ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

固定価格買取制度:九州電力の接続申込み回答保留(続報)

本日の九州電力の固定価格買取制度に基づく接続申込みの保留措置について、産経新聞などがWebで速報を出しています。

九電、再生エネ受け付け契約を中断+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

 

今回の契約保留措置は、九州電力が接続申込みに対して系統連系のための工事負担金請求書(低圧連系の場合)または系統連系承諾通知書(高圧・特別高圧連系の場合)を発行していない全ての契約申込みに対して、数ヵ月間は受付を保留するというものです。

プレスリリースの詳細資料では、個別協議を受け付ける条件として九州電力の要請に応じて以下の対応を取れる場合を、今回の措置の例外としています。

  • 蓄電池の活用による系統への電力流入の停止
  • 遠隔操作による発電設備の停止・出力抑制
  • 出力調整の要請に対しては無補償で応じる
  • 上記の出力調整の記録と提出に応じる

いずれも今回の保留措置の背景にある、送電網の安定化対策に事業者が協力するという内容ではあるのですが、これに応じた場合には非常に大きな初期コスト増加と事業リスクを抱え込むことになります。

 

では、実際にどれくらいの発電事業計画が今回の措置で影響を受けるのか?を検証すると、九州電力の資料に以下のようなデータが掲載されています。

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このグラフは、今年7月末時点で九州電力に対して申込みがされている、太陽光発電風力発電事業のデータです。

  • 最も電気の使用が少ない時期の昼間の電力需要が約800万kW
  • 既に送電網に接続されている太陽光・風力発電所約390万kW
  • 接続契約申込みがされている太陽光・風力発電所約870万kW
  • 接続検討が出されている太陽光・風力発電所約680万kW

グラフの数値を見ていくと、既に稼働している太陽光・風力発電所の出力が、最も電気の使用が少ない時期の昼間の電力需要の半分近くに達しています。更に、接続契約の申込み分を足すと合計1,260万kWとなることから、昼間の電気供給量と需要のバランスよっては、太陽光・風力発電所が出力抑制を受ける可能性があります。

単純な見立てとしては、この合計800万kWを超える分から、年間30日以上の出力抑制への対応を条件とした系統連系承諾が考えられます。更に、合計導入量が夏季ピーク需要に相当する水準では、無制限・無補償の出力抑制受け入れや、蓄電池の設置などに同意しない限り系統連系を承諾しないという可能性も想定されます。

 

いずれにせよ、九州電力が今回個別協議の対象になるものとして提示してきた条件を勘案すると、今後は接続申込みに際して、これまでより多くの条件が付されることになるのではないでしょうか。