世界情勢:イギリスのEU離脱問題の影響 - 連合王国は崩壊するか?
昨日は一日、イギリスのEU離脱賛否を問う国民投票のニュースから目が離せませんでした。
EU離脱という結果が出たことでマーケットも大荒れとなり、週明け以降も世界的な影響が広がっていきそうです。
そんな中で気になることは色々とありますが、BBCがまとめた国民投票の地域別結果分布を見ると離脱・残留に割れたイギリスの内情が見えてきます。
イギリス(United Kingdom)は、連合王国との名の通り複数の国が集まって構成されています。今回の国民投票では、そのうちイングランドとウェールズが離脱派多数、スコットランドと北アイルランドが残留は多数という結果となりました。
スコットランドは2014年に独立を問う住民投票を実施しており、北アイルランドは1919年のアイルランド独立戦争、1920年のイギリス政府による南北アイルランド分割、そして北アイルランド紛争などを経て現在も独立の火種を抱えています。
スコットランドも北アイルランドも、今回の国民投票の結果を受けて連合王国からの離脱とEU残留を求める動きが見られ始めました。
今回のEU離脱という判断は、間違いなく世界史に残る大きな事件ですし、ここから生じてくる政治・経済的な影響は全世界に波及していくでしょう。
イギリスはコモンウェルスの盟主でもあり、その中でニュージーランドの国旗変更国民投票といった動きも直近ではありました。
かつて世界を統べた帝国の変容は、新しい世界秩序へと移行していく一つの時代の流れであるのか、この影響の波及先を見極めていきたいと思います。
熊本地震:熊本地震への支援活動 「Green Power for くまもと」 現地支援レポート
4月14日及び16日に発生した「熊本地震」への支援プロジェクトとして、エコロジーオンラインを中心とした「Green Power for くまもと」がスタートしました。
このプロジェクトでは、ソーラーパワートラックの派遣や、ナノ発電所やミニソーラー、ソーラーランタンといった防災に役立つ自然エネルギーアイテムの寄付を行うほか、今回は八代亜紀さんのご協力を得たミニライブも現地で開催しました。
ソーラーパワートラックについて
SolarPowerTruck - エコロジーオンライン : Ecology Online
千葉エコ・エネルギーとしても今回のプロジェクトに賛同し、40Wのソーラーパネルと75,000mAhの容量を持つ携帯型蓄電池をあわせた「ナノ発電所」3セットを寄贈して、ソーラーパワートラックに積載し熊本へ運んでいただきました。
現地レポート
【Green Power for くまもと】フォトレポート 2016/6/14~2016/6/24 - エコロジーオンライン : Ecology Online
今回のプロジェクトは6月14日にソーラーパワートラックが秋田を出発し、全国各地でプロジェクトに賛同した仲間達からの支援物資を積載するという行程からスタート。
16日から九州に入って大分県内を経由し、18日・19日には熊本県内各所で支援物資の寄贈とソーラーパワートラックによるミニライブを行い、帰りは現地の野菜や加工品などを積載して戻るというルートを取りました。
ライブの様子は下記のように報じられています。
大地震の発生から2ヵ月が経過しましたが、既に関東では報道を目にする機会が少なくなる一方、現地はまだまだ倒壊家屋の撤去も終わっておらず、みなし仮設を含む仮設住宅への入居も遅れており、6,000人近くが現在も避難所生活を送っています。
これからも引き続き、出来る限りの支援を行っていきたいと思います。
再エネ業界ニュース:つくば市が「再生可能エネルギー発電設備 設置に関する要望書」を経産省に提出 再エネ発電設備の設置基準を定めるように要望
以前、筑波山の山腹における太陽光発電所の建設問題と、それに対するつくば市の再生可能エネルギー発電設備に対する規制条例案を取り上げました。
そのつくば市が、経済産業省に対して「再生可能エネルギー発電設備 設置に関する要望書」を市長名で提出したと発表しました。
つくば市の要望書に掲げられているのは、下記の2点です。
要望書の中でつくば市は、全国各地で再生可能エネルギー発電を巡る問題が起きている現状に対して、
「再生可能エネル ギーの発電事業を推進する趣旨の法律はあるものの,その発電設備の適正な設置を監視する法令の規定がないこと,さらに,再生可能エネルギー認可事業にかかる情報が地元自治体に提供されないことが,根底にある」
としています。
各地で地方自治体による再生可能エネルギーの設置規制条例が設けられてはいますが、強制力のあるもの、開発を直接差し止めるものは制定できないのが現状です。
山梨県や長野県で大規模なメガソーラーに対する環境アセスメントが実施されてはいるものの、対象となるものは一部に限られます。
今回のFIT法改正に伴う計画認定制度への移行とあわせて、より幅広い発電設備を対象とした規制を考えるべきでしょう。
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再エネ業界ニュース:太陽光発電の関連事業者の倒産が増加 2016年上半期は前年を上回るペースか
帝国データバンクの太陽光関連業者の倒産動向調査から、2016年1月~5月期は前年同期を上回るペースで業者の倒産が相次いでいるとのこと。
思い返せば、全ての始まりは2014年秋の「九電ショック」 で、下記の記事中のグラフでも2015年に倒産業者数が急増しています。
あの時は、権利売買だけでなく工事を準備していた発電事業者、施工業者も各地で大きな痛手を被っていました。突然の接続協議停滞、連系承諾以前の案件は全てストップし指定ルールへ移行するなど劇的な市場環境の変化が起きました。
2015年以降は、指定ルールの導入以外にも調達価格のプレミアム期間終了、報告徴収による未稼働案件の取消、180日/270日ルールの導入、接続検討の長期化や工事負担金の高騰など太陽光発電マーケットでは様々な出来事が起きています。
今後、先月成立したFIT法の一部改正案を受けて、未稼働案件のうち滞留しているものが一掃されることになり、業界としては来年にかけて更に事業者の淘汰が進むことになるでしょう。
特に、これまでのような発電事業者やデベロッパー、施工業者の倒産に加えて、モジュールメーカーなどサプライヤーサイドも生き残る事業者の選別が進むと思われます。
固定価格買取制度:再エネ特措法の改正案が成立 設備認定を受けている未稼働発電所への影響は?
今国会で、ついに「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律」が可決成立し、平成29年4月1日からFIT制度の見直しが図られることになりました。
設備認定制度の変更、買取義務者の変更、調達価格の入札制度の導入など様々な制度変更が盛り込まれていますが、特に設備認定制度の変更については経済産業省が注意喚起を行っています。
- 現在設備認定を受けている案件については、平成29年3月31日までに接続契約を締結できていない場合、認定が失効する。
- 接続契約が締結されている場合でも、運転開始前の認定案件については運転の開始に一定の条件が付される可能性がある。
- 接続契約が締結されている場合でも、一定の期間内に発電事業計画を提出しなければ認定が取り消される。
などの条件が付されており、今回の法改正では平成24年度の設備認定案件まで含めて全ての未稼働の既存案件が上記対象となります。
また、各電力会社は平成29年3月31日までに接続契約を締結するためには、平成28年6月30日までに接続契約の申込みをするようにアナウンスしています。
改正案の成立によって、今後経済産業省・資源エネルギー庁から詳細なルールが定められていくことになりますので、逐次最新情報を確認していくことが重要です。
ソーラーシェアリング:匝瑳市におけるソーラーシェアリング事業が新エネルギー新聞に掲載されました
ソーラーシェアリング:匝瑳飯塚Sola Share 1号機は順調に稼働中
運転開始から間もなく2ヵ月を迎える匝瑳飯塚Sola Share 1号機ですが、4月の発電成績はDCベースで15%以上増加(千葉加曽利太陽光発電所と比較)の好パフォーマンスでした。自動追尾型システムの効果が現れているようです。
発電所下部では、大豆の播種に先んじて緑肥作物を育てています。(写真)
これから緑肥のすき込みを行って、夏にはいよいよ大豆の栽培が始まります。
資源エネルギー政策:「地球温暖化対策計画」が閣議決定 日本としての気候変動対策の中期目標を設定
先週の話になりますが、「地球温暖化対策計画」が閣議決定されました。パリ協定や昨夏に国連気候変動枠組条約事務局へ提出した、「日本の約束草案」をベースにした気候変動対策の中期計画です。
対策計画が全173ページ、削減量の根拠に関する参考資料が155ページと長大なボリュームになっているため、まだ全てに目を通し切れていませんが、気候変動対策としては全く野心的な計画ではないようです。
電気や熱分野に絞ってみてみると、原子力発電については「温室効果ガスの排出がない低炭素のベースロード電源」として、規制基準に適合したものは再稼働させていくことが明言されています。
再エネについては、電気も熱も最大限の導入を謳っていますが、その目標値は長期エネルギー需給見通しを踏襲したもので、目新しさはありません。
また、火力発電については「高効率化」をしつこく謳っているものの、昨今問題視されている石炭火力発電の新設規制については触れられていません。
これから、削減量の根拠資料を細かく見てみようと思います。
太陽光発電事業:太陽光発電協会が太陽電池パネル等の飛散による被害防止のための注意喚起を公表
FIT導入後の太陽光発電設備増加により、太陽光パネルの飛散による周辺への被害事例が増えています。
特に、昨年9月の台風15号では九州で138件の太陽光発電所への被害が発生しており、民家や車を破損させるという被害も起きています。
これを受けて、今年の台風シーズンを前に太陽光発電協会(JPEA)が「一般用太陽電池発電設備に対するパネル飛散防止に係る周知」を公表しました。
一般用太陽電池発電設備に対するパネル飛散防止に係る周知について
これは、経済産業省からJPEAに対する要請という形式になっており、何ともいまいちなデザインのチラシも添付されています。
昨夏には群馬県伊勢崎市でも突風による太陽光パネルの飛散が起きていますが、他にも施工不良などによる耐風速基準を満たさない設備が多数確認されています。
経年劣化による架台のボルトの緩みなども発生しますので、台風のシーズンを前に、発電所オーナーには今一度設備の安全点検が求められます。