか、太陽光の電気だけで行うソーラーライブステージ、こだわりのお店が並ぶ飲食や物販など様々な企画を準備しております。

どなたでもご参加いただけますので、是非お気軽にお越しください!

ソーラーシェアリング:井川町の水田ソーラーシェアリングで稲刈り - あきたこまちの初収穫

ちょっと前の話になりますが、今年5月に完成した 水田ソーラーシェアリング 井川初号機(秋田県南秋田郡井川町)で「あきたこまち」の稲刈りが行われました!

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アイセス あきたこまち収穫

秋田県初となる水田ソーラーシェアリング設備で、果たしてどのようにあきたこまちが育ち、またトラクタやコンバインを使った農業が出来るのかの実証実験となりましたが、無事に稲刈りまで終えることが出来ました。

下の写真のように、サイドミラーを折りたたんで、架台スレスレを狙った収穫作業です。

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架台スレスレをコンバインが駆ける

これから精米されたお米が、特製のパッケージに詰められてみなさんのお手元に届く・・・かもしれません。現在、パッケージデザインが鋭意進行中です。


また、収穫時に撮影した動画を下記で公開していますので、是非ご覧ください。  

www.youtube.com

今回、約半年間の発電量はシミュレーション比15%以上の増加という結果になり、また周辺の野立ての発電設備よりも10%以上高い発電量になっています。太陽光パネルの温度低下が理由ではないかと推測されますが、こちらも継続的に検証していく予定です。

 

次は、来月以降に匝瑳市の大豆収穫が控えています。

実りの秋を迎えて、ソーラーシェアリング界隈もまた賑やかになってきました。

講演・メディア:北東北ソーラーシェアリング連続セミナーを開催しました - 盛岡・秋田会場で100名以上が来場

全国各地からソーラーシェアリングの引き合いをいただく今日この頃、更なる普及促進のために「北東北ソーラーシェアリング連続セミナー」を、10/17~18の日程で開催しました。17日は岩手県盛岡市、18日は秋田県秋田市での開催です。

下の写真は秋田会場の様子ですが、今回は両会場とも満員の申込みをいただき合計で100名以上の方にご参加いただくことができました。

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今回は、秋田県南秋田郡井川町での水田ソーラーシェアリング「井川初号機」が収穫を迎えた実績も含め、現在の国内におけるソーラーシェアリングの最新情勢や、今後のビジョンなどをお話しさせていただきました。

下の写真は、井川町の水田ソーラーシェアリングでの稲刈りの様子です。

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北東北では、再生可能エネルギー発電設備の接続申込みが相次いだことで、東北電力が送配電網の改修に向けた募集プロセスを実施しているために、新たに高圧の太陽光発電設備を導入することが難しくなっています。

来春以降は再び申込み受付が再開されると見込まれていますが、低圧規模の発電設備を中心にソーラーシェアリングの導入を図っていきたいと考えているところです。

次世代農業EXPOに出展します - ユアサ商事と千葉エコ&エコ・マイファームの共同出展

来週10月11日~13日にかけて、千葉市幕張メッセで開催される次世代農業EXPOに、千葉エコエコ・マイファームとしてユアサ商事と共同出展します。今回は、ソーラーシェアリングの関連展示を行う予定です。

www.chiba-eco.co.jp

期間中、私はほぼブースに張り付きまして、1日3回のミニ・プレゼンテーションを行う予定です。

次世代農業EXPOでは、ソーラーシェアリングに関連した企業の出展が毎年増えていく中で、今年もメーカーを中心に多くの出展が見られています。

その中で、千葉エコ&エコ・マイファームとしては事業計画の立案から設計・施工に加えて、営農計画の策定やソーラーシェアリング事業開始後の営農支援を含めた包括的なサポートを提案していきますので、皆様のご来場をお待ちしております。

 

千葉エコ・エネルギー株式会社 設立5周年記念のご挨拶

 皆様のあたたかいご支援のもとに、2017年10月1日で千葉エコ・エネルギー株式会社は設立5周年を向かえることができました。2012年の設立当初から多くの方々とのご縁に恵まれ、現在では4つの子会社・関連会社を持って、全国で営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)や小水力発電を始めとする自然エネルギー事業のお手伝いをさせていただけるようになりました。

 「自然をエネルギーに、エネルギーを未来に」を企業理念として掲げ、大学発ベンチャーとしてスタートした頃には、今のように多くの方々と関わり、いくつもの地域で事業を広げていくことは夢の先の形でした。一つ一つの取り組みを重ね、新たな仲間を迎えながら成長していく中でそれが現実のものとなり、社会の変化と共に私たちもまた次の成長のステージへと踏み出そうとしています。

 千葉エコ・エネルギーは今後、ソーラーシェアリング事業を軸に、農業への新規参入も計画しております。これまで太陽光、小水力、バイオマスと多くの自然エネルギー事業に関わる中で、農業との密接な関係性を感じるようになりました。そして、自らが農業と自然エネルギー生産の双方を担うことで、より一層の農業振興・地域活性に力を注いでいきたいと考えています。 

 農業は、私たちの祖先が1万年以上に亘って続けてきた、生活の基盤となる営みです。自然エネルギーは、尽きることのない自然の恵みを、新しい形で私たちの生活に取り入れていく取り組みです。その両方に関わることで、千葉エコ・エネルギーは将来に亘って食料とエネルギーを安定して得ることが出来る仕組み作りに携わっていきます

 弊社もしっかりと人類社会の未来を見据え、今後とも社員一同皆様のご厚情にお応えできますよう心を込めて邁進する所存でございますので、一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

千葉エコ・エネルギー株式会社
代表取締役 馬上 丈司

固定価格買取制度:今年度の調達価格等算定委員会が本格始動 - 木質バイオマスの駆け込み申請に対する議論など

平成30年以降のFITにおける調達価格を決める、今年度の調達価格等算定委員会が本格的にスタートしました。

現在の国内及び世界の再生可能エネルギー導入事情から、今後の主な論点、そして一番大きく資料のページが割かれていたのは木質バイオマスの取り扱いでした。

www.meti.go.jp

FITが開始されて6年目に突入しましたが、国内の再生可能エネルギーは順調に増えています。下記が経産省のまとめたグラフですが、FIT開始前は2.6%だった7.7%にまで3倍近く増加しています。

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設備容量の推移を見ていくと、2013年度以降の急激な太陽光発電の伸びが見て取れます。発電電力量も同様で、水力発電に次いで太陽光発電の量が大幅に増加しています。ここまでの経過を見ると、FITは再生可能エネルギーの普及を図るという政策目標を一定程度達成していると解釈できます。

その他のエネルギー源の普及が低調であることについては、太陽光の急増による送配電容量の不足も理由になっており、系統対策の必要性を感じさせる結果とも言えます。

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これほどまでの急激な普及を見せた太陽光発電ですが、コスト低減も進んで来ています。ただ、経済産業省のまとめではまだまだ欧州などと比較して国内のコスト低減が進んでいないという整理をしており、下記にまとめられている理由については妥当な項目が挙げられています。2020年に14円/kWhの発電原価が非住宅用のターゲットとなっているので、調達価格もこれを目指して引き下げられていくことになるでしょう。

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そして、今年度の調達価格等算定委員会で議論される部分の整理です。これまで単年度で調達価格が決定されてきた事業用太陽光発電を含めて、全ての再生可能エネルギー種に対して平成30年度~平成32年度までの3年間の調達価格について議論が行われることになります。

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こうして表にまとめられると、太陽光発電の段階的な引き下げと共に、それ以外のエネルギー種についてはまだまだ普及が進んでいないことが分かります。一方で、今回の委員会資料では15ページを割いてバイオマス発電の現状並びに議論すべき事項がまとめられており、昨今話題になっている一般木質バイオマス発電の駆け込み申請を踏まえた、制度の見直しが議論されていくことになるでしょう。

一般木質バイオマスには輸入材も含まれているほか、全ての設備認定申請分の発電設備が稼動すると、木質ペレット換算では世界全体の供給量を超える燃料消費になるとも試算されており、実際に安定した燃料が確保され発電事業が行えるものであるかの審査が重要と指摘されています。

改正FIT法の施行によって制度の見直しが進む中で、再生可能エネルギーを普及させるという制度趣旨を再確認した上で、どのような調達価格が設定されていくのか注視したいと思います。