固定価格買取制度:九州電力が電源接続案件募集プロセスの開始を検討
九電ショック以降、再生可能エネルギー発電設備の系統連系協議が遅滞している九州電力ですが、現在の検討進捗状況を踏まえて電源接続案件募集プロセスを開始する可能性について、リリースを出しました。
九州電力 再生可能エネルギー発電設備の接続申込みに関する対応状況及び今後の対応について
九州電力では、平成27年2月14日の前後で申込事業者を「第1グループ」と「第2グループ」に分け、特に太陽光発電事業者に対しては無制限・無補償の出力制御を前提とした事業実施の意思確認を行い、上位系統対策費を含む工事の調整を進めています。
しかし、出力制御が無制限・無補償となったことで辞退する事業者も相次いでおり、各地域の上位系統対策工事に関する工事費負担金の費用算定がなかなか進んでおらず、事業者の辞退によって工事費負担金が不足する場合には「電源接続案件募集プロセス」を実施する可能性があるとしています。
地域によっては、多くの事業者が辞退したことで上位系統対策工事自体が不要となった場所もあるようですが、再来年度には設備認定制度の変更も控えており、早期の連系協議完了が必要になることから、募集プロセスに踏み切る地域も増えることになりそうです。
再エネ業界ニュース:来年度の非住宅用太陽光発電の買取価格は24円になる見込み
固定価格買取制度:再エネ特措法の改正案が閣議決定 固定価格買取制度の一部見直しへ
昨年来議論が続いてきた、固定価格買取制度の「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法)等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
主な改正点を列挙すると、以下のようになっています。
- 再エネ賦課金の特例措置の変更
- 電力自由化に伴う電気事業者や特定契約の定義修正
- 複数年度の調達価格の設定が可能に
- 再生可能エネルギー電気の価格の水準に関する目標の新設
- 入札による調達価格の決定に関する手続きを新設
- 再生可能エネルギー発電計画への認定制度新設
- 上記に伴う従来の設備認定制度の廃止
- 電気事業者から特定送配電事業者及び小売電気事業者への卸供給の規定
既に各委員会の資料で見えてきていた事項ですが、個別に条文に落とし込まれるとまた様子が違ってきます。
複数年度の調達価格設定や、入札制度の導入、設備認定制度の見直しと行った項目は全て盛り込まれており、電力自由化に伴う修正も加えられています。
今回は閣議決定のため、今後の国会審議の中で多少なりとも改正案の修正が行われる可能性もありますが、概ねこの方向で法改正が進むと見られます。
再エネ業界ニュース:中国の太陽光発電累積導入量が世界一に到達 日本は2015年に10GW以上が新設
PV Market Allianceが、世界の太陽光発電事業に関するレポートを公表しました。
今回の発表によると、2015年に世界で導入された太陽光発電は51GWに上り、2014年の40GWを上回る結果となりました。
また、中国の累積導入量が43GWに達し、ドイツを抜いて導入量が世界一になったと推定されています。
日本国内でも2015年の導入量は10GWに達すると推定され、9月末時点で7.4GW(AC)に達すると見込まれています。世界全体の増加量の20%を日本が占める計算です。
ヨーロッパでは英国での伸びが著しい一方で、ドイツは縮小傾向にあり、また新興国でも太陽光発電が増加傾向にあるようです。
その他、日本語による紹介記事として以下が参考になります。
再エネ業界ニュース:関東地方で第1種農地の転用によるメガソーラー - 農山漁村再生可能エネルギー法を用いた初の事例
これまで何度か「農山漁村再生可能エネルギー法」について取り上げていましたが、農林水産省が進める同法の活用した「農山漁村活性化事業」の新たな事例として、関東地方で初となる第1種農地の転用によるメガソーラー建設が進むことになったようです。
同法では、地元農林漁業者を含めた地域協議会を設立し、一定の条件を満たした場合に第1種農地のうち荒廃農地など営農の再開が困難な場所において、再生可能エネルギー発電所の整備区域として指定することで農地転用が可能となります。
今回の茨城県取手市における計画では、地域協議会に対して収益の一部を納付することを前提とし、協議会がその収益を活用した農林漁業の活性化を図ることとしています。
6月には発電所が完工するということで、同法を活用した先駆的な事例として今後の経過を見ていきたいと思います。
太陽光発電事業:なぜ太陽光発電所は倒壊したのか? - 電力安全小委員会の検証から
1月25日に、経済産業省の電力安全小委員会下にある「新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループ」で、太陽光発電設備の安全確保のための取組強化に関する議論が行われました。
ここで、昨年の台風15号による九州地方での太陽光発電設備の被害調査結果が報告されています。
被害状況の集計や個別事例の情報が出ているので、一つ一つ見ていきます。
まず、設備規模別の損壊状況が下記です。
(出所)新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループ資料9
発電設備の被害のうち約7割で構造面の問題が生じ、全体の4割でパネルの脱落や飛散が起きています。特に、500kW~2,000kWクラスで被害が顕著としていますが、このクラスの発電所は設置段階で工事計画の届出や使用前安全管理検査が不要となっています。
そして、実際の被害状況の報告がまとめられたものが下記です。
(出所)新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループ資料9
ここでは2つの事例が挙げられていますが、どちらも架台を支える杭が抜けて架台が倒壊、パネルの損壊や飛散が発生しています。
いずれも、地盤調査の未実施・施工方法の逸脱・そもそもの強度計算不足により、太陽光発電設備の技術基準に適合しない耐風速強度となっていたと報告されています。
そして、各事業者への調査の結果、被害のあった設備のうち約2割にあたる16件で設計基準風速の不足や強度計算の未実施があったとしています。(更に12件は確認中)
(出所)新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループ資料9
今回の調査報告についてのまとめとして、「2,000kW未満の発電設備において、構造強度に関連する重大な損壊事案が発生している」とし、現状では
- 設計基準風速を把握していない等、必ずしも適切に技術基準を理解していない
- 安全尤度がほとんどない
- 不適切な施工方法により施工強度を達成していない
といった事例が散見されるとしています。
今後、他の発電所に対する実態調査の結果も踏まえて、安全規制の見直しを図る方向で検討が進むようです。
固定価格買取制度:太陽光発電の設備認定量が-200万kWと大幅減少 平成27年9月末の設備認定量公開
日経新聞などが、来年度の非住宅用太陽光発電の調達価格を「20円台前半」と報じている中、徐々に落ち着きを見せている太陽光発電マーケットですが、最新の設備認定データが公表されました。
太陽光発電の導入量が順調に増え、設備認定量では木質バイオマス発電が伸びを見せる中で、非住宅用太陽光発電の設備認定量が-200万kWの大幅減となりました。
7月は-52万kW、8月は-42万kWと数を減らしてきていましたが、ここに来て一桁多い減少幅になったのは、失効期限付き案件の認定失効と聴聞による取消が重なったものと見られます。
また、九州などで上位系統対策工事を含む接続検討の再検討結果が戻ってきているほか、関東でも栃木の入札に関する情報が伝わり、事業化を断念する事業者が増加している可能性もあります。
昨年来のFIT見直し議論の中で、経済産業省/資源エネルギー庁はFIT法の改正と並行して未稼働案件の報告徴収・聴聞を強化し、その解消を図っていくとしていることから、今後も同様の減少幅が続く可能性があります。