再エネ業界ニュース:九州電力の出力抑制に対する広域機関の検証結果が公開 - 2月に種子島で実施
昨年5月に、九州電力が種子島で初めて再生可能エネルギー発電設備に対する出力抑制(出力制御)を実施したことが話題になりましたが、今年2月に再び出力抑制が実施され、その検証結果が広域機関から公表されました。
結論としては、今回の出力抑制措置は適切という内容です。
再生可能エネルギー発電設備の出力抑制に関する検証結果の公表について|お知らせ|電力広域的運営推進機関ホームページ
今回の背景は以下のようになっています。
- 2月21日(日)に発電出力の下げ代不足が見込まれた
- 同日の13時時点での想定需要は16,400kW
- 出力抑制の必要量は440kW
- 太陽光発電所1ヵ所(1,000kW)に出力抑制を指示
- 抑制は9時~16時で実施
この出力抑制実施に対して、実際の需要量は14時段階で16,027kWだったと報告されており、島内の火力発電所は一時的に通常運転時の最低出力(50%, 9,000kW)を下回る出力で運転したとのことです。
固定価格買取制度:平成28年度の固定価格買取制度における調達価格が決定 - 一般家庭の電気代は値下がり傾向
毎年いつごろ発表されるか関係者をやきもきさせる、新年度の固定価格買取制度における調達価格及び賦課金単価が公表されました。
これまでと同様に、引き下げが行われたのは太陽光発電のみで、住宅用太陽光が-2円/kWh、非住宅用太陽光が-3円/kWhの下げ幅となりました。
毎年の如く非住宅用太陽光は事前に色々な噂が飛び交いましたが、結果として24円/kWhとなっています。施工関係者に話を聞くと、EPCコストも低下してきているので、24円でも事業として取り組めるという話をよく耳にします。(但し指定ルール下の地域を除く)
また、電力消費者に対する賦課金の単価は2.25円/kWhとなり、平成27年度の1.58円/kWhから0.67円/kWhの増加となります。
ちなみに、電気料金に上乗せされるもう一つの消費者負担「燃料費調整」は、ここしばらくの化石燃料費低下によって、東京電力を例に取ると平成27年4月の2.62円/kWhから平成28年4月は-2.78円/kWhへと-5.4円/kWh下がっています。
再エネ賦課金の増額がセンセーショナルに取り上げられていますが、化石燃料に支払うコストは低下しているので、東京電力の標準モデルを見ると一般家庭の電気代は月額1,000円以上安くなっている(昨年同月比)のが現状です。
資源エネルギー政策:再生可能エネルギーの導入加速について 再生可能エネルギー等関係閣僚会議で合意
再生可能エネルギー電気の固定価格制度(FIT)について見直しが進む中、3月8日に開催された再生可能エネルギー等関係閣僚会議で「再生可能エネルギーの導入加速について」の合意がなされました。
再生可能エネルギーの拡大に向けた府省間連携プロジェクトの推進などが掲げられていますが、これは今春までに策定されることとなっている「エネルギー革新戦略」に関連したものです。
このエネルギー革新戦略は、安倍政権が掲げる『GDP600兆円』目標を達成するためのもので、下記のような事項が含まれています。
言うなれば経済成長と気候変動対策を両立させるためのもので、徹底した省エネルギーの実施、再生可能エネルギーの拡大、新たなエネルギーシステムの構築が柱になっています。
今国会のFIT法改正や、昨年来の系統連系に関する費用負担ガイドラインも含まれるものですが、閣僚会議資料にある関係省庁の連携した取組の案では再生可能エネルギーによる地域活性化の推進や、共通基盤整備なども挙げられています。
具体的な取組はこれから出てくると思われますので、引き続き経過を見ていきたいと思います。
再エネ業界ニュース:つくば市が筑波山・宝篋山における再生可能エネルギー発電設備の規制条例案を策定
つくば市は、筑波山及び宝篋山の周辺における再生可能エネルギー発電設備の設置を規制する条例案を策定し、パブリックコメントを本日から開始しました。
つくば市内ではこれまで、水郷筑波国定公園区域となっている筑波山の中腹で三ヵ所、区域外で一ヵ所の太陽光発電所が計画されていましたが、このうち国定公園区域内の三ヵ所は事業者が撤退あるいは県が事業者の計画申請を不許可としています。
残る一ヵ所は工事が進められている状況ですが、筑波山で太陽光発電所の建設が複数計画されたという事態を受けて地元では反対運動が起き、市議会でも反対決議が採択されるなどした上で、今回の規制条例案が策定されたというのが大凡の経緯です。
規制対象となるのは太陽光発電及び風力発電で、対象区域は自然公園法の特別地域及び土砂災害警戒区域と、その両者と一体的な区域として定める区域としています。
今回の条例に違反した場合には、市による勧告及び事業者名等の公表がなされます。
このパブリックコメントは、4月5日まで行われます。
固定価格買取制度:九州電力が電源接続案件募集プロセスの開始を検討
九電ショック以降、再生可能エネルギー発電設備の系統連系協議が遅滞している九州電力ですが、現在の検討進捗状況を踏まえて電源接続案件募集プロセスを開始する可能性について、リリースを出しました。
九州電力 再生可能エネルギー発電設備の接続申込みに関する対応状況及び今後の対応について
九州電力では、平成27年2月14日の前後で申込事業者を「第1グループ」と「第2グループ」に分け、特に太陽光発電事業者に対しては無制限・無補償の出力制御を前提とした事業実施の意思確認を行い、上位系統対策費を含む工事の調整を進めています。
しかし、出力制御が無制限・無補償となったことで辞退する事業者も相次いでおり、各地域の上位系統対策工事に関する工事費負担金の費用算定がなかなか進んでおらず、事業者の辞退によって工事費負担金が不足する場合には「電源接続案件募集プロセス」を実施する可能性があるとしています。
地域によっては、多くの事業者が辞退したことで上位系統対策工事自体が不要となった場所もあるようですが、再来年度には設備認定制度の変更も控えており、早期の連系協議完了が必要になることから、募集プロセスに踏み切る地域も増えることになりそうです。
再エネ業界ニュース:来年度の非住宅用太陽光発電の買取価格は24円になる見込み
固定価格買取制度:再エネ特措法の改正案が閣議決定 固定価格買取制度の一部見直しへ
昨年来議論が続いてきた、固定価格買取制度の「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法)等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
主な改正点を列挙すると、以下のようになっています。
- 再エネ賦課金の特例措置の変更
- 電力自由化に伴う電気事業者や特定契約の定義修正
- 複数年度の調達価格の設定が可能に
- 再生可能エネルギー電気の価格の水準に関する目標の新設
- 入札による調達価格の決定に関する手続きを新設
- 再生可能エネルギー発電計画への認定制度新設
- 上記に伴う従来の設備認定制度の廃止
- 電気事業者から特定送配電事業者及び小売電気事業者への卸供給の規定
既に各委員会の資料で見えてきていた事項ですが、個別に条文に落とし込まれるとまた様子が違ってきます。
複数年度の調達価格設定や、入札制度の導入、設備認定制度の見直しと行った項目は全て盛り込まれており、電力自由化に伴う修正も加えられています。
今回は閣議決定のため、今後の国会審議の中で多少なりとも改正案の修正が行われる可能性もありますが、概ねこの方向で法改正が進むと見られます。
再エネ業界ニュース:中国の太陽光発電累積導入量が世界一に到達 日本は2015年に10GW以上が新設
PV Market Allianceが、世界の太陽光発電事業に関するレポートを公表しました。
今回の発表によると、2015年に世界で導入された太陽光発電は51GWに上り、2014年の40GWを上回る結果となりました。
また、中国の累積導入量が43GWに達し、ドイツを抜いて導入量が世界一になったと推定されています。
日本国内でも2015年の導入量は10GWに達すると推定され、9月末時点で7.4GW(AC)に達すると見込まれています。世界全体の増加量の20%を日本が占める計算です。
ヨーロッパでは英国での伸びが著しい一方で、ドイツは縮小傾向にあり、また新興国でも太陽光発電が増加傾向にあるようです。
その他、日本語による紹介記事として以下が参考になります。