ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

ソーラーシェアリング:自社保有のソーラーシェアリング "匝瑳飯塚 Sola Share 1号機" が稼働しました

昨年から計画を進め、2月から工事が始まっていた、千葉エコ・エネルギーとして初の自社保有ソーラーシェアリングプラントが匝瑳飯塚 Sola Share 1号機」です。

 

発電所全景 1】

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所在地は難読市町村名トップに輝く千葉県匝瑳市(そうさし)で、 大まかな発電所の諸元は以下のようになります。

  • 所在地:千葉県匝瑳市飯塚
  • 定格出力:49.5kWp(AC) / 55.16kWp(DC)
  • モジュール:Amerisolar AS-5M12 単結晶70W 788枚
  • PCS:SMA AG STP10000TLEE-JP-11 9.9kW 5台
  • 架台:単管パイプ(Φ48.6mm) スマートブレス接合
  • 地上高:2.5~3.4m(地形傾斜による)
  • 追尾装置:太陽同期可変式システム「スマートターン®」
  • 遮光率:32.15%
  • 栽培作物:大豆

 

発電所全景 2】

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発電設備の設置高は、農林水産省の新通達に基づく「地上高2m以上」から更に余裕を持たせており、遮光率も多くの作物に適するとされる33%を下回る設計としました。

設備下での営農は、地元農家の皆さんと共同で設立した「Three little birds合同会社が担い、この地域における耕作放棄地の再生と自然エネルギーの生産を進めていきます。

まずは自社1号機となるソーラーシェアリングが完成したことで、今後は発電も営農も実際のデータを集めていくことが可能になるため、情報発信や他地域での導入支援を含めた事業を更に広げていきます。

自然エネルギー政策:環境省が「太陽光発電事業の環境保全対策に関する自治体の取組事例集」を公表

大規模な太陽光発電所の開発が進む中で、各地で自然環境・生活環境・景観等への悪影響や、法令に違反した開発行為、地域住民との軋轢などが生じています。

これを受けて、環境省太陽光発電事業環境保全対策に関する自治体の取組事例集」を取りまとめ、公表しました。

www.env.go.jp

 

事例集の中では、大規模太陽光発電事業によって想定される環境への影響が整理され、各自治体が進めている環境影響評価条例やその他の条例による対応の具体例が挙げられています。

山梨県や長野県におけるメガソーラーの環境アセス実施などを始め、野放図な開発を抑制し自然エネルギー開発による環境破壊」という矛盾を引き起こさないための取り組みが必要です。

再エネ業界ニュース:震災によって被害を受けた太陽光発電設備の取扱についての注意喚起(太陽光発電協会)

熊本の大地震で住宅を始めとする建物に大きな被害が出ていますが、ここ数年で屋根設置・地上設置の太陽光発電設備が大きく増えており、太陽光発電協会(JPEA)が「震災で破壊された太陽光パネルの取り扱い上の注意」を公表しました。

 

JPEA 太陽光発電協会 Japan Photovoltaic Energy Association

 

techon.nikkeibp.co.jp

 

倒壊した家屋等を撤去する際に、太陽光パネルなどが含まれている可能性がありますが、破損していても太陽光パネルは光があたっていれば発電するため、不用意に接触すると感電の恐れがあります。

今回の文書には、破損したパネルの取り扱い及び廃棄の方法がまとめられています。

今後、被災した建物の撤去などを進めるにあたり、こういった情報を参照した慎重な取り扱いが必要です。

 

なお、昨年の関東地方における豪雨災害の際も、同様の注意喚起が行われました。

 

cee.hatenablog.jp

 

固定価格買取制度:再生可能エネルギー発電設備の設備認定量が純減(平成27年12月時点)

資源エネルギー庁より、平成27年12月末時点の固定価格買取制度における設備認定量データが公開されました。

非住宅用太陽光発電設備の認定容量が引き続き減少し、前月比で-39万kWとなりました。これで9ヵ月連続の減少となります。

住宅用太陽光発電風力発電バイオマス発電が伸びたものの、再生可能エネルギー発電設備全体として認定容量は-9万kWの純減となりました。

 

なっとく!再生可能エネルギー 各種データの公開

 

この後、3月にかけては太陽光発電の年度末の駆け込み申請が入る可能性がありますが、全体としては非住宅用太陽光発電の認定容量減少が続きそうです。

永続地帯:永続地帯2015年版報告書を公開 - 自然エネルギー電気による自給率100%の市町村は更に拡大

去る3月31日付で、国内の全市町村における自然エネルギーや食料の自給率などを取りまとめた「永続地帯2015年版報告書」(永続地帯研究会 編)を公開しました。

今回は2015年3月末時点のデータとなりますが、固定価格買取制度が導入されてから自然エネルギーの普及は更に進んでおり、電力需給では市町村単位での民生用需要に対する自給率が100%以上の地域がついに100ヵ所を超えました。

下記サイトで報告書全文を公開しており、各種集計データのほか各研究者による個別レポートも収録していますので、是非ご覧ください。

 

永続地帯 Sustainable Zone

 

www.sankei.com

 

www.itmedia.co.jp

電力自由化:卸電力市場におけるインサイダー取引とは

今月1日から電力小売全面自由化が始まり、東京電力管内でスマートメータの切り替えが10万世帯で間に合わないなど混乱も生じる中、新電力による小売電気事業が本格的にスタートしました。

これからは、商品としての「電気」の取引が活発化してくることが予想される中で、電力・ガス取引監視等委員会が「インサイダー情報の公表方法等に関する発電事業者等への説明会」の開催を告知しています。

 

www.emsc.meti.go.jp

 

電気を取引する市場として「日本卸電力取引所」があり、ここでは実際にスポットで電気の売買が行われています。

 

www.jepx.org

 

ここでいう「インサイダー情報」とは、例えば大型の火力発電所のトラブル情報を事前に手に入れ、その稼働停止に伴う卸電力市場での価格高騰を狙った売買をすることなどが想定されます。

これについては、発電事業者も迅速なトラブル情報の公開、復旧時期の公表等が求められることになりますので、その周知のために各種広報が進められています。

再エネ業界ニュース:九州電力の出力抑制に対する広域機関の検証結果が公開 - 2月に種子島で実施

昨年5月に、九州電力種子島で初めて再生可能エネルギー発電設備に対する出力抑制(出力制御)を実施したことが話題になりましたが、今年2月に再び出力抑制が実施され、その検証結果が広域機関から公表されました。

結論としては、今回の出力抑制措置は適切という内容です。

 

再生可能エネルギー発電設備の出力抑制に関する検証結果の公表について|お知らせ|電力広域的運営推進機関ホームページ

 

今回の背景は以下のようになっています。

  • 2月21日(日)に発電出力の下げ代不足が見込まれた
  • 同日の13時時点での想定需要は16,400kW
  • 出力抑制の必要量は440kW
  • 太陽光発電所1ヵ所(1,000kW)に出力抑制を指示
  • 抑制は9時~16時で実施

この出力抑制実施に対して、実際の需要量は14時段階で16,027kWだったと報告されており、島内の火力発電所は一時的に通常運転時の最低出力(50%, 9,000kW)を下回る出力で運転したとのことです。

固定価格買取制度:平成28年度の固定価格買取制度における調達価格が決定 - 一般家庭の電気代は値下がり傾向

毎年いつごろ発表されるか関係者をやきもきさせる、新年度の固定価格買取制度における調達価格及び賦課金単価が公表されました。

www.meti.go.jp

これまでと同様に、引き下げが行われたのは太陽光発電のみで、住宅用太陽光が-2円/kWh、非住宅用太陽光が-3円/kWhの下げ幅となりました。

毎年の如く非住宅用太陽光は事前に色々な噂が飛び交いましたが、結果として24円/kWhとなっています。施工関係者に話を聞くと、EPCコストも低下してきているので、24円でも事業として取り組めるという話をよく耳にします。(但し指定ルール下の地域を除く)

また、電力消費者に対する賦課金の単価は2.25円/kWhとなり、平成27年度の1.58円/kWhから0.67円/kWhの増加となります。

ちなみに、電気料金に上乗せされるもう一つの消費者負担「燃料費調整」は、ここしばらくの化石燃料費低下によって、東京電力を例に取ると平成27年4月の2.62円/kWhから平成28年4月は-2.78円/kWhへと-5.4円/kWh下がっています。

再エネ賦課金の増額がセンセーショナルに取り上げられていますが、化石燃料に支払うコストは低下しているので、東京電力の標準モデルを見ると一般家庭の電気代は月額1,000円以上安くなっている(昨年同月比)のが現状です。

資源エネルギー政策:再生可能エネルギーの導入加速について 再生可能エネルギー等関係閣僚会議で合意

再生可能エネルギー電気の固定価格制度(FIT)について見直しが進む中、3月8日に開催された再生可能エネルギー等関係閣僚会議再生可能エネルギーの導入加速について」の合意がなされました。

 

再生可能エネルギー等関係閣僚会議(第3回)議事次第

 

再生可能エネルギーの拡大に向けた府省間連携プロジェクトの推進などが掲げられていますが、これは今春までに策定されることとなっている「エネルギー革新戦略」に関連したものです。

このエネルギー革新戦略は、安倍政権が掲げる『GDP600兆円』目標を達成するためのもので、下記のような事項が含まれています。

  • エネルギー・環境制約を新しい投資拡大につなげる具体的な制度設計
  • 発電及び小売事業者に発電効率の向上や低炭素化を求める制度

言うなれば経済成長と気候変動対策を両立させるためのもので、徹底した省エネルギーの実施、再生可能エネルギーの拡大、新たなエネルギーシステムの構築が柱になっています。

今国会のFIT法改正や、昨年来の系統連系に関する費用負担ガイドラインも含まれるものですが、閣僚会議資料にある関係省庁の連携した取組の案では再生可能エネルギーによる地域活性化の推進や、共通基盤整備なども挙げられています。

具体的な取組はこれから出てくると思われますので、引き続き経過を見ていきたいと思います。

再エネ業界ニュース:つくば市が筑波山・宝篋山における再生可能エネルギー発電設備の規制条例案を策定

つくば市は、筑波山及び宝篋山の周辺における再生可能エネルギー発電設備の設置を規制する条例案を策定し、パブリックコメントを本日から開始しました。

 

www.city.tsukuba.ibaraki.jp

 

つくば市内ではこれまで、水郷筑波国定公園区域となっている筑波山の中腹で三ヵ所、区域外で一ヵ所の太陽光発電所が計画されていましたが、このうち国定公園区域内の三ヵ所は事業者が撤退あるいは県が事業者の計画申請を不許可としています。

残る一ヵ所は工事が進められている状況ですが、筑波山太陽光発電所の建設が複数計画されたという事態を受けて地元では反対運動が起き、市議会でも反対決議が採択されるなどした上で、今回の規制条例案が策定されたというのが大凡の経緯です。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

規制対象となるのは太陽光発電及び風力発電で、対象区域は自然公園法の特別地域及び土砂災害警戒区域と、その両者と一体的な区域として定める区域としています。

今回の条例に違反した場合には、市による勧告及び事業者名等の公表がなされます。

このパブリックコメントは、4月5日まで行われます。